櫻井氏への質問の詳細3

B池本・中村論文を軽視するのですか。
 =(p103〜104)

櫻井:「脱会時のPTSDの発症という問題に関して、すでに池本桂子・中村雅一が2000年に『宗教からの強制脱会プログラム(ディプログラミング)によりPTSDを呈した1症例』として報告している」
「池本・中村の症例はわずか1例であり、脱会カウンセリングを受けた元信者の典型とは言えない」

 宗教社会学では統計を重視するのかもしれませんが、医学関係とりわけ精神医学の学会発表や論文での症例研究では1例ないし数例を詳しく分析するのが一般的であり、医学界の常識です。それにもかかわらず、櫻井さんは精神医学の研究の方法論(定性分析)を捨象し、「わずか1例」というただそれだけの理由で無視しています。
 私の記事への論評とは関係のないことですが、池本・中村の症例研究に出てくる様々な現象や症状は、3人の女性たちの症状と共通することがあります。宿谷さんも池本・中村論文を読み、自分の症状と共通するものがあることを確認しています。それゆえ、これからまとめる本ではこの論文のことに触れようと思っていますが、症例数の少なさ以外に無視される理由があるのでしょうか。念のために教えてください。

 また「脱会カウンセリングを受けた元信者の典型とは言えない」と断定されていますが、私は寡聞にして知りませんが「脱会カウンセリングを受けた元信者の典型」について述べられたもの、研究された論文はあるのでしょうか。
 失礼ながら、「(池本たちの症例対象者はPTSDになっているのだから)脱会カウンセリングを受けた元信者の理想的な形とは言えない」の誤記なのではないかと思うのですが。