櫻井氏への質問の詳細19

RPTSDは拉致監禁が原因なのか、それとも統一教会時代のことが原因しているのか。
 =(p116)

櫻井:「米本は脱会カウンセリングのトラウマにすべての要因を求めているが、後遺症は教団生活に由来するのか、脱会カウンセリングか、あるいは、その後の社会的不適応により発症したものか、弁別は難しい。一つの精神的疾患を生む要因は複合的であるし、一つの原因を取り除いただけで症状が緩解されるほど、脱会後の信者の生活は簡単なものではない」

 何度も繰り返すことになりますが、PTSDは地震によって家族や友だちを失うなど「心的外傷」(トラウマ)「衝撃的な体験」を原因とします。このことを踏まえて質問するのですが、教団生活において、切り傷や刺し傷とかに匹敵するような「衝撃的な体験」をするようなことがあるとすれば、具体的にどんなことを念頭を置いているのですか。
 20数年間も統一教会の信者だった2人にインタビューしたことがあります。1人は櫻井さんに紹介した人です。確かに、青年期、壮年期のすべてを統一教会に捧げ、全財産を失った彼女たちの「脱会後の生活は簡単なものでは」ありませんでした。しかし、そうであっても、PTSDになっていませんでしたね。
 また、脱会後の社会的不適応によってPTSDが発症するという説は初めて聞きました。社会的不適応の状態は本人にとって苦しい日々ですが、そこに「衝撃的体験」が入り込む余地はありません。両者の因果関係を教えてください。
 3人の精神科医は「拉致監禁が原因でPTSDになった」と明確に診断しています。その診断によって彼女たちは公的に障害者として認定され、病院までの交通費が無料になるなど自治体の補助を受けています。
 そうした事実をルポで書いているにもかかわらず、それを無視し、櫻井:「弁別は難しい。一つの精神的疾患を生む要因は複合的である」と解説されるのでしょうか。