有形文化財
 建造物,絵画,工芸品,彫刻,書跡,典籍,古文書,考古資料,歴史資料などの有形の文化的所産で,我が国にとって歴史上,芸術上,学術上価値の高いものを総称して有形文化財と呼んでいる。このうち,建造物以外のものを総称して「美術工芸品」と呼んでいる。
 国は有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定し,さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを国宝に指定して保護している。
■建造物
 平成12年4月1日現在,2,184件3,673棟の建造物が国宝・重要文化財に指定されている。
 指定文化財建造物のうち約9割が木造建築である。これらの保存には,適切な時期に大小の保存修理が必要である。修理事業は所有者または管理団体が行うが,小修理を除き大半は国の補助事業として実施されている。我が国の歴史的建造物はほとんどが木で作られており,さらにその多くは屋根が茅や檜皮のような植物性の材料で葺かれているため,火災に対し極めて脆弱である。このため,文化庁では,防災設備の設置について必要な補助を行うことなどによりその保護を図っている。
 このほか,日本の近代化に大きな役割を果たしてきた産業,交通,土木に係る構造物については,技術革新や産業構造の変化等により取り壊しが進んでいる。このような構造物が,我が国の近代化を担いながらも現在失われつつある状況の中で,近代化遺産としての物件の特定及び保存のための調査,及びそれに基づく指定を行っている。これまでに,藤倉水源地水道施設(秋田県)、碓氷峠鉄道施設(群馬県)、読書発電所施設(長野県)、白水溜池堰提水利施設(大分県)などを重要文化財に指定した。
■美術工芸品
 美術工芸品の国による指定は,古社寺保存法の施行された明治30年に始まり,現在の文化財保護法の下で,9,956件(うち国宝845件)の指定が行われている。
 国宝・重要文化財の管理・修理は,所有者または管理団体(指定文化財の適正な管理を行うため文化庁長官により指定された地方公共団体,その他の法人)が行う。国宝・重要文化財(美術工芸品)の所有者別件数は,社寺所有のものが約60%を占めている。
 これらの指定文化財については,無許可の現状変更や,海外展等のため必要と認めて許可した場合を除いた輸出などが禁止されている。国は,その保存や修理等に対して国庫補助を行うなどの援助を行っており,文化庁長官は,その管理・修理や公開などに関して指示を行うことができる。

国宝・重要文化財(建造物)時代別指定棟数
平成12年4月1日現在
  時代
区分
件数 棟数
近世以前 近代
種類別 飛鳥

奈良
平安 鎌倉 室町 桃山 江戸 明治 大正 昭和
近世以前の分類 神社 (36)
548
  (2)
4
(14)
45
(6)
308
(9)
153
(27)
558

1
    (58)
1,069
寺院 (150)
827
(26)
28
(23)
35
(54)
147
(29)
340
(12)
124
(12)
396

4
    (156)
1,074
城郭 (8)
52
        (12)
115
(4)
116

1
    (16)
234
住宅 (12)
93
      (2)
7
(7)
25
(11)
116
      (20)
148
民家 (0)
315
     
3

1

561

66

9
  (0)
640
その他 (3)
189

1

12

122

53
(1)
11
(2)
58

1
    (3)
258
小計 (209)
2,024
(26)
29
(25)
51
(68)
314
(37)
711
(41)
429
(56)
1,807

73

9
  (253)
3,423
近代の分類 宗教建築 13            
12

1
 
13
住居建築 43           2
73

14
 
89
学校建築 31            
50

5

1

56
文化施設 18            
21

7
 
28
官公庁舎 19            
19

5
 
24
商業・業務 12            
10
 
2

12
近代化遺産 11            
7

2

1

11
その他 13            
12

4

1

17
小計 160          
2

204

38

6

250
合計 (209)
2,184
(26)
29
(25)
51
(68)
314
(37)
711
(41)
429
(56)
1,809

277

47

6
(253)
3,673
注1) ( )内は国宝で内数。
注2) *印は1件複数棟で構成される重要文化財で,中心となる建物(棟)が近世以前に建てられたもの。
注3) ☆印は1件複数棟で構成される重要文化財で,中心となる建物(棟)が近代に建てられたもの。
注4) 近代化遺産は「構」で数える。
国宝・重要文化財(建造物)の所有者別件数・棟数
平成12年4月1日現在
所有者 地方公共団体 神社 寺院 法人 個人 その他 合計
件数 (7)
50
(2)
250
(33)
546
(163)
1,001
(1)
82
(2)
233
(1)
22
(209)
2,184
棟数 (14)
192
(8)
425
(54)
1,039
(173)
1,330
(1)
143
(2)
519
(1)
25
(253)
3,673
*( )内は国宝で内数。
国宝・重要文化財(美術工芸品)時代別指定件数
平成12年4月1日現在
(1) 日本
種別 絵 画 彫 刻 工芸品 書跡・典籍
古文書
考古資料 歴史資料 合 計
時代
旧石器         8   8
縄文         79   79
弥生         85   85
古墳         145   145
上古     4       4
飛鳥   118 25 7 7   157
奈良 13 116 132 234 66 1 562
平安 150 1,412 319 608 72   2,561
鎌倉 687 682 947 850 19 11 3,196
南北朝 126 60 253 195 5 1 640
室町 267 90 211 110 1 15 694
桃山 120 10 141 34   6 311
江戸 235 12 133 74   49 503
近代 32 4       7 43
1,630 2,504 2,165 2,112 487 90 8,988
(2) 外国
種 別 絵 画 彫 刻 工芸品 書跡・典籍
古文書
考古資料 歴史資料 合 計
国別/時代
東洋 中国 唐以前   16 4 17 19   56
6 36 28 58 3   131
五代十国       1 2   3
宋・元 193 4 82 308 1   588
明・清 41   24 2 1 2 70
240 56 138 386 26 2 848
朝鮮 33 3 46 10 2 2 96
その他     2       2
273 59 186 396 28 4 946
西洋   1 10 3   8 22
合計 273 60 196 399 28 12 968
国宝・重要文化財(美術工芸品)の所有者別件数(平成12年4月1日現在)