チューン専門店は儲かる商売。”JST”?

1987年、高度成長を続ける日本経済
スキー界全体もバラ色の未来に輝き、今の状況を誰が予想しただろうか
スキーヤーの減少でいばらの道を歩むのは自作自演、自業自得か。

この頃、スキー板の滑走面に使用されている素材と仕上げに変化が起きる
一つは、ソール面に人口的な模様(ストラクチャー)を付けた仕上げが普及し始めた
この件については、後日の連載で詳しく説明するので省略させていただく
もう一つは滑走面が柔らかいポリエチレン系素材からP−TEX、
シンタード2000〜4000番とワックスの浸透性が高く硬い素材に変化した。
フラット出しがメタルスクレーパーでは削れなく困難になつた事である。
今までの経験、感に頼る時代が終焉しようとしていた。
科学的にスキーが何故滑るのか?ワックスの浸透などが理論で分析解明し発表されたのだ。
チューンアップはハイテク化に邁進
コンピューター制御のスト―ンフィニュ無くしてチューンアップと呼べなくなった
最初にお金持ち小売店がマシーンを導入し革命だと連呼、推進役を担った。

この美味しそうな状況を鋭い嗅覚でかぎつけた人間がいる
マシーン設備さえすれば・・・仕事はあまり努力せずして簡単に得られる筈。
設備投資、作業スペースが出来ない小、中型小売店の下請けチューンを専門とすれば・・・・
一攫千金ねらいの業者が爆発的に全国に増殖した
専門店の数は1992年頃ピークに達する
専門知識、技術がなくても全自動なみにレーシングチューンに仕上げられる
更に、今までチューンよりも¥2000高い付加価値で売れる
急げば20分で一丁あがり!
経営上手なオーナーは、アルバイトに時給¥20,000以上稼ぎださせた
とにかく日本人が皆バブルに向かって一糸乱れぬ行進を続けた
ストーンフィニシュと光輝いたエッジを見てユーザーも完璧と思ってしまう



モノには松竹梅、並・上・特上と価格グレードがある
当然、チューンにもサンダー、ストーン、手仕上げとメニューがある
羊頭狗肉はどこの世界にも存在する
ストーンフィニシュTUNEならストーンは1回で止める(通常は5〜10回)
手仕上げTUNEならWAXで隠せないサイドエッジだけ手で磨く
なんて・・・・・
姑息な手段を使うと時間収益率が大幅アップ
安い値段にはワケがある!
ついつい、ケチな助平根性で悪い客引きに騙された・・・
小売店の裏口から運悪く下請け業者に渡された愛車の運命は?
例えばこんな経験はおありでは
スキーに行って”滑れナーイ、曲がれない!”(泣)
昨日まで快調だった愛車が他人行儀に変身。

1992年秋
スキー界に冷たい秋が風が吹いてきた
一般大手企業は既に初期のリストラを90年に着手していた。
チューン専門店が多くなると仕事の奪い合で価格破壊現象が起る
節操を失うと安かろう悪かろうチューンがますます幅を利かす。
スキー界の短絡的発想で価格を安くすれば売れる!客は来る!
生き残りかけた戦略は安売り以外に無しの結論
自転車操業でなんとか凌いだものの結局廃業
因果応報の報いである
現在も全国小売店の100%近くはチューン業者に委託している
信頼を重んじる小売店は下請け業者を吟味して選択するでしょう
しかし、プロは素人、小売店スタッフを欺く位のテクニックはいとも簡単
狐と狸の騙しあいは続く
被害者はアナタです

チューン専門店の経営パターンを分析すると
@ 顧客中心で営業 (理想とするパターン)
A 顧客+スキー専門店契約の理想と現実重視型
B 顧客+量販店の下請け中心型 
C 顧客+下請け+メーカーのチューン重点型 
D 上記にスキーコーチ・キャンプ・物販・スノーボードチューンなどをプラスし収益強化


懺悔します?
グランデも悪徳業者か
ご想像に任せます
アンテナは張ってましたのでインテリジェンスは多少優れてました
サンディング販売後、国産ストーンマシーンも開発、販売して
2匹目のドジョウも少し掴みました
成金趣味で外車を乗り回し、ゴルフ三昧とめくるめく快楽の世界にどっぷり・・・・?
そんな時、神の囁きが聞こえたんです
インドでの苦行難行で得た人間の原点、精神に立ち返れと
会社設立時の企業ポリシーは・・・、個人の信念、理念は・・・
最初から5000人の客を相手にする量販チューン店のつもりはありません。
1000人くれば十分な専門店を目指してました
でも・・・お金は欲しかった(笑)
今でもメニューにマシーン仕上げはありません
ボードチューンも絶対にやりません
”武士は食わねど・・・”の心意気
”メンテナンスとチューンアップは違う”プライドだけは捨てなくない。

1992年5月
日本スキーチューンナップ協会 JST 誕生
情報に疎いスキーヤーが何とか悪徳ショップの餌食になるのは避けなければ・・・と
私が、協会の理念・目的・会則・規約案などを作り、各地のチューン専門店オーナーに提案した
真面目な信頼のおける店との区別を分りやすくアピール・告知させるか・・・
講習会、広報活動を通じてチューンとメンテの違いを啓蒙活動・・・
専門店メンバーの資格、チューンアップの定義と基準作り・・・
メンバーの技術研修、情報交換・・・
言い出しっぺで会員になる事もできたが、本来は呉越同舟の危ない関係
個性的(クセモノ)相手に4年も理事長をした。総論賛成、各論反対の取りまとめで大変だった
協会のインターネツト広告を最後にただの会員として隠居生活に入る
ここ数年、活動なしの状態が続いてる
このまま無名無実な協会で終わりそうな気配
But、本物のチューンにこだわるメンバーは頑張ってるのでご安心。

21世紀は正にチューン専門店にとつても最終サバイバルレース
氷河期を生き延びるコア層は厳しい目で最後の審判を下す筈
2002年夏
果たして何軒・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジ END