FISM2006 スウェーデン ストックホルム大会 報告

前回のオランダ・ハーグ大会に続いて、名古屋のUGMのツァーで参加した。ツアーのメンバーは添乗員を含めて40名の大所帯だ。山本勇二社長夫妻、峯村健二、山上兄弟、北見伸、瞳ナナと魔女軍団、ヒロサカイ(クロースアップコンテストの審査員)柏マジッククラブ7名、八王子マジックグループ7名、羽村マジッククラブ3名といった顔ぶれであった。日本からはこのツァーのほか(社)奇術協会のツァー、潟eンヨー、小岩MC、マジックランドらの一行があり、個人参加も多く見られた。日本人だけの参加者で200名は軽く超えているだろう。全体として58カ国2800名と発表された。これはFISMの歴史においても最大規模である。期間中一度挨拶を交わしてそれきり会わなかった人も多くいる。会場が広く、参加者が多いとこうなる。
ディーラーとしては日本のマーカテンドー、幸条スガヤ、UGM、マジックランド、クライスなどが出店、世界の国々から合計102のショップが立ち並ぶ。
会場になったコンベンションホールはさしずめ日本の幕張メッセだ。UGMツァーが予約したホテルは会場の目と鼻の先にある、今年5月に開業したRIKA TALK HOTEL。会場との行き来が楽にできるので、会場内の混雑を避けて部屋で休憩も可能だ。
コンテストの受賞演技の記録と、印象深い演技をいくつかピックアップして紹介したい。
ステージ・コンテストは毎日朝9時から午後にかけて、ビクトリアホールという1900名収容可能な巨大なホールで行われ、毎日20名ずつ5日間にわたり、計101名が腕を競った。日本人のエントリーは10人であった。一方クロースアップマジック・コンテストは午後50名で3日間にわたった。日本からの挑戦者は2人であった。
それぞれのコンテスト最終日に、ファイナリストが発表された。
<クロースアップ部門>
- デビッドストーン(仏)
- マーチン エイッセル(独)
- ヘルダージーマラス(ポ)
- リック メリル(米)
- ショーン ファーカー(カ)
<ステージ部門>
- ダイ ビンチュン(中)
- デビッド ソーサ(ポ)
- ガストン(独)
- リ ウン ギョル(韓)
- ピロウ(仏)
- シター(オ)
そして、8月6日(土)ファイナルコンテストが行われ、グランプリと入賞者が発表された
<ステージマジックコンテスト>
グランプリは ピロウ(仏)Pilou
<クロースアップコンテスト>
グランプリは リック メリル(米)Rick Merrill

受賞するリック
<クロースアップ部門ファイナリストの演技>
5人の演技は超絶した演技の連続で、何がどうなってこうなるのか、現実離れの現象に驚かされた。これほどのレベルの演技には、日本国内ではまずお目にかかれない。昨今カードばやりだが、まだまだ日本はクロースアップに関しては後進国だと思ってしまった。
- デビッドストーン(仏)・・・・4枚のコインを出現させるとなぜかメジャーが出てきてコインの距離を測ると、いつの間にか5枚目のコインが現れている。マットの外に取り除くとまた、コインが現れている。そのうち、いきなりシャツのカフス釦をはずし、袖からシャツの袖のみ引っ張り出すとその陰からワインボトルが出現。メジャーからデックを取り出し、1枚のカードに3桁の数字を書かせる。それが消えてテーブル上の胡椒瓶に移動している。胡椒瓶をあけるとシルクに変わっている。自分の靴の中から、メジャーが出てくる。出現と消失、変化の連続現象を面白おかしく演技する。
- ヘルダージーマラス(ポ)・・・・見えないデックを示し、一枚のカードを憶えてもらう。ブランクデックの中からスプレッドすると1枚が裏向きになっていて、それが客の憶えたカードになっている。4枚のブランクカードにサインを書かせる。このブランクの1枚を4つに折りコップに伏せておく。客のカードと3枚のサインカードがいつの間にか4つのポケットに移動し、これを繰り返すと3枚に減っている。1枚のサインカードがコップの中から出てくる。それを再び伏せて、見るとデックがレギュラーデックに変わっていて、客のカードが無くなっている。先ほどのコップを再び開けると客のカードが出てきて、しかもしたはずのないサインがされている。驚くべき移動とすり替えの演技。カード部門1位に輝く。審査員が「さくら」をつかってないか、再確認したという。(ヒロサカイ氏談)
- マーチン エイッセル(独)・・・・「マーチンはお話が苦手で・・」といった陰のアナウンスにのって「シャイなマーチン」の演技で進んでいく。4つのコインが5つになっている。これをもう一度繰り返し、コインがジャンボに変化し、これでマトリックスコインをやろうとするとカードがジャンボになってしまう。ジャンボカードとレギュラーコインでマトリックスコインをやると、ジャンボコインに変わっている。最後は、ダイスを使ったマトリックスで、ダイスが元の位置にもどるとき、マットに平坦に置かれていたカードが、持ち上がってくるシーンは我が目を疑った。この演出はドイツの人気番組を基にしているという。
- リック メリル(米)・・・・「自分は自閉症で・・・・」とぶつぶつ自分の演技についてつぶやきながら、ものすごいことを起こしていく。ジャケットを脱いでワイシャツ姿で3枚のレギュラーコインを肘から出してくる。両手に持ったままいきなりチャイナコインに変化させる。ちゃんと穴が空いている。つぎにジャンボコインに変わり、これがジャンボチャイナコインに変化。ちゃんと穴が空いている。コインとフェルトペンの交換現象。これが、何度も移動し、ジャンボペンになったり、交換し消える。「じつは袖の中に仕込んである」といって袖を振るとシャツの両袖からばらばらとペンが落ちてくる。最後は扇形に立てられたフェルトペンの出現、その分裂。そのカラーチェンジでフィニッシュ。
- ショーン ファーカー(カ)・・・・客がサインしたカードがデックに戻され、しっかりと両手の間に閉じて、再度開けるとデックが未開封の箱に変わっている。封を切り開けるとブランクデックになっていて、しかも客のサインカードが入っている。次にカップ&ボールの演技に。何度かボールの集合や貫通の演技を行い、いつの間にかカップがふさがっている。全てのカップがふさがっている。
- <その他のクロースアップコンテストで印象に残ったもの>
Kevin Gallagher(UK)・・・・コインマトリックス。ジャンボコインをレギュラーカードで行ったり、シェル&ボールでも、ジャンボボールにレギュラーシェルでやったり、ジャンボシェルでジャンボボールで行う。
Galambos(Hungary)・・・・すごく手早いカップ&ボール、カード(Aの集合)ボール、コインなど。
VIP MAGIC(Netherlands)・・・・隣に居合わせた二人が、カード裁きを見せ合う展開。
Kristian Nivala(Finland)・・・・見えないカードの仕草から4Aの取り出し。客のカードをデックの中から消し、空箱から取り出す。4Aの下から4つのカードの箱、4Aがジャンボになりジャンボデック箱が出現、最後は特大Aの下から多数のジャンボコインがマットに現れる。
HAYASHI(Germany)・・・・マトリックスコインの連続演技、最後は多数のコイン、ジャンボコインを出してくる。
<ステージ部門ファイナリストの演技>
- ダイ ビンチュン(中)・・・・カードマニプレーション、カードロール、プロダクション、カード投げと続く。最後は下から上がってくるカードキャッスル。マニプレーション1位。
- デビッド ソーサ(ポ)・・・・白い手袋を取ってボールに変化。白いマフラーがケーンに。赤い封筒の中から1枚のカードを取り出し、木の葉カード、カードプロダクション。ジャンボカードの入った封筒から赤いマフラー、大きなカードへと続く。一つ一つの演技がきちんとおさえられていて、完成度の高さを感じる。マニプレーション2位。
- ガストン(独)・・・・パーラーマジック1位。シガレット箱の増加。シンブル、カード消しの演技。
- リ ウン ギョル(韓)・・・・鳩とカード、キャンドルの複合手順、最後は鳩ケージの消失と出現、分裂。派手に決めていた。
- ピロウ(仏)・・・・ステージ部門グランプリ受賞。軽快な曲に乗って、樽の上に腰掛けているところから始まる。リンゴを四つ玉のようにして演じ、増えていったところで新聞を広げて全て消してしまう。カードプロダクションに入り、かなりの枚数を出して、突然新聞を広げて全て消してしまう。かぶっていた帽子の中から、リンゴが多数出る。最後は自分がはいていた靴の中からもリンゴが。
- シター(オ)・・・・四角錐形のフレームに吊した巨大なダイヤを人相悪い男4人が盗ろうとして布を掛けると女性がダイヤを持った女性が出現。その後このダイヤを奪い合う展開でイリュージョンが繰り広げられる。最後は女性が矢の形をした(いわば大砲)檻の中に閉じこめられ、布をかぶせると、ステージ反対側のフレームに女性が脱出している。再び女性を捕らえて、炎のスパイクイリュージョンで串刺しにされる。が、女性はまたしても消えている。客席から女性が現れて終わり。
<各部門別、入賞者>

<FISM2009は北京での開催が決定!>
次回のFISMは3年後、2009年、北京での開催が決まった。大会期間中、スペイン・グラナダ、ウィーン、北京の3市が次回会場誘致に向けPR合戦を繰り広げたが、最終的に北京が理事の60%を上回る票を獲得した。日本からヨーロッパ会場からなかなか外に出ないFISMが15年ぶりにアジアに来る。
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