ここ数年、邦人作曲家を取り上げたコンサート、CDの製作、レクチャーなど、日本の作曲家を見直す動きが全国各地で見られる。そうしたなかで、特に注目されているのが、41才という若さでこの世を去った早坂文雄である。
この天才作曲家の作品について、出来る限りの情報を広く提供し、早坂作品に接する際の参考として下さい。


                                  


論文・評論
タ イ ト ル
 『早坂文雄の作曲ノート1・2・3 』 著者:中嶋恒雄 
                (CmC1999年・13〜15)
2  早坂文雄自身によるエッセイ・随筆・作曲譜等の執筆記録
                       (1936〜1939
3  『黒澤明:音と映像』 著者:西村雄一郎


  [bP]

[論説]

 『早坂文雄の作曲ノート1』
 
『早坂文雄の作曲ノート2』
 
『早坂文雄の作曲ノート3』
   
著者: 中嶋恒雄    (山梨大学教授)
    著書: 
季刊 CMC [音楽文化の創造] 
      1999・13
1999・141999・15
 〈要点〉
    早坂文雄が生前に創作のための覚書として残したぼうだいな
   日記体のノートから、その断片を紹介し、現在我々が抱えている、
   音楽における課題解決の手掛かりを提供している。
   
                    
(発行)  財団法人 音楽文化創造
                          (пj   03-5256-2766                      

  [bQ]

1936年(昭和11)/22才
 ・月刊楽譜(2月号)/ 「随想」
 ・音楽新潮(3月号)/ 「一つの反省」〈エッセイ〉、ピアノ曲「エヴォカシオンU」
 ・高木東六編『世界音楽全集89巻・日本独唱曲集U』(春秋社刊)/ 「歌曲:
  祭典」を収録 *詩・荘生春樹
 ・音楽新潮(7月号)/ 「グレゴリウス聖詠研究の余日」〈エッセイ〉、ピアノ曲「ノ
  クターン第3」

1937年(昭和12)/23才
 ・チェレプニン楽譜31番として龍吟社より出版/ ピアノ曲「ノクターン第1」

1938年(昭和13)/24才
 ・音楽新潮(1月号)/ 「蝦夷ヶ島より見たるB氏雑感」
 ・音楽新潮(2月号)/ 「楽しい回想」
 ・音楽新潮(11月〜翌年2月号迄)/ 「田園雑記」

1939年(昭和14)/24才
 ・北海道帝国大学新聞/ 「音楽的教育についての随想」
 ・北海タイムス(3月15〜18日:4回)/ 「浅春雑記」

 [3]

[著書名] :「黒澤明:音と映像」

[著者名] :西村雄一郎 (映画評論家)
[出版社] :立風書房
[第1刷発行] :1998年12月12日

[西村雄一郎・プロフィール]

 ・1951年佐賀県佐賀市生まれ
 ・早稲田大学第一文学部演劇科卒業
 ・渡仏、映画雑誌「キネマ旬報」パリ駐在員として働く
 ・帰国後、映像ディレクターとしてビデオ作品lを演出
 ・現在、桐朋学園大学、日本映画学校などで、講師、講座を精力的に
  こなしている
 ・著作「映画に学ぶビデオ術」、「巨匠のメチエ・黒澤明とスタッフ達」、
  「巨匠の映画に学ぶビデオ撮影術」など

[内容紹介]
  日本が世界に誇る映画界の巨匠「黒澤明」が、その作品を作り上げる上で、
 最も重視したという映画音楽を担当した作曲家達を取り上げた著書。現在の
 日本の作曲界の重鎮「早坂文雄」、「武満徹」、「佐藤勝」、「池辺晋一郎」等を
 取り上げ、黒澤作品との深いかかわりを綴ったものである。


早坂作品コンサート情報
タ イ ト ル
二十世紀音楽回顧展U (1999・2・23)
2 レクチャーコンサート「日本の戦後音楽史再考」(2000・1・18)
3 奏楽堂特別展 :日本の作曲家シリーズG ≪早坂文雄≫
 「歿後45年・早坂文雄がのこしたもの」(2000・10・31〜12・3)


bP
          コンサート・コンコルデ 99
    『二十世紀音楽回顧展U』

 
 1999 2/23 (火)
  
札幌コンサートホールKitara 小ホール

  
[開 場]   6:30pm  [開演] 7:00pm
  
[入場料]  2,000円 〈全席自由〉

            〈 program 

  
広瀬 量平(1930〜)

    
ペガソス−5人のフルーティストのために−(1983)

  
早坂 文雄(1914〜55)

    『春夫に據る四つの無伴奏の歌』より
  
      T 「うぐいす」  U 「しょう洲橋湖畔口吟」

                      ソプラノ 上田 敦子


  
伊福部 昭(1914−)

   
 『ギリヤーク族の古き吟誦歌』

     
T 「アイ アイ ゴムテイラ」
     
U 「苔桃の果拾ふ女の歌」
    
 V 「彼方の河び」
     
W 「熊祭に行く人を送る歌」

 
 
柳田 孝義(1948-)

    『流れのほとりにて』 −独奏ピアノのために−
                     
 (1985)

  
簗田 貞(1885−1959)

    T 「城ヶ島の雨」
    
U 「昼の夢」
    
V 「渚の歌」
     W 「旅人の歌

  
助川 敏弥(1930−)

   
 『五つの日本民謡』

     
T 「外山節」
     
U 「宮城の子守歌」
     
V 「長持歌」
    
 W 「花笠踊」
     
X 「南部の子守歌」 メゾソプラノ:田中 則子 
                    
 ピアノ  :浅井 智子

 
伊福部 昭(1914−) 

  
ヴァイオリン・ソナタ  (1985


2
レクチャーコンサート
日本の戦後音楽史再考
〜今、よみがえる時代の息吹き〜

【第2回】
●2000年1月18日(火)
●会場:JTアートホール アフィニス
●開場=18時●開演=18時30分
●出演:アール・レスピラン
●解説:片山杜秀
●曲目:早坂文雄/キャプリチオ(1949)
     :早坂文雄/8人の奏者のための7つの部分の組曲(1952)

●企画・制作: 日本戦後音楽史研究会
●主催:財団法人アフィニス文化財団
●協賛:JT

『日本音楽史再考』について

  私達は、戦後日本の音楽創作を歴史的に研究することを目的に
 集まりました。最初に長木誠司さんの呼びかけで集まったのが、3
 年前の今ごろだったと思います。せんご50年をまわった頃で、それ
 は戦後の音楽史を研究するのにちょうど良い時期だったと思います。
 50年を少しまわった頃と言う事で思い出すのは、唐突なようですが、
 子母沢寛の『新撰組始末記』です。子母沢寛が新撰組の資料を収集
 し始めたのは、1923年(大正12年)頃からで、それは新撰組の土方
 歳三が北海道の五稜郭で戦死し、戊辰戦争が終わってから54年目
 でした。子母沢寛はこの間の事情について、「今は新撰組について
 書くのに、歴史的に観るに足るだけの距離を置いたが、資料が散逸
 しきってはいない時期である」という意味の事を書いていました。

  確かに50年という歳月は、歴史と言う視座で捉えるのに、充分とは
 言いきれないまでも、しかし資料が散逸しきってはいないという点で
 、これ以上遅れてはいけない境界線かもしれません。

  「歴史」とは、「その時代を再び生きる」ことなしには見えてこない。
  これはレクチャーコンサート「戦後音楽史再考」のチラシに書いた言
 葉ですが、私達はそう考えています。勿論過ぎ去った時代を再びい
 きることはできません。その努力をする、と言ったらいいでしょうか。
 このレクチャーコンサートは、戦後の音楽でまだ録音資料のないもの
 、あるいはあっても入手困難なものを中心に、それらを演奏し、音楽
 資料として残し、「その時代を再び生きる」試みといえるでしょう。

  もちろん私達の活動はそれだけではありません。雑誌、新聞等の
 資料の収集の他、湯浅譲二さんや別宮貞雄さんをはじめ、当時を識る
 人達から様様な証言をえるためのヒヤリングによって、時代の証言と
 その息吹きを聞き取っています。そうした資料を基に、最終的には戦
 後の音楽史を歴史書としてまとめることを目的としています。

  研究会のメンバーの歴史観はそれぞれ異なっています。それを今後
 どのように探り合わせていくか。そこには歴史を構築するうえでのダイ
 ナミックな議論が展開されるでしょう。レクチャーコンサート『戦後音楽
 史再考」は、その第一歩と言えます。

  最後に、私達にこのような研究の機会を与え、援助して下さっている
 「アフィニス文化財団」に心から感謝の意を表します。

               日本戦後音楽史研究会 代表 佐野 光司

  ― 後日につづく―


3
奏楽堂特別展 :日本の作曲家シリーズG 
            ≪早坂文雄

         「歿後45年・早坂文雄がのこしたもの」


 2000年10月31日(火)―12月3日(日)
 会場  : 旧東京音楽学校奏楽堂
 主催  : <財>台東区芸術文化財団 日本近代音楽館
 入場料: 300円  (児童・生徒:100円)

 ≪レクチャー・コンサート≫
 2000年11月9日(木)
 開演:18時30分
 ◆講師 :佐藤慶次郎(作曲家)
 ◆ピアノ :高橋アキ

 ●お問い合わせ
 旧東京音楽学校奏楽堂
 東京都台東区上野公園8-43
 【пz 03-3824-1988
 日本近代音楽館
 東京都港区麻布台1-8-14
 【пz 03-3224-1584



C D ・ レコード 紹介
タ イ ト ル
「Concert:20-21」日本の作曲・21世紀へのあゆみ


 「Concert:20-21」  日本の作曲・21世紀へのあゆみ 
                                ( 20−21CD 003 )
 [曲目・演奏者]

 《早坂文雄》(1914〜1955)

 『弦楽四重奏曲』 (1950)

 [1] 第一楽章 (Adagio assai)     [9:32]
 [2] 第二楽章 (Allegro pizzicato)  [4:22]  
 [3] 第三楽章 (Allegro moderato)  [8:13]

 ニューアーツ弦楽四重奏団

  ヴァイオリン:小林健次
  ヴァイオリン:平尾真伸
  ヴィオラ   :江戸純子
  チェロ    :苅田雅治


 《吉田隆子》 (1910〜1956)

 『ソナタ-ヴァイオリンとピアノのために』 (1952)

 [4] 第一楽章     [5:14]
 [5] 第二楽章     [4:33]  
 [6] 第三楽章     [7:07]

  ヴァイオリン:青木 調
  ピアノ    :鷲宮美幸


 《松平頼則》 まつだいら よりつね(1907〜) 

 『ピアノのためのソナチネ』 (1947)

 [7] 第一楽章     [7:01]
 [8] 第二楽章     [4:48]  
 [9] 第三楽章     [2:51]

  ピアノ:高橋アキ


 《清瀬保二》 きよせ やすじ (1900〜1981)

 『弦楽四重奏曲』 〈Strings quartette in B♭〉 (1951)

 [10] 第一楽章     [7:29]
 [11] 第二楽章     [6:07]  
 [12] 第三楽章     [6:24]

 ニューアーツ弦楽四重奏団

            (  1998・9・30  紀尾井ホール・Live )

 《早坂文雄:弦楽四重奏曲》についての解説・・・・楢崎洋子

   早坂文雄は〈古代の舞曲〉(1938)、〈左方の舞と右方の舞〉(1941)など日本の
 古典音楽を題材とする作品を書く他、「日本的音楽論」「東洋的管弦楽法」と題す
 る音楽論を著している。日本の古代から近世にかけての音楽、あるいは音楽以外
 の日本・東洋の伝統芸術から受ける印象をもとに、それが西洋音楽とは異なる点
 を表現しようとするのが早さかの音楽である。早坂の音楽論に出てくる単一主義、
 絵巻物形式などの用語は、ソナタ形式における対比的な2主題、その提示、展
 開、再現と言う弁証法的な形式とは相いれない日本・東洋の形式原理の指摘で
 ある。早坂の作品は、主題だけではなく、テクスチュア、形式形成にも民族的特
 徴を反映させている。
  この弦楽四重奏曲は、第一楽章:Adagio assai,第二楽章:Allegro pizzicato,第
 三楽章:Allegro moderatoという緩から急に移行する3楽章からなる。第一楽章
 のテーマが、第二、第三楽章で軽やかなモチーフに変えられて活用されており、
 全三楽章は序破急の形式を類推させる。この作品について早坂は「第一楽章は
 東洋の無限感というか、永続性というか、そうゆうものを出したかったのです。そ
 れから二楽章と三楽章は、東洋的な感性の上で、現代性とどう結びつけたら言
 いかと言うことを考えた。いつも思うのだが、テンポの遅いものでは東洋的な表
 現は割合できるけれども、テンポの速いもので東洋の表現というのは難しい」と
 語っている。
   〔第一楽章〕
     ヴィオラでa-cis-cis-aのモチーフがオスティナート音形として活用される。
     拍と拍とをタイで繋いで拍節感を回避しているのがみてとれる。
   〔第二楽章〕
     dとesの短二度の関係にある二音の反復に始まって、音を新たに加えて
     広音域に開いていく。
   〔第三楽章〕
     リズムは第一楽章のそれだが、同度音を繰り返す点で第二楽章を受け
     継いでいる。軽やかなリズムでホモリズミックに重なっていく。

     (1950年6月7日、「新作曲派協会第6回作品発表会」にて初演された。)