テーマ・・・あと1年現状が続けば・・・
選手用SKIのみ自国生産、一般用モデルの殆どは”Made in 中国、東欧、EU製”
『懸念されるヨーロッパ経済(主にドイツ)の崩壊危機』その懸念材料と根拠

7月も中旬、全国的に開催された「NewModelSki早期予約会」も一段落
来期に向けて関係各社の売上目標は果たして上向き?下向き?か現実が見えた頃です
残念ながら長引く不況で日本のスキー関係者も目先の売上に汲々、暗い閉塞感に覆われ描けない将来像
今、日本発のSKIデフレもEUスキー製造国に深刻なブランド淘汰時代として直撃
近い将来、欧州のスキーメーカーに不況合併、買収・・日本のスキー輸入代理店撤退・・の懸念
トリノ冬期オリンピックのマテリアル戦争はメジャー数社の戦いになる可能性も大。
先ずは、マクロ世界経済からスキー輸出王国・EUの来年、再来年を予測。
たかがチューン専門の1人間が経済を語るつもりはないんですが・・
客観的データ−を参照し暇なこの時期、錆付いた洞察力のトレーニング・・・。
2003年6月 記載
IMFによる世界経済見通し(WEO)2003年4月発表&外務省の資料参照
2003年の一部は最新数値を表示
  実質GDP成長率(%)
消費者物価上昇率(%)
失業率(%)
1999 2000 2001 2002 2003 2004
予測
1999 2000 2001 2002 2003 2004
予測
1999 2000 2001 2002 2003 2004
予測
日本 0,8  1,7 0.4  0.3  0,6 -0,3 -0,6 -0.7  -0.9  -0,2 4,7 4,7 5.0  5.4  5.4
一部輸出好調で何とか 依然デフレ状況継続 高い失業率に諦めムード
米国 4,2 5,0 3,0 2.4 1,4 2,2 3,4 2.8 1.6 2.1 4,2 4,0 4.8 5.8 6,4
6月
ドル安・低金利政策で維持 上も下も望まぬ 大統領選まで
ドイツ 1,6 3,0 0,6 0.2 -0,1 0,7 2,1 2.4 1.3 0,7 8,3 7,8 7.8 8.2 10,7
5月東独20%
ユーロ高で輸出不振? デフレ突入も時間の問題 失業率一気に悪化
フランス 3,2 3,2 1,8 1.2 1.1 0,6 1,8 1.8 1.9 1,8 11,3 9,7 8.6 8.8 9.3
英国 2,0 3,0 2,0 1.6 2.0 2,3 2,1 2.1 2.2 2.9 4,4 5,6 5.1 5.2 5.4
イタリア 1,4 2,9 1,8 0.4 1.1 1,7 2,6 2.7 2.6 2.4 11,4 10,6 9.5 9.0 9.3

ユーロ圏 2,6 3,4 1,4 0.8 1.1
1,2 2,4 2.6 2.3 2.0
9,9 9,0 8.0 8.3 8.8
1999年EU圏11ヶ国でユーロ採用、2002年ユーロ:通貨統合、現金流通


  株価 高、安の平均値
2000 2001 2002 2003 2004
日本  ¥17,000  ¥12,000   ¥10,000 ¥7,600安値   ? 
1989年末¥39,000が最高値・・長い不況感
米国 $11,000 $10,000 $9,500 $7,500安値
2000年$11,000が最高値・・バブルもそろそろ
ドイツ DM8,000 5,500 4,000 2,400安値
2000年DM8,000が最高値・・急激に悪化一途

■日本以下のGDP成長率  ■ 主要国で最低になった鉱工業生産 ■デフレ突入寸前の消費者物価指数 
2002〜2003年:輸出大国ドイツが日本以下のGDP成長率。基幹産業の自動車とその他産業も不透明さが増大
2003年ドイツ、フランスの鉱工業生産がついにマイナスに急転落。6月のGDPもドイツはマイナス突入で完全に経済停止状態
EU圏の財政出動はGDPの3%ルールも形骸化。財政赤字も3,8〜4,0%を突破。フランス、ドイツに景気浮上の政策も八方塞
デフレ寸前消費者物価が示すように国内消費の益々低迷に陥ってる

■急激なユーロ高で輸出低迷 ■急激な株安   ■脆弱さを増す企業財務
1999〜2000年:輸出支えられた高い企業収益率と潤沢な資金も急激な株安、景気悪化で企業の財務体質も悪化
2003年:ヨーロッパのユーロ導入当時の円との為替レートは約¥90⇒約¥140。対ドルとなると更に拡大
日米のSKI輸入価格が40%UP、しかしデフレ下では販売価格に為替差損分を転嫁できない為、大幅に利益率が低下
変動為替レートでEU輸出品価格が大幅上昇して輸出不振に拍車。世界的なデフレ下では企業窮地に追い込まれてる
04年のアメリカ大統領選挙まで為替レートが現状のままだと・・・国内景気維持にやっきの米国、口先だけの強いドル政策
最大輸出相手の米国はイラク戦争で仏・独商品の不買運動で報復?更に死者が出る程の酷暑が経済に悪影響

■高い生産コスト  ■強い労働組合  ■短い週の労働時間
200?年、スキー製造王国を襲う経済危機とMade in Germany 存亡、凋落の杞憂
高い労働、管理コストに繋がる週35時間労働では低価格傾向の国際市場に生き残れない
2003年6月強い労組が時短を要求で鉄鋼、自動車、電機のストライキ。生産ストップも不況に拍車。公共機関でさえゼネストする国柄
ひと昔前の台湾、韓国と同じでスペイン、ポルトガルでの生産コスト削減も限界。更なる徹底したコスト削減が求められるEU先進国
1/20の労賃で今や世界の工場となった中国。労賃が1/10で陸続のEU圏の工場は旧東欧、旧ソ連へシフトは時間の問題。
失職を恐れる日本人の様に無償のサービス残業で生産性アップより平然とストライキ。まだまだ強い労働者の権利主張

■農業&観光資源国と工業国 ■スキー生産工場は東欧諸国か中国 ■最悪に迫る失業率
輸出大国ドイツの最大弱点。世界経済の牽引役は経済指標から世界のGDP国別ランク・1位-米国、2位-日本、3位-ドイツでしたが・・ 
フランス、オーストリアはまだレーシング、高級モデルSKIは自国生産する一方、安いモデルは数年前から海外生産にシフト
トエニ、トンバを輩出したイタリア、ベネトン社もついに決断。最後に残るフランス、オーストリー製メーカーがオリンピツクでメダル争い
最大市場の北米マーケットを抱えた米国メーカーでさえ選手用Ski以外は中国製。戦略転換を迫られた自社工場維持の難しさ
世界の大半スキーヤーの足元を観察したらなん〜と皆さん中国製か、東欧製SKIで滑る。ウソみたいホントの話が現実味を帯びてきた
R&D=設計・開発・企画以外の部門は海外移転かOEM方式で産業の空洞化が失業率UPに拍車
安くても物が売れない時代、高まる失業不安を抱えながら10万のSKIに購買意欲、価値を見出せるか

■ラテン、ゲルマン系民族の国民性
日本のマニアックSkierと同じく、広大な海外ゲレンデでショートカービングSKIは救世主となる商品価値、実力を有してるか
果たしてボーダーレス、グローバル時代とは言え、EU圏は民族主義、愛国主義を乗り越えられるのか
米国、日本の人気スポーツは野球と○○、サッカーに熱狂するEU。スキーはR≧30歳以上のお金持ちのスポーツ
国民の社会保障制度が整うと、個人を犠牲にしてまで会社に命捧げる社会習慣は無い国民
因みにフランスでは退職前月収の7,8割が年金として受給できる制度なので、50歳代から悠悠自適の老後を楽しめる。羨ましい!

■典型的な高齢化社会 ■ 低い出生率で不足する労働力をガイジン輸入で補う
今、日本でも問題となつてる少子、高齢化社会。65歳以上が14%も占めるドイツは1972年からの大先輩格
不足する労働者をギリシャ、トルコ等から「長期滞在者」として輸入して凌いできた。お蔭でドイツには730万人も滞在する国となる
ドイツ人口問題研究所の試算によると1998年から2080年は7460万の人口が3010万人の60%となる予測。先進国の人口減は深刻です

■強者SKIメーカー対弱者SKI連合の戦い ■薄れるメーカーとしての理念 ■環境問題も考慮した商品
売上、市場の縮小でメガSKIメーカー対弱者連合メーカーのシェアー争い・・強力リーダー不在のりそな銀行の末路を連想
世界的なデフレ経済なのに、何故にスキーは安くならないの?SKIメーカーが他社BINDINGを抱き合わせて高く販売するメリットとデメリットの危険性
国際優良企業と単なる輸出企業では大違い。グローバル?なSki・Binding・Bootの三位一体戦略は足を引っ張っぱらない優等生ばかりとは限らない
”一体化SKI傾向は必要でもない燃えないゴミを排出する” 地球全体が狂って寒い夏、暖かい冬現象が起きても納得

■日本に資金注入する親会社事情
世界のアルペンSKI市場:約400万台(バブル時の日本は約200万台輸入)、30万台までに落ち込んだ日本市場回復期待で資金注入するメーカー
03年〜04年は赤字転落、自立できないパラサイト日本代理店から撤退か資金援助の瀬戸際。
再び日本市場に一縷の幻想を期待するメーカー事情
少子高齢化?各国の市場もスキー人口の減少で苦戦、夢は中国に託したいが・・人民元で購入するまでには遠い夢
メーカーは世界各国の20〜30国に販売代理店を置いてるが不採算法人が悩みの種。j潤沢だった資金も枯渇する頃で支援金?も04年で停止か。

PS、最近のスキー雑誌は本当にメーカー広告が少なくなりました。が、オヤッと思うようなメーカーが宣伝広告を出してます。 
EU本社の財務庇護のもと、傀儡代理店になった証拠なのか?それとも純粋な外資会社としてスタート? 
スキー場、小売店、メーカーの社名がそのままで、何時の間にか”経営者””資本”が換わってるなんてザラ。   
もはや、日本のスキー輸入販売企業で利益を出すのは困難な状況。ダウンサイジングへのカウントダウン開始。

2003年6月の記載後の、ロイター・新聞報道の結果から
    
■国内の動向
2003年9月 アシックス社がATOMICブランドSKIの輸入代理店契約、販売から撤退を発表
2003年12月 三井物産本社がフランス製のスポーツ用品販売会社の清算と撤退を発表
これで世界を代表する有名SKIブランド輸入代理店から日本企業・資本が消え去る。

■海外の動向
2004年6月 アメリカのスキー雑誌、日経新聞国際版のニュースより
”K2.incがVolkl、Marker&マーモットの3会社をM&Aにより100%の子会社”と発表。
昨年、マーカー社は新規工場をチェコに建設、フォルクル社も一部スキーをOEMで生産に切り替えたが、
巨大企業によるブランドのポートフォリオ戦略が一段と加速している事を示してる。
K2社は2000年より中国に進出し、4万人?の従業員でスキー、ボード等の生産工場を確立してる。
現ヨーロッパのSKIメーカーにも更なる再編の動きは収まりそうにない。

2005年5月
アメリカのクィツクシルバー社がフランスのROSSIGINOL、DYNASTAR、LANGの全ブランドの
買収を発表

2005年5月
フィンランド本社の投資ファンド会社”アメア社”がATOMICブランドに続き、全SALOMONブランドの
買収を発表