フランス料理店は、日常の雑事を忘れ、非日常空間に流れるゆったりとした時間を楽しむ場所です。
携帯電話のスイッチは、入店前に切ります。最高の雰囲気の中で食事を楽しんでいるときに、突然携帯電話のベルが鳴り出したとしたら、いっしょに食事を愉しんでいる全員に迷惑です。
仮にスイッチを切り忘れてベルが鳴ってしまったら、少し大き目の声で「失礼しました」と周りの人に詫びて、お店の外に出てから通話します。僕の携帯電話は、ベルは鳴らないでバイブレーション機能だから大丈夫というのは屁理屈というものです。
タバコは、デザート終了までは禁煙というのが常識です。料理の楽しみは、味、色、香りといろいろありますが、タバコは香りを台無しにします。デザートまで来て吸うときにも、シガールーム(もしくはコーナー)に移動することが大前提です。やむを得ず、テーブルで喫煙する場合でも、隣の席の客に断わるのがマナーです。
入り口を開けて、お店の中に入ります。このとき、カバン・カサ・コートは預かってくれます。(支払いに使うクレジットカードや財布は事前に内ポケットに移しておきます)
階段を降りるときは男性が先、登るときは女性が先となります。これは女性が転んだときに、男性が支えてあげるためです。入口に着いて以降は女性が先になります。着席する際、ギャルソンは良い席を先にあけて準備してくれるので、女性に良い席を譲るのが一般的マナーです。ただし、男性がお店全体の様子を見回してコントロールした方が望ましい場合には、と僕は考えます。このような場合は、一言「今日は僕が奥の席でもよい?」と相談するのは当然です。
席についたら、サービス陣から、「食前酒(アペリティフ)はいかがですか
(食前酒は思いのほか高いし、アルコールに弱い人は無理して飲むと後で困る)」
回答例1「ええ、何がありますか」
回答例2「ノンアルコールのものは何かありますか」
回答例3「すぐワインで始めようと思いますので結構です」
☆注意点
居酒屋気分で、「(とりあえず)ビール」などというのは、論外です。なぜなら、ビールは思いのほか満腹感をもたらします。つまり、「これから出てくる料理は足らないから、あらかじめビールで満腹にしておく」と宣言しているようなものです。「こちらは客だ。何を頼もうが勝手」と開き直るのは簡単ですが、これでは、お店として面白いはずがありません。おのずから接客態度も芳しくないものに変わってしまう可能性もあります。
☆ナプキンをとるタイミング
着席してすぐでも、オードブルが出るまで待っていても、ギャルソンにうながされるまで放置していても、どうでもよいようです。私は、着席してすぐに取るようにしています。なお、ナプキンは汚れをふき取るためにあるので、汚れることを気にせず使うべきです。
メニュー(場合によっては、ホワイトボードに手書き)を見ながら、料理の説明を聞きます。前菜からメインまで、特に「今日のXX(前菜、スープ、魚、肉)」についてはよく聞いておきます。はっきりいって、一回聞いただけで全部の内容を記憶するのは難しいです。(可能な人もいるかも知れませんが)
そこで、ポイントを絞って聞きながらチェックします。具体的には
a)コース料理の場合:自分の嫌いなものがはいっていないかのみをチェックします。
嫌いなものが1つもしくは2つ程度入っている場合には、嫌いな食材を告げて、
コース内容の一部変更を頼んでみます。
多くの場合 料金upなしで対応してくれます。
b)アラカルトの場合:嫌いな食材ははずして、食べたいものを中心に、
メインから選択していきます。原則として、同系統の味が重ならないようにします。
しばらくすると、「注文はお決まりですか」と聞かれますが、この段階で迷っても問題ありません。
迷いがある場合には、回答例1〜4を使います。
回答例1「メインはXXにしたいのですが、前菜は何がお奨めですか?」
回答例2「今日のお奨めは何ですか?」
回答例3「これはどういう料理ですか」
回答例4「もう少し待ってください」
回答例5「では注文をお願いします」
料理が決まったところで、ワインの注文となります。サービス陣(多くの場合は、ソムリエもしくは
ソムリエール)から「飲み物はどうされますか」と聞かれます。
回答例1「ワインリストをください」
回答例2「赤(白)のグラスワインをください」
回答例3「水をください」
ワインリストは、小さい店でも15種類程度、大きめな店になると50種類以上のワインを揃えています。種類の多いワインリストから1本を決めることはなかなか大変ですが、そのプロセスを楽しめるようになるとフランス料理店に来る楽しみが1つ増えます。
ワインリストを渡されてからしばらくすると、「(注文は)お決まりですか」と聞かれますから、
回答例1「ワインリストの中で、予算価格のあたり(例:8千円)を指差しつつ、
このくらいで飲みやすいのは何ですか」
回答例2「(お目当てのワインを指差して)このワインをください」
回答例3「(注文した)料理にあうワインは、何ですか」
(注意)この回答例は、少しはワインを愉しんだ経験がある人向け。
なぜなら、「どのようなお好みですか」などと聞かれることが多いからである。
この場合の回答のポイントは、
「軽い/重い」と「ボルドー/ブルゴーニュ/その他」の選択
を明確にすることです。
☆ワインリストの秘密(番外編)
・小売価格帯を知っていれば、上乗せ金額がわかります。概ね小売価格の2倍程度
あるいは5千円程度を上乗せしてあることが多いようです。もちろん、滅多に出る
ことがない超高級品は、小売価格の3倍程度を設定している場合もあります。
・フランス料理店の場合、どうしてもフランス産のワインに偏る傾向があります。
特にボルドーとブルゴーニュが多いと思います。この他に、ロワールや
コート・デュ・ローヌなどの他の産地を加えている店は、ワインについても十分な
配慮がなされている良いお店であることがわかります。
また、イタリア、スペイン、南北アメリカなどから良質なものを加えてあるお店は
少ないです。
注文が終わるとすぐに、アミューズ(グール)と呼ばれる少量の料理が出されることがあります。日本料理の突き出しですから、「こんなものは頼んだ覚えがない」「これが頼んだ前菜?!」と言って慌てる必要は全くありません。