主 催：計算物質科学フォーラム
後 援：日本大学文理学部自然科学研究所、ＣＡＭＰグループ
応用物理学会、日本化学会
日 時：研究会：１１月１９日（金），２０日（土）の２日間
場 所：日本大学会館701会議室 電話 (代)03-5275-8112
〒102-8275東京都千代田区九段南4-8-24
＜第一日目＞11月19日(金)
◎開会の挨拶(9：50 〜 10：00)
��.密度汎関数法１(10:00〜12:00)
��10：00〜10:30
＜タイトル＞ Pseudopotentialを用いたクラスター計算プログラムLCPSAO法の紹介
＜発表者＞（株）NEC情報シズテムズ 亘 紀子
＜要旨＞LCPSAO法とはLinear Combination of PSeudo-Atomic Orbialの頭文字を
とったもので密度汎関数法とノルム保存擬ポテンシャルを用いたクラスター
計算プログラムである。
すべての計算を数値的に行い、高い対称性も扱えるという特徴がある。
これらの設計方針と特徴から、特に重い遷移金属のクラスター計算をするのに
適している。
講演では長所短所についての説明と、
プログラムに適した計算例の紹介などを行う予定である。
��10：30〜11:00
＜タイトル＞ 固体のためのFull-Potential LCAO法の開発
＜発表者＞鈴木修吾(筑波大学物質工学系)
＜要旨＞LCAO法は、full-potential計算法の開発により密度汎関数法による分子
・クラスターの構造と電子状態の研究において大きな成功をおさめている
のに対し、固体の研究においてはあまり使用されていない。本講演では、
full-potential計算法を取り入れたLCAO法が固体の研究においても有用で
あることを示す。さらに相対論効果の重要な系や大きな系を扱う上での利点
についても議論する。
��11：00〜11:30
＜タイトル＞ 擬ポテンシャルデータベースＮＣＰＳ９７について
＜発表者＞無機材質研究所 小林一昭
＜要旨＞本講演では、以下のことについて話す予定である。
（１）擬ポテンシャルについての歴史と概観
（２）ノルム保存型擬ポテンシャル
（３）データベース化とその内容、意義
（４）ＮＣＰＳの今後の展望
（５）日本のバンド計算ソフトウェアについて
全体の流れとしては、筆者がＣＤ‐Ｒによって配布している、ノルム保存型
擬ポテンシャルデータベースＮＣＰＳ９７について、その作成の道筋と内容の
概観を中心に話を進めていく。
��11:30〜12:00
＜タイトル＞ Ultrasoft擬ポテンシャルの構成と応用
＜発表者＞山内 淳（東芝 研究開発センター）
＜要旨＞1990年にD. Vanderbiltにより提案されたultrasoft擬ポテンシャル
は平面波基底を用いた第一原理計算を効率良く行えるために広く使
われている。この擬ポテンシャルの特徴は、
ノルム保存条件の緩和による平面波基底の減少
複数の参照エネルギー準位を用いることによるtransferabilityの向上
に集約できる。この特徴とその背景からポテンシャル構成を解説し、
現在までの応用例を紹介する。
△昼食・休憩(12：00 〜 13：30)
��.第一原理分子動力学(13：30〜15：30)
��13:30〜14:00
＜タイトル＞ First Principles Dynamical Simulations of Chemical Reactions at
Finite
Temperature: an overview and some examples
＜発表者＞Mauro Boero(1), Yoshitada Morikawa(2) and Kiyoyuki Terakura(2)
(1) JRCAT-ATP and (2) JRCAT-NAIR
＜要旨＞
Simulations of chemical reactions is generally a hard task. Phenomena
occur
on a time scale that both quantum and classical dynamical simulations
cannot
directly afford and often involve the overcoming of relatively large
energy
barriers which prevent direct application of the more standard molecular
dynamics techniques. Nevertheless, the accurate simulation of a chemical
reaction at realistic thermodynamical conditions is of great relevance not
only in academy but also in industry. Furthermore, one wish to treat both
the reactants and the relevant environment (support, solvent, etc.) at the
same level of accuracy. This is the strength of First Principles Molecular
Dynamics approach, that, in connection with other recent techniques, has
been shown to be able to realistically simulate both the atomic and
electronic
modifications occurring along the reaction pathway, thus allowing for a
complete characterization of the reaction itself. In this work, we revise
briefly the more recent computational tools available to simulate a
chemical
reaction as it occurs in a laboratory or in an industrial plant, pointing
out the relevant advantages and limits. As examples of applicability, we
discuss briefly the Ziegler-Natta heterogeneous catalysis of olefins and
the gas phase pyrolisis of Alkyl-Ga and -As compunds.
��14:00〜14:30
＜タイトル＞第一原理分子動力学法を用いた物質の熱力学的性質の計算
＜発表者＞杉野修（NEC基礎研究所）
��14:30〜15:00
＜タイトル＞ CAMP プロジェクト
＜発表者＞善甫康成（住友化学）
＜要旨＞CAMP プロジェクトは1990年に企業の研究者がそれぞれの制約を超え、
計算法の議論の場として、誰もが使えるようなベースとなるソフトを作る
ことからスタートした。最初に我々が作ったベースコードが"CAMP-Atami"
である。また、最近の計算技術の発展に合わせて、平面波基底、混合基底、
適合座標、並列計算法や擬ポテンシャルなどの開発など、活動は活発に
行われており、その概要と将来計画について述べる。
��15：00〜15:30
＜タイトル＞ XMLを活用した知見情報共有システム
＜発表者＞斉藤隆之（CAMPプロジェクト）, 池田隆志（NEC情報システムズ）
＜要旨＞計算科学分野のプログラムの開発と利用をスパイラルに促進する
研究コミュニティを育成するには、ソースコードを公開するだけで
は不十分であり、計算例など多様な情報を共有する仕組みが必要で
ある。我々は、XMLを活用することにより、プログラム入出力と可
視化などのデータ操作をも統合する形で、計算に関わる知見をネッ
トワーク上で共有し、お互いの計算に活用しながらスパイラルに蓄
積発展させることを可能とするシステムを開発中である。このシス
テムを、デモを交えて紹介する。
△休憩(15:30〜15:45)
��.並列計算(15：45〜17：15)
��15:45〜16:15
＜タイトル＞ 電荷可変ポテンシャルを用いた
ナノ構造セラミックスの並列分子動力学シ
ミュレーション
＜発表者＞家富 洋（新潟大理）
＜要旨＞電荷可変の原子間ポテンシャルに基づく分子動力学シミュレーション
により、代表的なセラミックスであるTiO2のナノクラスター焼結過程を
微視的に明らかにする試みについて紹介する（山口大、岡山大、広島大、
ルイジアナ州立大との共同研究）。
粒界近傍では非一様性に起因する原子間の電荷移動の変化を考慮すること
が重要である。また、粒子数１００万規模の大型計算が最終的には必須で
あり、有用な並列技法についても概説する。
��16:15〜16:45
＜タイトル＞ 有限要素法に基づく大規模電子状態計算
＜発表者＞土田 英二 (産業技術融合領域研究所)
＜要旨＞本講演では、有限要素法および適合曲線座標系を用いた電子状態
計算法 [1,2] について説明する。特に実装の詳細や並列化の方法に
ついて触れる予定である。又、最近の応用例である液体メタノールの
シミュレーション [3] についても紹介する。
[1] E.~Tsuchida and M.~Tsukada, Phys.~Rev.~B {\bf 54} 7602 (1996).
[2] E.~Tsuchida and M.~Tsukada, J.~Phys.~Soc.~Jpn. {\bf 67} 3844 (1998).
[3] E.~Tsuchida, Y.~Kanada, and M.~Tsukada, Chem.~Phys.~Lett., in press.
��16:45〜17:15
＜タイトル＞ 波動関数の時間発展の高速で安定な計算法
＜発表者＞渡辺 尚貴 東京大学大学院 理学系研究科
＜要旨＞我々は時間依存 Schroedinger 方程式から波動関数の時間発展を
数値的に効率良く計算する計算法を開発した。この計算法は Ceyley形式
(Crank-Nicholson法)を基礎として拡張したものであり、3次元系、ベクトル
ポテンシャル、有限要素法、周期境界条件、適応刻幅制御、並列計算に適応
できる。本講演ではこの計算法のアルゴリズムの詳細を紹介する。
��.ソフトウエア工学(17:15〜17:45)
��17:15〜17:45
＜タイトル＞ 情報と知の共有へ向けて
＜発表者＞奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科／（株）SRA 中小路 久美代
＜要旨＞Web の普及に伴い個人が構築したデータや情報，知識を共有すること
が技術的には可能となった．しかし，必要な情報の存在をいかにして知
りそれを入手するか，入手した情報をどう理解し自らのタスクに応用す
るか，作業者と利益享受者のアンバランスをどう解決するか，といった，
認知的，社会的側面からの問題を解決しなければ，真に有益な知識共有
は実現しない．本講演では，それらの問題点について説明をおこない，
実例を交えながら情報と知の共有へ向けて必要となる要件について論じ
る．
▽懇親会 18：00〜20：00
＜第二日目＞11月20日(土)
��.専用計算機(10：00 〜 11：30)
��10:00〜10:30
＜タイトル＞ 分子軌道計算専用計算機MOEの開発
＜発表者＞高島 一（大正製薬）、長嶋雲兵（通産省工業技術院産業技術融合領域研究所）
＜要旨＞非経験的分子軌道法、特にHartree-Fock法において、計算時間の99%程度を
占めるのが二電子積分の計算であり、分子サイズの４乗に比例する膨大な
演算量を必要とする。そのため、現実に即した巨大分子系の分子軌道計算
は現在でも手軽に実行できない。そこで、我々は、現状の数十倍程度のコ
ストパフォーマンスを持ち、ワークステーション等に簡便に接続できる分
子軌道専用計算機MOEngineの開発を試みているので報告する。
��10:30〜11:00
＜タイトル＞ 科学技術計算のオブジェクト指向化と専用計算機
＜発表者＞佐々木徹（(株)アプリオリ・マイクロシステムズ）
＜要旨＞DVXα法に基づく量子計算プログラムをC++に書き直し、
オブジェクト指向化してみた。オリジナルのFortranプロ
グラムのデータ構造がオブジェクト指向的であったため、
スムーズに作業できた。さらに計算負荷の重いオブジェ
クトを専用並列機上に移植したところ、WSで実行した
場合に比べて40倍程度高速化することができた。今回は
これを発展させ、専用LSIを組み込んだシステムを短期間
に実現するための専用計算機構成方法についても言及する。
��11:00〜11:30
＜タイトル＞専用計算機を用いた液晶−配向膜界面の分子動力学計算
＜発表者＞上原正光（セイコーエプソン株式会社）
��.計算結果の運用(11：30 〜 12：30)
��11:30〜12:00
＜タイトル＞ バンド計算とグラフィックス表示
＜発表者＞和光信也
＜要旨＞計算物理学においてグラフィックス表示はあくまでも補助的なことで
あるけれども、研究成果の発表において重要な役割を果たすばかりでなく、
研究の遂行においても非常に重要なツールとなってきている。ほとんど周知
のことではあると思うが、少し広い視野から現状をまとめてみようと思って
いる。
��12:00〜12:30
＜タイトル＞ @niftyにおける取り組み＆分子モデリング
＜発表者＞@nifty 「化学の広場」【計算】会議室 議長 川原田 雪彦
＜要旨＞まず、@niftyにおける計算物質科学フォーラムとしての取り組み内容
を報告する。次に、計算科学プログラムを利用したときに生じる問題や疑問
（この多くは、理論科学者から見ればＦＡＱレベルであるが）の中で、入門書
にはほとんど記述されていないが計算の成否を左右する課題である「分子
・クラスターの３Ｄ座標データ作成」について言及する。
△昼食・休憩(12：30〜13：30)
��.量子化学的計算・巨大分子計算(13:30〜15:00)
��13:30〜14:00
＜タイトル＞ 分子軌道計算用フリーソフトDALTONの機能と適用事例紹介
＜発表者＞望月祐志 （科学技術振興事業団・日本原子力研究所）
＜要旨＞DALTONは、SCF、MCSCFを参照する３次までの応答関数法による
分子物性の多彩な評価が可能な北欧のフリーソフトです。
溶媒効果も含められます。また、他のソフトでは困難な内殻励起・
イオン化の問題を扱うことが出来ます。並列化に関しては、SCF
系の計算が対応済みです。講演では、DALTONの機能、及び小職
が手がけた適用事例についてお話し、さらに兄弟筋にあたる全
4成分相対論的計算が可能なDIRACについてもふれるつもりです。
��14:00〜14:30
＜タイトル＞ タンパク質のための密度汎関数法プログラム
ProteinDFの開発と全電子計算
の実現
＜発表者＞九工大情報工学部 柏木 浩
＜要旨＞密度汎関数法をタンパク質に適用して波動関数を求め、電子移動を予測
するプログラムシステムProteinDFを開発した。このシステムはオブジェクト
指向言語C++で書かれ、並列化されている。このプログラムにより43残基の
小型タンパク質の全電子計算に成功した。また別のタンパク質で電子移動
シミュレーションを行い、アニメーションを作成した。
��14:30〜15:00
＜タイトル＞巨大分子系の計算法としてのペア近似分子軌道法
＜発表者＞北浦和夫（大阪府立大学総合科学部）
△休憩(15:00〜15:15)
��.密度汎関数法２（15：15〜16：15）
��15:15〜15:45
＜タイトル＞ 不規則系のバンド計算
＜発表者＞大阪大学大学院理学研究科 赤井久純
＜要旨＞多くの現実的な物質は，合金あるいは混晶系である．例えば，互いに
良く固溶する遷移金属合金をはじめ，ドープされた半導体，高温超伝導体
やCMRで有名になったLaSrMnO3のような部分的不規則を持つ金属間化合物は
すべてこの範疇に入る．しかし，一般的なバンド計算はこれら不規則を
ふくむ系を取り扱うことが得意ではない．この講演では，このような不規則系
を第一原理的に扱うことのできるKKR-CPA-LDAについて，その考え方と実用
プログラム，典型的な適用例について紹介する．
��15:45〜16:15
＜タイトル＞LSDA+U 法を用いた強相関電子系の電子構造計算
＜発表者＞藤原毅夫（東京大学工学系）
◎閉会の挨拶（16:15〜16:25）
以 上
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