non-alcohol”でお願い  

 

 

 

 「兄さんほら、ちゃんと歩いて。ほらほら、この階段上がったらもう玄関だよ。もう少しだから頑張れ」

 「ん〜?あるぅ〜・・・・・うふ、うふふ・・・・・・・にゃ〜ん・・・ゴロゴロゴロ・・・・なんちゃって〜・・」

 「その下手くそなネコの真似はやめなさい。頬ずりなんかしなくていいから真面目に歩いて」

 「えええ〜じゃ、犬?犬の真似いっとくぅ〜・・・?わん、わん、わっわ〜ん♪」

 
 「なにもしなくていいから」


 

 は、いけないいけない。一応午前も回っているのに、玄関口でこんな大声を出してはご近所迷惑甚だしいよね。さて、何ゆえこの人が、こんな状態になっているのかといえば、動物の生体練成を行った代価として、犬猫に精神を乗っ取られたという訳ではもちろんない。

 今日は、僕たち兄弟が勤務する錬金術研究所の創立記念日だった。それも、30年目という節目の年に当たるということで、昼間は研究所挙げての盛大な式典が催され、夜は夜でその打ち上げとばかりに、親しいもの同志が誘い合い街のあちこちに繰り出して、酒を酌み交わし盛り上がっていた。兄と僕もその例に漏れず、同じ部門の人間や、良く見知った仲間達と連れ立って近所のパブでささやかな酒宴を楽しんでいたのだが。





「あれ?エドワードさん、それ、何飲んでるんです?ピンクのビール?」

「・・・チッ・・・・いいから、気付くなよ。そんな余計なトコに」

 

僕の隣に座る兄さんが、テーブルの向かい側から声を掛けられ、さも迷惑そうに言い返している。そう、兄さんがこっそり飲んでいるのは、最近女性や子供の間で爆発的ヒットを飛ばしているドリンク。

 

 「「「「それ、ストロベリーソーダじゃないっすか?」」」」

 

 周囲の研究所スタッフ達に一斉に指摘され、兄さんは「見るな」とばかりに、テーブルの傍らに置いてあったメニューで、そのピンク色の液体の入ったグラスを隠した。ああ、折角皆にばれないように上手にオーダーして、目配せしたウエイトレスさんからこっそり受け取った兄さんの苦労は水の泡だ。

 

 兄さんは、アルコールの類をまったく、一切口にしない人だ。大人になり組織に所属すれば、付き合いで必ず酒を飲む機会があるわけだが、渋々出席した飲み会などでも兄さんがお酒を飲んでいるのを、僕は見たことがない。
 ただ、過去に一度だけ、まだ17,8歳の頃だったろうか。錬金術で『納屋の蝶番を修理してくれたお礼に』と、近所に住むおじさんがくれた年代もののスコッチを、興味本位で僕と二人で味見した事があるくらいだ。その時はほんの舐めた程度だったけど、兄さんは呑むと眠くなる性質らしく、すぐに自分の部屋に引き揚げてしまったように記憶している。
 そんな兄さんは、今日もやはり、アルコールを飲まないつもりでいるらしかった。

 

 

 「るっせーよお前ら。別にいいだろ、アルコール嫌いなんだよ俺ァ」と、ガラ悪く唸っている兄に向けて、酒の席ならではの気安さで、方々から揶揄の声がかかる。ふふふ。兄さんがあまりにも可愛いから、皆構いたくってしょうがないとみえる。

 

 「エドワードさん、そんな“嫌い“って・・・・。餓鬼じゃないんですから」

 あ。まずい。今のは地雷ぎりぎり掠めたって感じかも。

 
 「でも24歳成人男性にあるまじき似合いっぷりですよ。その可愛いピンクの飲みのもと、エドワードさん」

 ああ。どうかなどうかな?紙一重・・・・?僕もいい加減ハラハラするよ。皆そろそろ黙っといたら?

 
 「でも、アルコール飲めないなんて・・・ホンットそんな感じっすよね。なんかこう、普段から綺麗で可愛らしくって・・・・」 

 ああああ。とうとう禁句が出てしまった。さて兄さんは・・・?おや意外にもノーリアクションですね。これはきっっと後の大爆発に備えてタメを作っているとみた。

 
 「でも嫌いなら嫌いで丁度いいんじゃないですかね?ほら医学的見地からみてもアルコール摂取と成長不良の因果関係が証明されてるし、飲まないで済むに越したことはないというか・・・・・」

 それ駄目―!!はい、いまのでスイッチオン!

  

 「てめぇら・・・・今生に遺しておきたい言葉はそれで全部か・・・・・?ああっ?」

 
 
「誰がピンクのお似合いな可愛い成長不良の餓鬼か         っ!!!」   

 

 毎度毎度、まったくお馴染みのパターンで、兄さんがひっくり返そうとするテーブルを、周りの皆で何とか押さえ事なきを得たが・・・・・。ようするに、アレでしょ?みんな怒る兄さんが可愛くて、それを見たいがためにわざとやってるってわけだ。ま、気持ちは分からなくもないけど、あんまり好き勝手されちゃうのも僕としては面白くない部分もあって。つい。

 大勢の同僚に囲まれるようにして宥められていた兄さんに腕を伸ばし、自分の胸に引き寄せた僕は、後ろから兄さんの耳に唇をふれさせて、そうっと囁いてあげた。


 「兄さん?ほら、いい加減にしないと。お店に迷惑かけちゃうでしょ・・・?おとなしく、出来るよね?」

必殺!エロボイス発動!


 「ぅああ・・・・・っん」

 
 予想以上に大きく響き渡ってしまった兄さんの色っぽい声に、周囲は一瞬の静寂に包まれた後、何やら意味深な空気と目配せが飛び交う。
 ああ、しまった僕としたことが、なんて勿体ないことを・・・!

 
 『やっべ〜!なんだよアノ声!?』

 『・・・・・恐るべしエロボイスの効力だな・・・』

 『ってゆ〜か、アリか?あんな艶めかしさって!』

 『・・・・・俺・・・・・ちょっと・・・・トイレ・・・・』

 『オイオイオイオイ』

 『俺も・・・・トイレ、なんか催してきた・・・・』

 『・・・・・・・うっかりアレで抜いちゃったりなんかしたら、もう顔合わせられないっスよねぇ〜はははは』

 『・・・・・・・・・・お前も、行っとけば?』

 『・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 ひそひそと囁きあう同僚達の声が、兄さんにも聞こえたらしい。あまりの恥ずかしさに声も出せないらしく、顔を真っ赤にして涙を溜めた上目使いで睨みをきかせ、僕の背中を可愛い拳でガンガン叩いてくる。

 あははははっ。何って可愛いんだろうか、この人は。なんて平和に笑っている僕の横で、不意に兄さんが次なる行動に出たようだった。


 がたがた椅子をならす音に兄さんの方に目をやれば、ふたつ繋げて並べた椅子を踏み台にして、行儀悪くも土足で仁王立ちしている。

「おらおら〜!その腐れ目ン玉よぉーっく、かっ開いてみやがれ!この俺様がこんなアルコールごとき呑めないとでも思ってるのか!?こんなもん!一気で軽くいってやるぜ!!!」 

 
 あ〜あ〜。まったく相変わらず餓鬼なんだから。恥ずかしさのあまり、突飛な行動に出て気を紛らわそうという魂胆らしいが。あっ!待って!そっちのグラスは駄目だったら・・・・・!!

 
 「ん、ごくごくごくごくごくごく・・・・・ごっくん・・・」

 「兄さん・・・・・・・・!」

 「・・・・・・・・・・んあ?」 

 
 兄さんが飲み干してしまったグラスには、僕の飲みかけのスコッチが
(もちろんストレートだ) 半分以上入っていたのに。 たしかこれって、アルコール度40%くらいなかったっけ・・・・?大丈夫だろうか。

 
 「・・・・・あれ、何か、あっつーくなってきたぁ・・・・んんん〜」

 
 兄さんは目をトロンとさせて身体ごと擦り寄ってくると「んん        っ」と、僕の首筋に濃厚なキスをお見舞いしてくれた。コラコラ兄さんてば、皆見てるんだから・・・・・・ウレシイけど。

 
 「あるぅ・・・・・あ、る?あるほんすぅ〜・・・・」

 うわ・・・・・参った。これは幾らなんでもあんまりだ。その舌っ足らずな口調が、アノ時の兄さんの声を連想させる。これは・・・・・クる。

 暑い暑いと言いながら、まるで誘っているようにしか見えない仕草で、シャツのボタンを外している。ひとつ、ふたつ、みっつ・・・・よっつ         って、わー駄目駄目!ダメだったら!こんな獣の巣窟で兄さんの柔肌を晒すわけにはいかないんだってば!!      

 これはもう、すぐに家に連れ帰らなければ何しでかすかわかったものじゃないと、僕はこの飲み会の仕切り役である友人に先に帰る旨を告げに、一度席を離れた。しかし         再び席へと戻ってきた僕の目の前で繰り広げられていたのは、信じられない兄さんの乱れっぷりだった。

 

 「あるほんすぅ〜。んー、ちゅっ。・・・・・・・あ、ここにもあるほんす。へへ。ンちゅーっ」 

 兄はなんと、周囲にいる野獣どもひとりひとりの頬に、キスを配っているのだった。しかも、合点承知とばかりに先を競い合うことなく、済んだ者は左へ流れ、まだの者は右側で整然と列を作っている始末。

 多分このとき兄さんの脳内では、様々な僕が複数いて自分を取り巻いている・・・・いわば、バーチャルあるほんすハーレム状態を体感しているらしかったが。もちろん、だからといってそれを黙認するような僕ではない。    

 まったくどうしてくれようこの馬鹿兄は。

 

 「・・・・・何を暗黙の了解とばかりに列を作っているんです?そんなにまで人肌が恋しいのなら、僕があなた方のその寂しい頬に、熱〜い愛の一撃を差し上げてもいいんですよ・・・・・・・?」
 にっこりと笑って拳を固める僕の姿を目の当たりにした野獣共は、蜘蛛の子を散らすように各々の席に戻っていったのだった。

 

 

 

 そんなこんなで、ようやくこの人騒がせな酔っ払いを自室のベッドまで運び、コートと靴を脱がせた僕が、

 「兄さん。水飲むならここに置いておくから、いい?ちゃんと聞いてるね?」と水差しのある場所を教えると、 

 「ある・・・・・・・」と掠れた艶っぽい声で、兄さんが僕を呼んだ。 

 

 「なあに?飲むの?水」 

 僕の問いに、しどけなく横たわって目を閉じたままの兄さんが肯くのをみて、グラスにさほど冷たくない水を注ぎ手渡そうとした瞬間、 およそ兄さんの口からは到底紡がれることさえ考えられなかった台詞が飛び出した。 
 
 「飲ませて・・・・・お前の口で・・・・・」

 

もしもし?兄さん?あなたはダレデスカ・・・・・?

 

「に、兄さん・・・・?ホントに、もう。ここまで甘えんぼさんになるなんて、信じられないよ」

「う、ふふふ・・・・・ん。あ〜る〜ぅぅ・・・みず・・ちょ〜だ〜い?」

僕は水を口に含むと、にこにことご機嫌な様子で手を伸ばしてくる兄さんの肩に腕を回し、その身体を抱き起こして、唇をあわせた。

「ん・・・・っ、んくんくんく・・・・・ふう・・・・・ん」

「・・・・・・・・・・・・・!」

兄さんの舌が、離れようとした僕の唇を、つ・・・と、舐め上げて、あろうことか、そのままむしゃぶりついてくる。まるで、赤ちゃんがお乳を吸うみたいに、ちゅ、ちゅ、と音をたて一心不乱に必死に吸い付いてくる様子に、僕の激情のバロメーターは一気に計測不能なまでに上昇してしまった。このまま母さんのいる天国まで飛ばされてしまいそうな、サイケデリックな感覚に苛まれながら、僕はその衝動のまま兄さんを組み敷いた。

 

 

既に3つ目まで外されていた残りのボタンを引きちぎるように乱暴に外し、袖を抜く。ボトムも下着も靴下も、いつもはここで抗う兄さんが協力的に身をよじってくれたおかげで一気に取り去る。そして、自分も服を脱ぎつつ、しどけなく横たわる兄さんを改めて見下ろせば、そこには・・・・・・。

いつもは真っ白な肌は、全身うっすらと桜色に染められていて、胸の可愛い飾りはすでにツンと立ち上がっている。恥ずかしげもなく、すこし広げるように投げ出された両足の中心には、もう勝手にひとりで出来上がってしまった可愛い“兄さん“がふるふると涙をあふれさせていた。その溢れたものが、その下にある愛しいふたつの膨らみと、さらに奥まったところにある蕾まで濡らしていて・・・・・。


 ハレルヤ・・・・!なんて素晴らしい光景・・・・!ありがとう神様!いや、それよりも、ありがとう母さん!兄さんをこの世に生み出してくれたあなたはなんて偉大な人なんだ!この、殺人的に扇情的な兄さんは、必ず弟のこの僕が全身全霊をかけて、責任を持って満足させることを誓います!!
       と、食前(?)の祈りを捧げている僕の下腹部に、温かな感触が・・・・・・・・え?嘘でしょ?


 ・・・・・・兄さんが、僕の・・・・ソレを口に含んでいた・・・・・・・。こんな事、今まで兄さんにはお願いしたこともなかったのに、一体どうしてこんな嬉しいことをしようと思ってくれたんだろう、この人は。次々と襲い来る嬉しくもショッキングな事態に、僕の神経はブラックアウト寸前だ。

 兄さん兄さん・・・・・・・・・凄く気持ちいいよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下手だけど。



 「ある・・・・?これでいいのか・・?あってる?こんなで・・・?俺、ちゃんと出来てる・・・・?」

ふと、顔を上げてそんな事を聞いてくるから、僕はもう、僕はもう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キレた。

 

 いつもは、きちんと雰囲気を演出して、それなりの濃度になってからゆっくりと手順を踏み、感じさせ、十分にほぐして、それから・・・・・なのに。僕の理性は今遥か彼方にあって、兄さんを気遣ってあげる余裕さえなかった。乱暴にシーツの上に引き倒しその両足を広げると、前への愛撫もそこそこに、いきなり兄さんの身体を貫いた。その途端、組み敷いた身体がその衝撃に身体を大きく逸らすと、びくびくと全身を痙攣させて・・・・・・・兄さんは、達していた。

気を失っているらしく、僕を下に銜え込んだまま力なく手足を投げ出しているその身体を、僕は気遣うこともできないまま、突き上げて、揺さぶり続けた。激しく、猛烈に、飢えた獣のように。途中で意識を引き戻された兄さんは、止む事無く続く激しい追い込みで、またすぐに絶頂と共に気を失い、そして再び引き戻され、そしてまた・・・・・・・・。

 

「あああ・・・・・・・っ!んん・・・・・ふっう、・・・・はあ、あう・・・・・・・は、ある・・・・っ」

「ごめん・・・・ホントに、あとで、いくらでも謝るか、ら・・・・っ、・・・・・・んっ」

 

 「ふ・・・っ、ふう、んあ・・・っあ、る・・・・・・ああん・・・・いや・・・・あ・・・・あ・・・・!」

 「にいさ、ん・・・・・・兄さん・・・・・・・にい・・・・・・・」

 

 「愛して、るよ・・・・・・・・・エドワード・・・・・・!」

 「うああ・・・・・・んっ、あ、あ、あ        !!」

 

幾度も幾度も、夢と現実の狭間を行きつ戻りつしながら、その度に腕の中でのたうちまわり、快感に身を捩じらせて、あられもない声を上げる愛しい人を、僕は自分を止めることもできないまま、延々と朝まで貪り続けてしまったのだった。

         

  

 

目を覚ましてみれば、時計の針は昼の12時を回っていて、今日が休日でよかったとホッと胸をなでおろしつつ、自分の目の前に広がる絶望的ともいえる光景に目をやった。

夢中で行為に耽っていたために、時間の感覚は曖昧だったけれど、最後の山を越えた直後に、新聞屋の自転車の音を聞いた覚えがあった。勤勉な新聞配達員は、いつも定刻どおり朝の5時30分にやってくる。つまり・・・・・深夜、12時過ぎ頃帰宅してすぐの後から、延々と少なくとも5時間以上もの間兄さんの身体を酷使していた事になるわけか・・・・・。
 自分のすぐ横でシーツに沈み込み、死んだように眠る兄さんをみて、僕は無性に泣きたくなった。

金の髪はすっかり乱れて、そこここで縺れている。行為の最中は上気していた頬も今では青ざめてさえいて、涙の跡を残している。眠っている兄さんの身体をバスルームに運ぼうと、纏っていたシーツを取り去ってみれば、その全身のありとあらゆる箇所に数え切れない程の鬱血のあとが散っていた。胸の飾りは乱暴に扱いすぎたせいで赤く腫上り、だらりとした足の間には注ぎ込まれたあと流れ出た行為の残滓が、大量に乾いてこびりついている。出血こそしていないようだが、自分の余裕のなさを再確認させられ、がっくりとうな垂れた僕だった。

 

 未だ意識の戻らない兄さんの中から行為の残滓を掻き出し、丁寧に洗ってから、温めのお湯をたっぷり張ったバスタブにその身体を横たわらせる。髪を濡らし泡立てたシャンプーで、昨夜してあげられなかった優しい動作でゆっくりと洗ってあげながら、僕は考えていた。兄さんが、決してアルコールを口にしなかったその理由を。

 

「・・・・・・・・ん。・・・・・アル・・・?」

 「待っててね。今シャンプー流すから、じっとしていて?」

 
 目を覚ました兄さんが、けだるそうに、そして不安そうに独り言ちる。

 「・・・・・・俺、どうして風呂はいってんの?・・・・つか、昨日どうやって帰ったのかおぼえてねぇ・・・」

 
 シャンプーを丁寧に流したあと、手に取ったトリートメント剤を揉み込んで、また洗い流す。

 「兄さん。昨日グラス半分のスコッチを一気に呷ったの、思い出せない?」

 

        オレッ、の、のんじまったのかっっ!?」

 

 言うなり、すごい勢いでざばりとお湯を跳ね上げた兄さんは、次の瞬間には自分で支えきれない身体を僕に縋りつかせてきた。そしてすぐに、身体の奥に残る感触と、全身を覆う倦怠感に気がついたんだろう兄さんの顔が、真っ赤に染まった・・・・・・・・と、思ったその次の瞬間には、真っ青になっている。
 やがて、僕の腕に縋りついている兄さんの身体から、カタカタと振動が伝わってきた。

 
 「アル・・・・・・・俺、何かした・・・・・・・・?ヘンなコト・・・・・とか・・・・・」

 不安そうに聞いてくる兄さんの様子に、やっぱり、と合点がいった僕だった。
 
 なんだ、だからだったんだね。兄さん。

  
 「大丈夫。その前に僕が連れて帰ってきちゃったから、心配ないよ」

 「うあああ!!やったんだ俺!?やっぱりやったんだな!?ああああ〜俺の馬鹿馬鹿!この豆粒野郎!ミジンコ錬金術師!プリンセス=エドワード!!毎晩のオカズ百撰!!」

 
  ・・・・・兄さん。いつも自分の研究室で、そんなこといわれて苛められてたんだ・・・・・・可哀相に。                   


 うわあ〜んと可愛らしく泣き叫ぶ兄さんをぎゅっと抱きしめてあげる。可愛い可愛い、愛しい僕の兄さん。

 

 「愛してるよ。大丈夫。あなたが心配することなんか、何も起こらなかったよ。だけど、ごめんね兄さん」

 「え?」

 「あんまり酔った兄さんが色っぽくて昨日歯止めがきかなかったんだ。身体つらいでしょう?」

 「・・・・・・俺、発情期みたいになってたろ・・・多分。」

 「まあ、・・・・・・う〜ん。ほぼ、そんな感じ。でも僕はそのあと理性飛んじゃってたからなぁ。残念ながら昨夜の兄さんのこと、あんまりおぼえてないんだ、実は」
 
              嘘だけど。

  
 
 昨夜のあの、恥じらいを捨て去り、激しく僕だけを求めて快感を貪る兄さんの壮絶なまでに美しい姿を、僕が忘れることは生涯ない。でも兄さんがそれを望まないのなら、忘れたふりをしてあげる。だからね、約束だよ兄さん。

 

 

「もう、どんなことがあっても、絶対にお酒をのんだら駄目だよ?」

  

  




 

    う”を〜〜!!”書く”は一時の恥!“書いちゃった”は一生の恥〜〜〜!! ****  190912  *****




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