設計説明
閑静な住宅街にあるこの建物は、道路より2m程上がった小高い敷地の上に根をおろします。 南側にみえるロケーションは、本の1ページにでも出てきそうな、清々しい街並みの景色と 心地よい風が舞い込む大切な場所だと考え、私は直感的に道路からもみえないその場所に中庭を 置きそのお庭を囲むように、それぞれの部屋を配置すべきだと思いました。そしてその中庭からも、 勿論1・2階のどの部屋からも心ゆくまで風景を眺められる「視線の抜けのいい住宅」となり、 随所に陽溜まりとなるスペースが出来たのです。
規模も間取りも開けはなった住宅なので、他の部屋とは相反した、ちょっとこもれるような 本棚に囲まれた小さめの書斎もしつらえました。この住宅の「ちょっとした仕掛け」として 唯一和室の部屋は、長い雁行した廊下の向こう側に据え置き離れ的な感じを醸し出し、更に 平屋建ての瓦拭きとし風景に対して平身低頭するような低く抑えた趣のある別宅感を演出し、 日常と切り離された空間に仕上げました。 (平面図はこちら)
この住宅がクライアントの生き方の姿勢を支える器(うつわ)になることを願います。