フォーラム趣意書

 近年の「理論的方法の進歩」と「計算機の高速化」に伴い、計算物理・計算化学に おける計算プログラム類で充分に使い込まれたものを、実験における汎用の「測定機 器」のように、だれでも容易に利用できるものに変身させ、その使用方法も適切な問 題に丁寧に活用していくことで、より簡便で信頼度の高いものに改良し、普及するこ とが可能になりつつある。

 現状では2つの大きな問題が残されている。

 現在、理論科学による構造・物性の予測は、無機化合物・金属・半導体の単結晶な どでは実験値と数%の差異のところまで来ている。しかしながら、現実の物質は多成 分体であり、これをそのまま扱うには無理がある。有機化合物の場合、低分子系では 実験値をほぼ再現する結果を得られる様になってきたが、高分子系ではハードウェア (計算機資源)・ソフトウェア(計算手法)からの制約上、十分な結果が得られてい るとは言い難い。今、計算物理・計算化学は分子科学でそして物質科学で役に立つた めに必要な基本技術の開発に向かっているように思われる。様々な市販アプリケー ションプログラムの登場により、その「基本技術の開発」の土台は徐々に揃ってきた とは言え、現時点では十分とは言い難い。

 本研究会では、これらの現況を鑑み、「物質科学で役に立つために必要な基本技術」 の根幹として、原子から固体まで広く適用できる汎用性を有する「密度汎関数法」に 注目し、柔軟な組織構造において各自が得意とする分野で力を発揮することによって、 世界レベルで通用する「新しい密度汎関数法プログラム」を開発することを目指して いく。

具体的な活動予定としては、以下の内容を予定している。

a)立ち上げ期(1年目)

b)発展期(2年目)

c)展開期(3年目以降)

 以上のように、本研究会では、幅広い分野の理論/実験科学者が共にネットワーク に集い、柔軟な組織構造において各自が得意とする分野で力を発揮することによって、 世界レベルで通用する「新しい密度汎関数法プログラム」を開発することを目指して いく。 


CMS運営委員会メンバー

委員長

塚田 捷 (東京大学理学系研究科)

委員

里子 允敏 (日本大学文理学部)

委員

大西 楢平 (日本電気株式会社 基礎研究所)

委員

伊藤 聡 (株式会社東芝 基礎研究所)  

委員

渡辺 尚貴(東京大学理学系研究科塚田研)

委員

川原田 雪彦 (@nifty FCHEMT【計算】会議室議長)

 



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