バック部

バック部といったが実はピントグラス部とフィルムホルダー
挿入部とである。
縦位置と横位置を即時に変換できるレボレビングバックと、
枠を外して付けかえる機種がある。
大抵は交換できるような構造になっていている。

ピントグラスは言わばすりガラスであるが、明るくする為に
フレネルレンズを併用しているものが多い。
すりガラスはルーペで拡大すると砂様に見えるので
プラスティクスでフレネルと組み合わせているのである。
ただ、フレネルは円状の溝が見えるので嫌う人もいる。
フレネルにはワイド系用とロング系と使い分けないと
かえって見難くなるものだが、一種類しか用意していない
メーカーが多い。
ピントグラスがプラスティクスでも外側はルーペを当てるので
傷がつかないようにガラスになっている。
むしろ、フィルムホルダーを挿入するとき、入れ方によっては
ピントグラスにぶつけてしまうことがあり、傷つけてしまう。
挿入には慣れと注意が必要である。

ルーペの使い方はピントグラスに垂直に
当てるように思っている人が多いけれど、
実際はレンズからの光線に
従うのがただしい。
というより、一番明るくみえるのである。
すなわち、レンズの中心線では垂直に、
端の方では光の進入角に垂直とするのである。
その為にルーペを傾けてもルーペのピントが
合うように切れ込みを入れたものがある。
これは親切だが、大半のルーペは
そんなことはしてない。
せいぜい、透明と黒のフードが付いている
くらいである。
ルーペのフードは黒の方がよいが、
冠布を使えばどちらでもいい。
ロングルーペという焦点距離が長めの
2から4倍位がよさそう。

ピントグラスの遮光には冠布を使うのが普通である。
冠布は黒と赤のビロウドと相場が決まっていた。
これは夏などフィールドでは暑くてたまらない。
そこで表に銀とか白を使ったものがある。
外側に白くして太陽熱を反射させようというもの。
冠布はなれないとカメラからずれ落ちやすいもの。
枠を入れたものや、マジックファスナーを使うものなど
多彩になっている。
でも、自分で工夫して作るのも面白い。


フィールドで冠布を被るのは鬱陶しいという
方には、便利なグッズがある。
蛇腹フード・ゴムフード・風船フード・
折りたたみレフフードなどなど。
これらにはコンパクトにする為にルーペを
内臓しているものが多い。
ルーペを内臓していると言うことは
拡大するのだから全画面がみえない。
そこでフードを蝶番などで外して全画面を
確認する形になっている。
そんなことをするのなら冠布でよさそうなものだが。
ルーペ内臓といっても焦点を調節できるものが
少ない上に、アイピースの
視度調整レンズが付かないものもあるから
近眼の人は要注意。
見え方も糸巻き型の歪曲があって35mmの
レフコンのようにはゆかないものだ。
その上、強度のアオリを使うと極端に暗くなる。
色々試したが、冠布に勝るものはないようだ。

フィルムを4x5とロールフィルムを共用する場合は
ピントグラスの変換が必要となる。
ピントグラス毎交換してしまう方式ではロールフィルムのフィルムバックが
小型軽量で良いが交換は面倒だ。
4x5のピントグラスの中にロールフィルムのガイド線をいれておいて、
4x5大のロールフィルムホルダーを使えばバック部は共用できる。
そのかわりロールフィルムバックは大きいのを余儀なくされる。
4x5ばかりだとフィルムホルダーがかさばってしまうので、普通は
ロールフィルムを押さえにして共用している人が多いのではないだろうか。
すくなくもフィールドを対象としている人はそうだとおもう。
体力に恵まれた人と助士がやとえる方はどうでも良いことだが。

フィルムホルダーを装着する部分は
かなり強力のバネでフィルムホルダーを
平行に押さえなければならない。
その上、フィルムパックをスライドしながら
挿入しなければならないので
強すぎてもだめ、弱くてもだめ、
しかも全面の圧力が平均していなければならない。
その為に各社とも工夫がされて、
各カメラの特徴にもなっている。
選ぶ時は実際に装着してみるのが良いものの、傷がつくので
普通はやらせてもらえない。
ショールームを活用することだ。
さもなければ巨大カメラ店。
二箇所の引っ掛けだけで実現しようとしている
のだから、無理もかかる。
うっかり扱えば引っ掛けが外れて
落としてしまう危険もある。
外す時のバネの力でストッパーを
曲げてしまうものもある。
私の知る限りでは、完璧なものはない。


特に注意すべきは、
分厚いロームフィルムホルダーを挿入する時である。
梃子の原理を頭に浮かべて扱えばうまくゆくものの、
充分の慣れが必要である。
トヨの69/45は40mm厚、(写真上)
カルメットでも25mmある。
リスコリーガル(写真下)の厚みが11mmだから
如何に厚いことか。
それでも、バックを付けかえることを考えると
便利である。