ユダヤ三大祭りについて


出エジプト記23章14節「 あなたは年に三度、わたしのために祭を行わなければならない。」
から、ユダヤ教において年に三度、過越しの祭り(ペサハ)、七週の祭り(シャブオット)、仮庵の祭り(スコット)にエルサレム神殿に礼拝を捧げに詣でた。

○過越しの祭り(すぎこしのまつり)「ペサハ」

「過越」という言葉が聖書に記されている箇所(旧約48、新約29カ所)は以下のとおりです。

[旧約聖書]
出エジプト記12章11,21,27,43,48、34章25節 レビ記23章5節 民数記9章2,4,5,6,10,12,13,14(2)、28章16節、33章3節 申命記16章1,2,6節 ヨシュア記5章10,11節 列王記下23章21,22,23節 歴代誌下30章1,2,5,15,17,18節、35章1(2),6,7,8,9,11,13、16,17,18(2)、19節 エズラ記6章19,20節、エゼキエル書45章21節。

[新約聖書]
マタイによる福音書26章2,17,18,19節 マルコによる福音書14章1,12(2),14,16節 ルカによる福音書2章41節、22章1,7,8,11,13,15節、ヨハネによる福音書2章13,23節、6章4節、11章55(2)節、12章1節、13章1節、18章28、39節、19章14節 使徒行伝12章4節 コリント人への第一の手紙5章7節 ヘブル人への手紙11章28節

[過越の祭について]
ユダヤ暦ニサン月15日から1週間行われる、「過越の祭」(ペサハ<ヘブル語>,パスカ<ギリシャ語>)は、ユダヤ教にとって大変重要な祭になっていますが、今年は4月7日(土)日没から14日(土)日没までが過越の祭です。
過越の祭は、そもそも紀元前1280年の頃エジプトの奴隷だったイスラエルの民60万人(成人男性)が、モーセを先頭としてカナンを目指して脱出したとき、イーストを入れてパンを発酵させ焼くだけの余裕がなかったという古事にちなんでいる。
ペサハの準備は、ペサハの始まる前日、家中のイースト菌が入った食品並びに部屋の掃除を徹底的にして、マッツァを焼くことから始まる。

[一般的な家庭においての「過越の祭」の順序]
@母親が祝祷を言いながら、式灯になるロウソクを二本(一本は「安息日を覚えよ」の意、もう一本は「安息日を守れ」の意」)つける。
A父親が祝祷の後、第一の葡萄酒を飲む(聖別の杯)
B父親が水で手を洗う。
C父親の祝祷の後、全員がカーパス(野菜)を塩水に浸して食べる。
D父親がマッツァ(種入れぬパン)を割り、半分を袋に、もう半分は、人目につかない所か、袋に入れる。
E父親がマッツァを持ち上げて祝祷し、過越の由来を説明する。
F兄弟の一番下の子が「なぜ今夜はいつもと違うの?」と四つの質問をする。
Gエジプトの10の災いを言いながら、指で10滴のワインの滴をテーブルにつける。
Hダエヌーの歌(神の民に対するお取り扱いを感謝する)を歌う。
I父親が過越の小羊と種なしパンと苦菜(マロール)の説明をする。
J父親の祝祷の後、第二の葡萄酒を飲む(喜びの杯)
K父親が水で手を洗う。
L父親がマッツァを持ち上げ祝祷し、割って全員に配って食べる。
M全員がマッツァに苦菜をつけて配って食べる。
N全員がマッツァにハロセット(ナッツの練物)と苦菜をはさんで食べる。
O夕食を食べる。
P食後、子供達が隠されたマッツァを探し、見つけたら割って全員で食べる。
Q父親の祝祷後、第三の葡萄酒を飲む(購いの杯) Rエリヤのコップに葡萄酒を注ぎ、子供にドアを開けさせてエリヤが来ているかを調べる。
S父親の祝祷の後、第四の葡萄酒を飲む(栄光の杯)
最後に「来年はエルサレムにてこれを祝おう!」と締めくくる。
ちなみに、ユダヤ式葡萄酒を飲む時の乾杯は、「レハイム」と唱和しますが、その意味は「命のために」という意味です。




○七週の祭り(ななしゅうのまつり)「シャブオット」 出エジプト記23章16節「あなたが畑にまいて獲た物の勤労の初穂をささげる刈入れの祭と、あなたの勤労の実を畑から取り入れる年の終りに、取入れの祭を行わなければならない。」
出エジプト記34章22節「あなたは七週の祭、すなわち小麦刈りの初穂の祭を行わなければならない。また年の終りに取り入れの祭を行わなければならない。」と定めています。
また、口伝律法のミシュナーには、七週の祭りの時には村人たちが各地の大きな町に集まり、最初の収穫を神殿に運んだという記事があります。七週というのは、過越しの祭りの二日目から数えて七週と一日目(五十日目)がこの日に当たるので、ギリシャ語でペンテコステ(五十の意)と言われている。 


○仮庵の祭り(かりいおのまつり)「スコット」 レビ記23章42〜43節「あなたがたは七日の間、仮庵に住み、イスラエルで生れた者はみな仮庵に住まなければならない。これはわたしがイスラエルの人々をエジプトの国から導き出したとき、彼らを仮庵に住まわせた事を、あなたがたの代々の子孫に知らせるためである。わたしはあなたがたの神、主である」
ヨム・キプール(贖罪日)に続いて、その五日後、仮庵の祭りが一週間続きますが、この祭りは農業祭の一面があります。
イスラエルの民が農耕民となって、神の恵みに感謝したことに由来したと言われています。
ミシュナーに「仮庵の祭りの二日目の夕べ、シロアムの池から汲んだ水をエルサレム神殿に運び、それを祭壇に注ぐ儀式を見たことのない者は、本当の歓喜というものを知らない」とあるそうです。
ヨハネによる福音書7章38節「わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その腹から生ける水が川となって流れ出るであろう」とあるが、イエス様が仮庵の祭りの時に、神殿に水を注ぐことを意識して語られたのではないかと言われている。

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