この展覧会では、《みんなで選んだ絵》と《絵を描くゾウ》の二つのコンセプトが
紹介されている。《絵を描くゾウ》については、何度説明を聞いてもサーカスにおける
一つの芸のような趣向が強くなっており、ダブルゼータ的には、このコンセプチュアル
アートの難しさをクリアすることができなかった。
《みんなで選んだ絵》は、1つはさまざまな国の人にアンケートをとって好きな絵画、
嫌いな絵画の傾向をアンケート調査を行って調べた上で、その結果を反映させる形で
コマール&メラミッドが描いてみせた作品群。今回は過去15ヶ国に加え、日本も
仲間入り。面白いのが「一番好きな絵」の内容が、どの国も森、海、湖や川といった
自然を捉えた風景画になっていること。人や動物は小さめに描かれている。日本の場合も
「1番好きな絵」はモネの「睡蓮」がモチーフになっていて、印象派が好評なことが判る。
「一番嫌いな絵」は概ね抽象画。日本の場合は抽象画というよりもシュールレアリスム
的&グロテスクな作品になっていた。ただ、これらの作品に作家のどのような主張が
込められているのかを感じ取ることができなかった。これはダブルゼータの感性不足かな。
納得できるチケット代:600円(入館料当日券1,200円)(2002.10.04)
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「自然のイメージを室内に取り込む私たち人間の行為について考える」という
コンセプトがユニークで好きなので、2回も行ってしまいました。展示作品の中には
今回の企画に向けて製作された作品もありますが、メインは川村記念美術館所蔵作品
です。ポイントは企画力の凄さです。各作品が持っている力を新しい切り口で見せて
くれます。恐らく、担当学芸員の方の頭の中ではきちんと整理されているのでしょうが、
素人が単に眺めただけではそこまで到達するのは難しいかも。会場には小冊子が準備
されているし、アーティスト・トークやガイドツアーを聞くと納得はするのだけど、
尚?な部分は残りました。
これは、ダブルゼータの勉強不足もあるのでしょう。ヴィンター&ホルベルトの
<<クレートハウス>>のライトアップを見れなかったのは残念。
納得できるチケット代:800円(入館料当日券1,200円)(2002.06.07,2003.08.
23)
ダブルゼータ好みの現代美術の展覧会です。ルノーが1966年から1985年までの20年間、
フランス美術を単に収集するだけでなく、企業内に作家と共同作業場所を提供し、ルノー
の技術者と作家とのコラボレーション作品を展示したものです。アルマン、
デュビュッフェ、ヴァザルリ、ミショーなど、フランス現代美術を代表する13作家
(必ずしもフランス人でないところが面白い)による約140点が展示されていました。
特にヴァザルリ、アルマン、ソトの作品は新しい息吹を感じさせてくれます。残念なのは
ティングリー作品。習作しか展示されていないので、ティングリーの動く彫刻作品の鑑賞
経験が無い人には、ちょっとつらいかも。
なお、HPには記載されていません(チケット裏面やチラシには記載されている)が、
ギャラリート−ク(約30分間)は7/26、8/2、8/9、8/16 各14:00
〜の4回のみです。(いずれも土曜日)
8/2にご担当頂いた学芸員の五十嵐さん、判りやすい説明で、展示品の中でも特に面
白いものだけを選りすぐって説明してくださいました。ありがとうございました。
納得できるチケット代:700円(入館料当日券1,000円)(2002.07.05)
担当学芸員の方の説明では、昭和10年代に描かれた幻想絵画を、地平線をキーワード
に集めた展覧会これらの作品の大半は、これまでシュルレアリスムとの影響関係からのみ
論じられてきた訳ですが、これを広義の浪漫主義的なものとして再評価しよう
という試みとか。比較的詳しい解説が、それぞれの絵について書かれていますので、作者
の思想がどのように表現されているのかを理解しやすいとは思います。絵画作品が作家の
心情を如実に表すことを理解してもらうには良い展示会だったと思います。
ただし、狙いである「作品の再評価」という観点でみた場合、僕には納得できませんでし
た。確かに作者の多くは20−30代、しかも戦争の影響が大きい。だからと言って、作
品の完成度が低いことは許されないと思います。明治浪漫主義の傑作との繋がりを考えた
場合にも、果たして彼らのオリジナリティはどこにあったのだろうと疑問を持ちました。
ダブルゼータ的には今ひとつピンとこない展覧会でもありました。
納得できるチケット代:300円(入館料当日券1,000円)(2002.07.05)
ポスターの不思議さに惹かれて行ってきました。約90点の作品の全てが、「寂しさ、
孤独、不安」を表している暗い絵が多かったです。作者の生活風景を描いているけれど、
作品内には人の気配がない無機質な表現が特徴的でした。
5月2日のギャラリートークもこの企画の担当学芸員(福満氏)は体調不良でピンチヒッ
ターの方が説明されたし、ダブルゼータ的には今ひとつピンとこない展覧会でした。
納得できるチケット代:200円(入館料当日券1,000円)(2002.05.02)
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東京都現代美術館のある江東区内に本社をおく企業が収集したアメリカ現代美術作品の
コレクション展です。この会社のコレクションによる展覧会は'96年にも川村記念美術館
で開催されており、ダブリは覚悟の上で鑑賞したところ、ほとんどダブリはなく、約100
点が展示されています。ウォーホルやリキテンスタインなどの大御所作品も展示されてい
ますが、主力は'60年代以降生まれの作家による作品群です。言い換えると、ピーター・
ハリーやフィリップ・ターフあたりまでは「シミュレーショニズム」で知っていても、そ
れ以外は初めて聞く名前の作家群でした。昨今の展覧会ではビデオやインスタレーション
が多く、絵画作品は少ないと感じていましたが、この展覧会で絵画作品でもしっかりと新
しい潮流が生み出されていること実感させられました。
日本語の「絵画」に相当する英単語には「a picture; a painting; pictorial
art」などがありますが、ここでは正しく「We love painting」、描くことが好きな作
家の溢れ出た気持ちが正直に発露した作品のように思います。
ただ、鑑賞する人によっては、ただの「誰にでも描ける落書き」との違いが判らない場合
もあるかも知れません。
納得できるチケット代:1,000円(入館料当日券900円)(2002.03.13)
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この展覧会を一言で表現するならば、刺身・てんぷら・ステーキ・ケーキを一緒に出さ
れたようなごちゃ混ぜの展覧会。「ピカソとエコール・ド・パリ」と副題が付いています
が、ピカソは9作品のみ。要はメトロポリタン美術館近代美術部門のコレクションから、
ピカソ、マティス、モディリアーニ、ボナール、バルテュスら日本で人気の高い画家の作
品72点(日本初公開作品:42作品)を年代別に展示しただけで、構成は安直そのもの。
この展覧会の価値は、ミニ^2「メトロポリタン美術館近代美術部門」展として、出品作
家の個性をはっきりと感じ取れる作品ばかりが選ばれていますから、「美術の教科書」で
しか見たことがなかった作品のオリジナルをしっかり見れることに尽きます。写真では判
らない作品の息吹を十分に感じることができるという意味では、お得感が大きい展覧会で
した。
なお、音声ガイドの解説は短時間に収めるためなのか、不十分な解説が目立ちました。
むしろ、カタログを片手に鑑賞した方がずっとずっと深い鑑賞が可能となるように思いま
した。
納得できるチケット代:1,000円(入館料当日券1,300円)(2002.02.12)
企画展というからには、2F展示室全部を使っているのだろうと思って行ったら、202
展示室&ホワイエのみが、「若林奮(わかばやし いさむ)」の作品展示場所でした。担
当学芸員である沼辺氏によると、「若林奮」は現代日本を代表する彫刻家だそうです。
まあ、会場に居た人たちの大半も始めて聞く名前といった雰囲気でしたから、僕が特に不
勉強という訳でもなさそう。タイトルにもなっている「振動尺 (しんどうしゃく)」と
は、「若林奮」の造語で、「自分」と「対象物」を隔てる曖昧な空間を自覚し、その距離
を測る「物差し」らしい。1月4日に沼辺氏の説明を1時間聴き、更に1月19日に市川
氏(東京国立近代美術館副館長、この企画展カタログを執筆されている)と沼辺氏との対
談を約2時間聴いて、何となく「若林奮」の探究心のベクトルが少し見えたかなといった
感じ。彫刻といっても様々な向きから観察するのではなく、見る方向が決まっている作品
なので、平面作品に近い要素もあり、新鮮な感動がありました。
ただ、その作品群は、予備知識がない人が鑑賞するには、会場に準備されているパンプ
レット(沼辺氏執筆)あるいはカタログ(1000円)を読んだだけではちょっとつらい
ものがあるのも事実。もう一工夫ほしいというのは欲張りか。
納得できるチケット代:500円(入館料当日券800円)(2002.01.19)
まずは、「現代美術への視点 連続と侵犯」(企画展)。単純に見ると、現代美術が
「ひとりよがりで難解」と敬遠される代表作みたいなものを集めたのが今回の展示といっ
た感じ。何も知らない人が見たら、「税金の無駄使い」と騒ぎ立てること間違いないもの
のオンパレード。この企画展の企画者である中林主任研究官のギャラリート−クをよく聞
くと、各作品の企画意図は理解できましたが、展示されている10作品の価値をすべて理
解できた訳ではありません。中林主任研究官曰く、常設展と繋げていきたい。うーん、現
代美術は奥が深い。
既に独立行政法人化しているこの美術館、そのあたりはある程度予想していたみたいで、
企画展入場者には当日有効な常設展「開館 50 周年記念コレクションのあゆみ 1952-
2002 」のチケットをタダでくれます。こちらの方は、開館50周年記念と銘打ち、「今
までこれだけ頑張ってきたんですよ」という内容を、11の章に分け、およそ290点の
作品によってコレクションの形成を多様な角度から紹介しています。岸田劉生、梅原龍三
郎、古賀春江など近代日本美術史上重要な作家の作品を一挙に数点ずつ展示したり、横山
大観、安田靫彦、国吉康雄、香月泰男などの超有名処を出してみたりと、至れり尽くせり。
トータルでみれば納得できる展覧会でしたが、企画展の方は僕には消化不良でした。
納得できるチケット代:700円(入館料当日券830円+420円)(2002.11.15)
20世紀後半を華やかに彩ったアメリカ抽象表現主義の作家サム・フランシス(1923-
1994)の初期から晩年まで50年にわたる作品約60点から成る回顧展。今回の見どころは
なんといっても、所蔵館である出光美術館(帝劇ビル9Fにある)では、展示できない
大型作品(つまり、初公開作品)の数々です。鮮やかな色彩と水墨画を思わせるハネや
滲み、余白を効果的に残した作品がしっかりと展示されていました。通常の特別展は
2階のみが会場となり1階は常設展示ということが多いのですが、今回は1階の半分
(後半)と2階を使っていますので、大型作品が無理やり詰め込まれたといった場面は
ほとんどなく、抽象表現主義が好きな方は一見の価値があると思います。
会期が1ヶ月強と短いこと、鑑賞の手引きとなるのは有料のカタログのみといった難点
はありますが、広いフロアで所蔵美術館では鑑賞できない大型作品と静かに対話できる
チャンスは滅多にありません。更に、本展覧会はここ川村記念美術館(千葉県佐倉市)の
あと、愛知県立美術館、東京都現代美術館、いわき市立美術館、大分市立美術館の5箇所
を巡回しますが、各美術館が展示方法を工夫凝らすとのこと、同じ作品を異なる雰囲気で
鑑賞できるという楽しみ方もできます。
納得できるチケット代:1000円(入館料当日券1200円)(2002.09.28)
一日の1/3という長い時間を費やす「睡眠」をテーマに、国内外の25作家、約50点を
集めたという企画展。ポスターはどこかのデパートのポスターみたいだったので、大きな
期待は抱かずに会場に行きました。実際に会場で鑑賞してみると、一つ一つの楽しい作品
がぎっしり詰まった、いい意味でプロ好みの展覧会だと感じました。ご担当の学芸員の方
はそのあたりのことは予測されていたみたいで、会場入り口で鑑賞の手引きとなる紫色の
小冊子が準備されています(無料)。この小冊子、非常に丁寧な解説が平易な文章で書か
れており、作品についてのバックグランドが何もなくても十分楽しめるようになっていま
す。有料のカタログと異なり、作品のグラビア写真はありませんが出色の出来栄えと言え
るでしょう。
会場レイアウトも工夫されていて、「眠り/夢/覚醒」という一連の流れを有機的に結
合させていますので、やや「覚醒」が弱い感じにはなっていますが、それぞれの作品ひと
つひとつの深い意味を発揮させることに成功しています。
なお、開催初日(6/29)のガイドツアーは特別で、ガイド役は担当学芸員が務め、
3人の作家(W杯でブラジルが決勝進出を決めたので急遽帰国されたため、お一人だけビ
デオ出演でしたが)が直接自分の作品を説明するという豪華版でした。このガイドツアー
に参加して知ったことですが、ルイザ・ランブリさん(イタリア、当日会場で自作品の説
明をしてくださった)の作品は、「写真作品と壁を隔てた向こう側にある映像を心眼でズ
ーム・インしながら重ね合わせていく」必要があります。これは開催前日にルイザ・ラン
ブリさんと担当学芸員の林さんが相談して決めたレイアウトなので、小冊子には書かれて
いません。
納得できるチケット代:1000円(入館料当日券1200円)(2002.06.29)
スペインが生んだ20世紀を代表する芸術家の一人、ジョアン・ミロ。1975年出版の
ミロの挿し絵本『太陽の賛歌』に収められていた版画を中心に、 油彩・アクリル・彫刻
・版画、約80点の作品が、「太陽の賛歌」「女」といった7つのテーマ別に集められた
絵画、彫刻、版画など絶頂期の作品群を展示されていました。彼の幼児のような明るさを
もつ夢と喜びとに満ちた芸術ははわれわれにとっても親しみ易く、ファンも多いです。
館内では、ミロのスライドショーみたいな短編映画が上映されていました。映像は、画
面にパソコンのカーソルが動き回りながら、動き回っているCGのハエがカーソルに止ま
ったり、カーソルがイーゼルに置かれた純白のキャンバスに移ると、ミロの絵が現れたり
といった仕掛けがなされていました。ミロの絵画制作の映像も解説されていましたが、日
本語に吹き換えされていないのでその意図は?ですが、ダイナミックな描き方は充分に理
解できます。
残念なのは、2点。会場に流れているBGM。静かに作品を鑑賞することの大きな妨げ
になっていました。絵葉書と図録の出来栄えは並み、特に図録は作品サイズに関わらず、
ページの80%程度に調整されており、大きな作品の息遣いは消え、小さな作品の囀りは
単なる音にされていました。もうちょっと、作品イメージを大切にした方がよいと思いま
す。
納得できるチケット代:500円(入館料当日券800円)(2002.05.02)
具象を離れた色彩の交響のみによって絵画を構成するという実験を見事に成功させたカ
ンディンスキー。この展覧会は、カンディンスキーの全貌を浅く広く示そうとするのでは
なく、彼が具象から抽象へと移行していった1900年から1920年までの期間に焦点
をあての作品に焦点を絞り、しかもロシア連邦と旧ソ連諸国の美術館に所蔵されている作
品のみで構成した、ある意味で「専門的」な展覧会でした。
東京国立近代美術館は1987年にもカンディンスキー展を開催していますが、この時
の出品102点のうち今回重複するのはわずか5点のみですから、前回と今回をあわせて、
やっとカンディンスキーの全貌が紹介されたことになります。
会場の展示は整然としており、リニューアルした会場をうまく使っていますが、このた
め、各作品について、ある程度の知識がないとその関連性を読み解くことができません。
この意味で玄人好みですし、その道のプロ以外への配慮が足らない(=学芸員の手抜き)
とも思います。例えば、<インプロヴィゼーション>シリーズ[1909〜14年]や<コンポ
ジション>シリーズ[1910〜14年])の頂点とも言われる「コンポジションVI」と「コン
ポジションVII」(それぞれ2m×3m近い大作)は、「ヨーロッパ以外では初公開」が
クローズアップされていて、ロシアでも別々の美術館に所蔵されており、この2点が同じ
壁面に並ぶのを鑑賞できることが大変貴重なチャンスなことは明示されていません。更に、
これらの作品はそれぞれ「ノアの洪水」と「黙示録」をテーマにしているのですが、そう
言われないとわからないくらい具象性の解体が進み、さまざまな形が、明るく鮮やかな色
彩に輝きながら乱舞していますが、パンフレットにも音声ガイドにもこれらの明示的な説
明はありません。
なお、絵葉書やカタログ、美術館HPに掲載されている写真は本物よりも光沢度が高く
処理されているので、必要以上にテカテカ感が強調されています。これらを見て、本物を
見るとその光沢感のなさに意外性を感じるかも知れません。
納得できるチケット代:800円(入館料当日券1300円)(2002.05.01)
印象派絵画の巨匠、クロード・モネ(1840-1926)。展示は、モネが43歳のときにパリ郊
外のジヴェルニーに居を構えてから、後半生に手がけた連作「睡蓮」に焦点が当たってい
ます。モネ自らがガーデニングして造った睡蓮の池を題材に移り変わる陽光のもとに柔ら
かな色調で仕上げた、いわゆる第一世代の「睡蓮」から、失明の不安や迫る最期のときに
対抗しながら、激しい筆触による大画面作品、その多くは抽象絵画と見まごうほど第2世
代の「睡蓮」へと、より純化した「睡蓮の世界」を描き続けたモネの偉業を検証していま
す。この試みは、パリのマルモッタン美術館からの12点をはじめ、国内外のコレクショ
ンから集められた、幅2メートル四方以上の大作を含む30点あまりを上手に配置するに
よってものの見事に成功させています。残念ながら、オランジュリー美術館の壁画はその
かけらもありませんが、そこに至るまでのモネの意欲的な歩みが上手にまとめて紹介され
ており、担当学芸員の見識の高さが伺えました。
また、常設展示作品との兼ね合いも若干の無理がありました。例えばモネの睡蓮からい
きなり狭い急造のロスコール−ムでは、モネとロスコーの双方に知識のある人以外は、そ
の関連性を理解できないだろう。むしろ、次回企画展の作者であるサムフランシス作品の
方が判りやすかったのではないでしょうか?
音声ガイドでは20作品の紹介をしているが、マルモッタン美術館が2作品で出てくる
などの重複があり、その説明もやや平凡であった。カタログや絵葉書の出来栄えは悪くは
ないものの、本物の迫力にまるで及ばない。ちょっと残念。
納得できるチケット代:1300円(入館料当日券1300円)(2002.03.02)
2年半の工事を経て、リニューアル・オープン。その記念展として開催された「未完の
世紀―20世紀美術がのこすもの」ですが、良く言えば玄人好み、悪く言えば美術専門家の
手抜きの典型といった両方の見方ができる展覧会でした。作品リストは美術館HP上で公
開されており、お気に入りを見に行ってのに、展示換え後でガックリということはありま
せん。
展示は1階から4階までの展示室をFULLに使っており、その作品数は写真や工芸作
品など380余点と極端に多いです。パンフレットでは、「全体は社会の動きや時代背景
を幅広く視野におさめながら、世紀初頭から現代まで、8つの章(テーマ)によって構成
しました。」と書いてありますが、要は大まかには年代順にグループ分けして、更に作風
が似ているものを一つ一つ丁寧に並べただけです。このため、各作品・作家について、そ
れなりの知識がないとその関連性を読み解くことすらできません。この意味で玄人好みで
すし、その道のプロ以外への配慮が足らない(=学芸員の手抜き)とも思います。例えば、
マーク・ロスコの No.7 (1960年製作)とフランク・ステラのポルタゴ侯爵(1960
年製作)は角を挟んで並んで展示されていますが、ロスコの壁画とステラの作用空間との
関連性をどのように解釈せよというのでしょうか?
確かにこれだけの作品を集めて、玄人好みの展示に仕上げるには大変な労力が必要だっ
たことはダブルゼータも理解します。しかし、展示会として成功させるには、絵画は好き
だけど知識がない(ダブルゼータはその典型)人にも、十分楽しめる工夫(ガイドブック
や音声ガイドなど)が必要だと思います。
また、会場に配置されているスタッフにもハズレはあるようで、「33番の作品はどこ
ですか」と聞いたら、「こちらではわからないんですけど」と宣うた方もいました。何の
ためにスタッフ用椅子の横にカタログが準備されているのかわからなくなりました。幸い、
33番の絵画は、1Fの切符切りを担当されていた方に伺ったら、丁寧に教えて頂けまし
た。仮に、このハズレさんがアルバイトだとしても教育が行き届いていないと考えるしか
ありません。
納得できるチケット代:500円(入館料当日券830円)(2002.02.15)
今年で13回目を迎える「両洋の眼」ですが、今年は大きく脱皮した展覧会に仕上がっ
ていました。従来から、「洋画」と「日本画」とを分けるのではなく、一つの視点で見て
みるといった観点を中心に作品が展示されており、一つの実験的な展覧会とも思える様相
を呈していました。数年前までは、良くも悪くもデパートの催し物会場で開かれる日本美
術のいわゆる上手なだけの作品群のオンパレードでしたが、今回は作者の息吹がひしひし
と感じられる素晴らしい作品が目白押しでした。たった6日間(2002.01.15-2002.01.20
)
しか開催されないのはもったいないと思います。この展覧会は、このあと、兵庫、山形、
岡山、山梨に巡回する模様ですから、近隣の方は是非ご覧になることをお勧めします。
また、両洋の眼委員会のHP上では主な作品については写真が掲載されていますし、図
版も通信販売もされていますから、これらで、作品の素晴らしさを垣間見ることはできる
でしょう。ダブルゼータの偏見では、図版よりもHP上の写真の方がうまく作品を捉えて
いるように思います。図版では、悲しいかな、作品の出来栄えが殺がれてしまっているよ
うに感じました。
納得できるチケット代:1,000円(入館料当日券800円)(2002.01.19)
MoMAが最も豊富なコレクションを誇るマティスを中心に、20世紀美術史を代表す
る作家24人の作品75点を紹介した展覧会。派手なTVCMもあり混雑しているのかと
思っていたら、平日の開館直後は並みの混雑でした。内容的には、「マティス展とその仲
間達」といってもいいくらいにマティス中心です。ピカソ作品もありますが散発的でした。
ただ、フジサンケイグループの財力で、これだけの有名作品を一挙にあの小さな美術館に
並べたのはすごいと思います。大きな作品でも狭い処に押し込んで、それなりに見せて
いましたから、担当者の力量は凄いものがあるのでしょう。たっぷり3時間楽しませて頂
きました。
カタログの写真と解説も非常にまともでした(訳だから当たり前か)し、音声ガイドも
絵画作品についての知識があまりなくても楽しめるように工夫がされていました。この意
味でも、この展覧会は2001年のベスト3には入ると確信しています。
しかし、米国テロの影響か、入口での手荷物チェックの厳しさや警備員の数の多さには
びっくり。鑑賞の邪魔をするわけではないけれども、ちと目立ちすぎ。
納得できるチケット代:1,500円(入館料当日券1,500円)(2001.12.19)
吉野石膏の経営者3代で集めた「癒し系」絵画のコレクション。はっきり言って、何の
脈絡もなく評価が高い作品を集めるとこうなりましたという展覧会。主な出展作家を順不
同で並べてみるとモネ、ルノワール、シャガール、セザンヌ、ミレー、ピサロ、シスレー、
マティス、ユトリロ、ドガ、ピカソ、カンディンスキー、ローランサン(ここまでで13
名)。それぞれ2−3作品づつ展示されているので、PTAご推薦美術教科書に出てくる
作品が生で見られるというのは貴重な経験かも知れない。しかし、ここに何のポリシーも
展開も感じられない。単に各作品を楽しむだけ。お気に入りの作家がいるならばラッキー
と考えるべきなのでしょう。
音声ガイドの酷さはいつも通り。内容をもっと充実させなければ客は満足しないことが、
未だに理解されていない模様。遂に音声ガイドの作品リストも回収・再利用しはじめた。
コスト削減策なのだろうが、質の低下を招くだけ?
あと、絵葉書がそれぞれラッピング包装されていて150円/枚は、行き過ぎではない
でしょうか? 営業収支も大事でしょうが、質が高ければ入場者は増えると思います。<
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納得できるチケット代:300円(入館料当日券1,200円)(2001.11.17)
イタリア美術がたどった20世紀-その100年の歴史的展開を、100点の名作により通観す
るというこの企画、どうもイタリアというと軽いイメージが強く、正直なところあまり大
きな期待はしていませんでした。しかし、これは大きな間違いでした。
会場は2フロア、全体を10室に区切り、年代順に作家たちを丁寧に網羅していました。
どの作品もレベル的に納得がいくものでした。もちろん、デ・キリコ、モディリアーニ、
モランディ、フォンターナといった比較的なじみ深い作家たちの作品もあります。アルテ
・ポーヴェラ、トランス・アヴァングァルディアといった大きなムーヴメント、独自の道
を歩んだ作家たちも網羅されています。1990年以降(第10章)の展開が物足りない
感はありましたが、今年ベスト5に間違いなく入るであろう展覧会でした。
また、音声ガイドもしっかりした内容でした(500円の価値はある)。
更に、カタログの出来栄えも、一挙に立派になっていました。多分、今までの美術系カ
メラマンから、商業広告系カメラマンに変えたのでしょう。本物よりも映りがよいです。
蛇足ですが、 2001年7月20日より、都営バス新路線が開通して、アクセスが格
段に良くなりました。JR総武線/錦糸町駅より都営バス(東20)「東京駅丸の内北口
」行きで「東京都現代美術館」下車で美術館正門前に出るようになりました。今までのよ
うに、最寄のバス停から徒歩10分ということはありません。
これも、新館長の樋口さん(住友銀行副頭取→アサヒビール社長/名誉会長→(財)新国
立劇場運営財団理事長・・・)の功績なのでしょうか? それとも、石原都知事の意向か
な。
納得できるチケット代:800円(入館料当日券1,100円)(2001.07.14)
Reflectionをキーワードとして、実際のガラスや鏡を素材として用いた立体作品や、精
神性を映し出す作品、さらには鑑賞者の心の動きを映す媒体としての作品など、約40点
を新しい視点で整理してありました。一部、企画者の意図を理解できない場所もありまし
たが、全般的に高いレベルの展示でした。展示のストーリーをよく理解するには、多少の
バックグランドも要求されていますが、カタログなどは一切ありませんからビギナーだけ
で鑑賞するのはつらいかも知れません。
14時からのガイドツアーの内容も、学芸員以外のガイドスタッフ担当するようになっ
て、常設展示の説明はともかく、企画展示の説明内容に深みが感じられないという悪循環
に陥っているようにも感じます。なお、若手学芸員が勉強のためにガイドツアーにひっそ
りと付き添っていることもあるようです。この姿勢は高く評価したいと思います。
納得できるチケット代:600円(入館料当日券800円)(2001.07.14)
前評判の高かったメルツバッハー夫妻(スイス)のコレクションを見てきました。19
世紀末から20世紀前半の近代美術の傑作40点あまりが展示されており、副題の色彩の
喜び(The JOY OF COLOR)からイメージされる鮮やかな色彩の作品が多いです。特にドラ
ン、ヴラマンク、ブラックなどのフォーヴィズム、カンディンスキーなどのドイツ表現主
義の作品は充実していました。ただ、ピカソの「二人<<貧しき者たち>>」などを同年代の
作品だからと同じ範疇に並べるのは、如何なものかと思います。
開催期間中2回しかないギャラリートーク(6/16、6/30)も、少なくとも6/
16の内容はわざわざ時間を割いて行くことはありませんでした。確かに豊富な知識をお
持ちの学芸員の方が担当して下さいましたが、内容がお粗末。平均して30秒に1回は「
えーと」を発する、黄色と紫色が補色とのご説明(正しくは黄色と青色)にはわが耳を疑
いました。御担当の方も、不慣れなだった御様子ですが、あれでは困ります。
その代わり、テープガイド(500円)は25作品のしっかりした内容が録音されてい
て、お得感が大きいと思います。
いつもよりか、鑑賞マナーの良い人が多かったように感じました。今年のベスト5に
入る展覧会と思います。
納得できるチケット代:1,000円(入館料当日券1,000円)(2001.06.16)
写真絵画で有名なゲルハルト・リスターの特別展です。結論から言えば、リスター作品
が好きな人には受けると思いますが、写真(picture)と絵画(painting)の区別を厳密に考
える人にとっては???な企画展だと思います。標題になっているATLASは、なんと
4500点以上の写真やコラージュの集合体(パネル数655枚とのこと)ですが、それ
自体が安直なイメージを受けました。準備されている解説パンフレットは秀逸ですが、大
きな作品でも、意外と狭い場所に閉じ込めれていて、鑑賞者に配慮したレイアウトでない
のが残念でした。
14時からのガイドツアーの内容も、学芸員以外のガイドスタッフ担当するようになっ
て、没個性化してしまいました。このため、初来館者にはよくてもリピーターにはつまら
ないガイド内容に終始しているようです。イメージ的に言えば、従来は個性豊かなレスト
ランだったのが、大きなハズレはないファミレスと化したという感じです。学芸員が交通
案内や切符切りをすることの意義よりも、学芸員の深い専門知識に裏打ちされたガイドツ
アーの方が、来館者サービスという点では意義が大きいと思います。是非再考して欲しい
ですね
納得できるチケット代:300円(入館料当日券1,200円)(2001.05.05)
デパートの丸井さんのコレクション展です。正直なところ、デパート系ということもあ
って集客テスト用かと思っていたのですが、いい意味で期待は裏切られました。ピカソ、
マティス、アンディ・ウォーホルといった超有名作家から、デビット・ホックニー、ジャ
ン・デュビュッフェ、ジョルジュ・ルオー、ジョアン・ミロ、更には、ヴァシリィ・カン
ディンスキー、フェルナン・レジェ、サム・フランシス、フランク・ステラと、本当に2
0世紀を代表する作家の版画が数点づつ約100点展示されており、普段は版画を見ない
僕にとっては、効率よく20世紀作家の版画を概観できる内容でした。
カタログや絵ハガキの出来栄えも標準以上であり、十分納得してチケット代金を払えま
した。
納得できるチケット代:500円(入館料当日券500円)(2001.02.04)
本当は佐倉市立美術館でみる予定だったが、日程的な問題で狭い伊勢丹美術館でみるは
めになった。アンソール、スピリアールト、ペルメーク、マグリット、デルヴォーの作品
を並べてみたからよろしくという、デパート集客効果を狙った展覧会でした。主義主張も
なく、単に経時変化を展示しただけ。おもしろかったのは、現物よりもカタログの方が
作品が活き活きしていること、きっとカタログ製作に携わった学芸員が腕のいいカメラマ
ンを呼んだからでしょう。
納得できるチケット代:100円(入館料当日券1,000円)(2001.01.21)
「どこかで見た風景、だがそれがどこなのか分からない。どこかで見た物、だがそれが
何なのか分からない」デ・キリコ(1888-1978)の絵画。「新形而上絵画」と称して、
キリコが一度は放棄した1910年代の模倣作品。単に約100点の作品が回顧的に並んで
いるだけ。
音声ガイドの酷さはいつも通り。遂に2台で800円(1台のみは500円)という割引
価格を設定したけど、内容をもっと充実させなければ客は満足しないことが、未だに理解
されていないのか。
最も許しがたいのは、カタログには記載されていて展示されていない作品が4点もあり
ながら、それをどこにも告知していないことである。客を嘗めているとしか思えない。
納得できるチケット代:300円(入館料当日券1,200円)(2001.01.12)
今回の企画は、ミニミニ「ブルックリン美術館」展といった趣で、印象派作品を手際よ
くまとめてありました。
会場が狭いにも関わらず、88点も展示されているので狭苦しい感じはいつも通り。
今回は作品リストと解説文のチラシが準備されていました(単なるプリントですが)。
「フランスからアメリカへの印象派の展開と、その間にあった様々な影響関係」が
主テーマだった模様ですが、僕には読み取れませんでした。
PTA推薦マークの絵画がたくさんあって、かつ第2/第4土曜日は小中学生無料と
いう試みは評価しますが、もっと作品数を絞って、じっくり鑑賞できるして欲しいですね。
納得できるチケット代:500円(入館料当日券1,000円)(2000.10.07)
「出光コレクションにみる20世紀作家の回顧」と題して、サム・フランシス(鑑賞し
たけど、あまりの貧弱さにレポート書く意欲がわかなかった)の次は、ジョルジュ・ルオ
ーでした。ルオー作品の初期から晩年までの約100点を見せてくれます。油彩・水彩は
もちろんのこと、版画もありました。全体的にドロドロした感じの作品群は少なく、穏や
かな作品群が中心となっており、エマーユ(七宝焼)を連想させる色合いが素晴らしく感
じました。
カタログは1990年発行のリメイク版(本編;2,000円)と今回の展覧会に併せて補充的
に作成した(続編;1,000円)がありますが、続編の方は面白い作品が目白押しです。
一部の作品(立体的な作品)で色調の再現性が良くないですが、これ以外はカタログ・絵葉
書の出来栄えも良好と思います。
納得できるチケット代:800円(入館料当日券500円)(2000.09.06)
20世紀の偉大なる画家、マティスの人物表現に的を絞った展覧会、企画はよてもよい
と思うのですが、実態が??。なぜならば、1階展示室は絵画中心、しかもご丁寧に解説
キャプションまでついている。夏休み小・中学生向け企画かなと思ったら、案の定、絵を
鑑賞している人3割、キャプションを読んで納得する人7割といった感じ。でも、作品の
展示順番は何を基準にしたのかさっぱりわからない。学芸員の方の意図が見えない。
更に2階、3階はデッサンや版画画展示されていて、キャプションは作品名等のみ。やっ
とまともになったかと思いきや、カタログと異なる作品が代替展示されている。ちょっと
酷いのでは。
いよいよ閉館が秒読みに入ってきて、手を抜いたのではないかと思わせる低レベルの展
覧会でした。
納得できるチケット代:300円(入館料当日券1,000円)(2000.08.19)
中堅の日本人抽象画家6人が小規模な個展を共同開催したような雰囲気です。作品数は 全部で30数点と多くはありませんが、開催者の狙いである「頭で考えるのではなく、自 然な感覚に従いながら作品をみることを通して美術がもたらす純粋な喜び」に十分に触れ ることのできる展覧会でした。 会場が新しく、かつ天井も高いので、大きな作品でも圧迫感を感じることなく鑑賞でき ます。僕の感触では、今年ベスト5には入るのではないかと思う程、レベルの高い展覧会 でした。(2000.07.09) <おまけ> 常設展示では寺田コレクションが見れます。難波田龍起・史男父子以外にもLEE Ufun らの作品もあります.企画展と連動して展示替えしているのはありがたいことです。
ピカソが愛する子供たちを描いた159作品を7つのセクションに分類して展示してい ます。展示作品数は多いですが、ある程度の間隔を保ちながら展示されていますので、息 苦しさはありません。ただ、平日の午前中(当然、待ち時間0)なのに、鑑賞者のマナー は悪く、第1セクションの辺りは遊園地さながらでした。 音声ガイドは、作品解説内容が浅くかつ短いので、ある程度ピカソ作品に親しみを持っ ている人ならば不要でしょう。反面、カタログの完成レベルは高く、図版の印刷もほぼ原 画を忠実に再現しています。これで2,000円(消費税込み)ならば安いのではないでしょう か? <おまけ>ピカソ展のチケットで、常設展示も鑑賞できます。国立近代美術館が改築中の ため、常設展示のおしまいの方で「国立近代美術館コーナー」となっていて、国立近代美 術館の代表的な作品を展示しています。エッセンスだけですが、西洋絵画の流れを把握し て行く上では、重要な役割を担っていると思います。(2000.05.30)
川村記念美術館が開館10周年記念として企画した特別展とのこと、70作品が並んで
いました。基本的には、川村記念美術館とドイツのノルトライン=ヴェストファーレン美
術館から借り出した作品を「見る」「聞く」「動く」「佇む」「読む」の5つのキーワー
ドに無理やり分類した感じです。
各作品の質は高いのに、悲しいかな美術館側の意図する流れが安直過ぎて、中途半端な
企画展になっていました。例えば、「第Uの扉:聞く」には、「色や形による構成に調和
やリズムが感じられるように、そこに奏でられる音楽に耳を澄ましてください」という解
説文が付いています。ならば、「聴く」を付与すべきだったのではないでしょうか?
失敗の原因は、キーワードを全て動詞にしたことだと考えます。このため、作品の持つ
リズムが全て消されているのです。学芸員の方々の説明をよく聞いてみると、美術館側の
意図は、現代美術(超)入門を意識して、「各鑑賞者の入りやすいところからどうぞ」と
考えたものと思われますが、無理なキーワード付与と分類は、却って混乱させるものと思
います。むしろ、年代順・作家別に展示した方がすっきりしたのではないかと思います。
カタログ(税別 2,500円)の解説記事(学芸員5人が分担執筆。署名入り)は本当
に良く出来ていると思います。ただし、あれを読みこなすにはそれなりの予備知識がない
と苦しいし、図録としては作品写真がやや小さいため不満が残りました。(美術学部のテ
キストとしては秀逸なのでしょう)
あと、カンディンスキー「貫通する線」の絵ハガキは酷すぎませんか?パンフレットヤ
カタログなどでは現物の絶妙な色合いが発揮されているのに、絵ハガキは安物のデジカメ
写真で作成したのではないかと疑うような酷いものでした。(これは、カタログを買わせ
ようとする営業的な意図があったのかな?)
今回は、ノルトライン=ヴェストファーレン美術館展として見れば大満足、企画展とし
ては???でした。学芸員の方々の高いレベルは良く判ります。でも、現代美術初心者に
も優しいが企画展意図ならば、僕は一初心者としては今回は合格点を出せません。次回に
期待しています。 (2000.05.06)
全国の学芸員、研究者、ジャーナリストによって推薦された40歳以下の作家を無条件
に受
け入れ、その新作を一堂に集めるという大胆な企画展(今年で7回目、出展作家数31)
です。
昨年のVOCA賞受賞作品は??だったので、今年はギャラリートークにも参加して選
考委員の方のご意見も聞いてきました。今年は、抽象作品がやや多く、味わい深い作品が
多かったため、VOCA賞ならびにVOCA奨励賞受賞作品はある程度納得できるもので
した。今回初めて知ったのですが、歴代の受賞作品は第一生命保険相互会社が買い取って、
ロビー展示しているとのことでしたから、ご興味のある方は、足を運ばれてみては如何。
僕の感触では、今年ベスト5には入るのではないかと思う程、レベルの高い展覧会でし
た。(2000.03.25)
新しくなった国立西洋美術館に、基本的にピカソ、パウル・クレー、デ・クーニングと
くれば、多少はずれでもOKと考え、行ってきました。展示は、原則としてテーマ別(決
して年代順ではない)ですが、版画・素描の類は地下3階にまとめれていました。
全体として、高レベルにまとめられていて、鑑賞者のマナーもよく、2000年のベス
ト5には入るのではないかと思える内容で、感激して帰ってきました。また、音声ガイド
の説明は、ちょっとピント外れではないかと思うものもありましたが、初心者向け配慮と
いうことかも知れません。 (2000.02.11)
近頃は、印象派の展覧会はパスしていたのですが、招待券を頂戴した&磯子まで行く用
事があったので、混雑を覚悟で鑑賞してきました。展示は、初期絵画、風景、人物、水浴、
静物といった具合に、年代順・モチーフ別に展開されています。展示室が大きいので、比
較的大きな作品も威圧感を感じることなく、鑑賞できました。幅広い年代に支持される作
品群が揃っています。
超有名&印象派なので、ある程度覚悟していましたが、マナーの悪い人もいました
(例:携帯電話の電源をきらない。鑑賞者の前を横切るなど)。年配の方の、マナーが
悪いのはちょっと悲しいです。
また、音声ガイドの説明は、ちょっとくどいですが、初心者にも配慮された内容になっ
ていました。
(1999.10.31)
「デモクラート美術家協会」(代表:瑛九)の活動そのものに焦点を当てて、参加した
作家たちの約250点
を一同に集め、年代順に展示したものです。僕は靉嘔の田園が気に入りました。
面白かったのは、多くの作品においてカタログ写真の方が素晴らしく見えたことです。
(1999.10.02)
会期後半なので、混雑をさけるために東急本店の店休日を選んで行って来ました。混雑
状況も酷いものではなく、鑑賞者のマナーもよく、ゆっくりと鑑賞できました。全106
点がほぼ年代順に展示されており、近現代の有名画家の作品は一通り揃っていました。音
声ガイドもあまり深いところまで分析していないので、画家の作品群に対しての知識に合
わせて、鑑賞を深めていくことができます。
残念だったのは、カンディンスキーなどの一部作品についてはカタログ・絵葉書と色合
いが大きく異なっていたことです。学芸員の方は、カタログのチェックをしないのでしょ
うか?(1999.09.21)
今回の企画は、比較的充実していました。ピカビアの作品変遷を手際よくまとめてあり ました。 ここで、「591」という面白い作品に出会えたので、個人的には大満足でした。 少し残念だったのは、会場が狭いのですから、小さい版画は2段展示にして、抽象画など の大きな作品群は、もっと間隔を空けて展示してあれば、もっとよかったのにと思いました(これは、ダブルゼータが抽象画が好きだからかな)。デパート美術館だから、「受け」を狙うのは理解できます が、抽象画にも良い場所を与えてください>伊勢丹美術館様。 ちょっと疑問なのは、チケットにも印刷されている「乳房」は本物の色合いをほぼ再現 しているのに、絵葉書およびカタログでは酷い色合いになっていました。おそらく原写真が異なるためと思いますが、あまりの違いに驚きました。(1999.08.28)
この伊勢丹美術館の企画力を高く評価してきましたが、今回は期待はずれでした。 展示の約半分は非絵画(写真、彫刻など)であり、僕は平面作品以外には魅力を感じない こともあり、残念な展覧会でした。更に疑問なのは、カタログには掲載されているが会場 に展示されていない作品が約20件もあったことです。通常、会場スペースなどの都合上 で数点は展示できないといったことはありますが、全展示数80における20という比率 は大きいと思います。XX美術館展といった安易な企画(?)は止めて、従来の高い企画 力で会場が狭いというハンディキャップを乗り越えるような充実した展覧会を開催して欲 しいと思います。(1999.07.19)
この美術展は、今年のベスト3には入るのではないでしょうか? 最近では珍しく、 大半の作品は額にアクリルが入っておらず、タッチを間近にみられるのが、嬉しい限り です。 狭い会場に、ほぼ時系列にそった美術動向によって、展示されています。最初に、ピカ ソの《招魂(カサヘマスの埋葬)》(「青の時代」の傑作)があり、多彩なキュビスムのコ ーナーに続いていきます。抽象画の作品はクプカ、エリオン、マニュエリの作品が各1と 少ないのですが、その迫力が十分堪能できるような場所に配置されています。 後半は、フランス出身の画家群(ユトリロ、ヴァラドン、デュフィ、ドラン、マティス、 ボナール)と外国籍の画家群(パスキン、モディリアニ、ドンゲン、スーチン、シャガー ル、キスリング、ガルガリョ、藤田嗣治)の作品が配置されています。この国籍別分類の 意味は??ですが、質・量ともに充実しています。 今回(良い意味で)少し驚いたのは、最初の部屋担当の美術館職員の方々は、騒がしい 観客に対しては、よく通る声で「ご静粛に願います」と注意していたことです。このよう な注意はないに越したことはありませんが、美術館側の姿勢が頼もしく思えました。 (1999.07.10)
ポスターなどでは大きな期待を抱いていなかったのですが、良い意味で期待を裏切られ
ました。パフォーマンス系以外にも、絵画においてもユニークかつ鑑賞者が楽しめる作品
がたくさん展示されていました。ものすごいエネルギーが、作者(草間弥生氏)から作品に
投影されているのが実感できます。
作者からのメッセージは、作品以外にも、エンドレス上映されているビデオや会場の最
終コーナー近くにあるiMacで示されるMPEG群でも受け取ることができます。生年
から計算すると、熟年世代よりも上をいく御歳なはずですが、全くそんなことを感じさせ
ません。
草間ワールドを知らなかった人はファンになり、既にファンの人には草間ワールドを堪
能できた展覧会だったと思います。(1999.07.04)
伝統的な大作がたくさん展示されていました。専門家の方々が熟考の上、並べたのでし ょうから、素人の僕にその良し悪しを論じる資格はありません。しかし、どう考えても並 び方が理解できないのです。確かに、各作品は立派です。文部省推薦、あるいはPTA協 会推薦と言われれば、なるほどと思えるものばかりです。でも、流れがよくわからないま ま、鑑賞を終えました。どなたか、あの展覧会での流れの意義を僕に教えてください。 (1999.06.29)
昨年の伊勢丹美術館を皮切りに関西地区を巡回し、最後に佐倉での展覧回となりました。
内容は、20世紀アヴァン=ギャルド芸術の展開を概観したものでした。個人的には、カ
ンディンスキーの作品が5点もまとまって鑑賞できて、なかでも「黒い三角形」は新たに
お気に入りに加えたくらい感激できました。しかし、全般的に展示作品の流れが散漫で、
ちょっと物足りない気がしました。
カタログ(見本)を読んでみたら、ボイマンス=ファン・ブーニンヘン美術館館長のコメ
ントに、「本展覧会は、間違いなくボイマンス美術館の宣伝にはなるだろう」という意味
の一文がありました。つまり、本展覧会は「有料サイトのサンプル」もしくは「TVなど
での新作紹介」を意図した展覧会であって、本来の企画展とは異なるものだったのですね。
これで、納得が行きました。
(1999.05.16)
フィリップス・コレクションのダイジェスト版といった感じでしょうか。ブラック、ピ カソ、レイ、グリス、ボナール、モランディ、スチュアート、デーヴィスなどの静物画 70余点が展示されています。キュビズム、フォーヴィスム、表現主義などの試みがある 程度まとめられています。説明書きも丁寧なものでした。このような展示は、自分の好き な絵画が決まっていない人、広く浅く鑑賞したい人には、ちょうど良いでしょう。換言す れば、好みが明確になっている人には、もの足らないかも知れません。(1999.04.30)
ルノワールといえば、印象派、柔らかい筆致、オレンジ色、豊満な裸婦、愛くるしい子
供といった程度のイメージしかなかったのですが、この展覧会で大きくイメージが膨らみ
ました。会場はファッション、裸婦、風景、子供などの主題ごとにまとめて展示するとい
う、企画者の力量がストレートに表現される方式です。会場の制限からか、カタログには
記載されているが、展示がないものが9作品もあり、ちょっと残念な箇所もありますが、
企画意図はきちんと表現されているのではないかと思います。特に、ルノワールの肖像画
や風景画は日本国内の所蔵作品は少ないので、鑑賞のよいチャンスと思います。
僕の知る限り、川村記念美術館では初めて音声ガイド(税込み500円)が実施されてい
ました。
尚、従来の企画展展示が異なって、1Fがルノワール展、2Fが常設展示(ダイジェスト
Ver.)となっています。このため、常設分野の日本絵画(屏風絵)のコーナーはclose、ロス
コールームも2F、シャガールの巨大版画「ダビデ王の夢」も2Fに展示となっています。ご注意を。(1999.04.03)
パリ・国立ピカソ美術館の所蔵作品のなかから、86点をほぼ時代順に展示する
という回顧展の形式を取っています。展示作品の水準は高く、多作でも有名なピカソ
作品を要領良くまとめてありますから、抽象的な作品も含めて、絵画に興味を持たれ
ている方ならば、一度訪問する価値があると思います。特に、毎週金曜日は18:30
〜から学芸員の方によるギャラリートーク(事前申し込み不要、無料)があります。
僕が行った時は幸いなことに坂元氏が担当で、約1時間で大まかな流れと鑑賞のポイント
を分かり易く説明してくださいました。
また、音声ガイド(消費税込500円)もあります。内容的にはしっかりしていますが、
音声はフジテレビアナウンサー陣によるもので、一部ミスキャストではないかと思える部
分
もありました。
最後に蛇足です。展示会場にいる係員の方々は、作品の多くがガラスケース入りだから
かも知れませんが、ガイドライン(床のテープのみ)を越えて、作品にかなり近づいても
注意しませんでした。ピカソの線描テクニックをじっくり味わうよい機会でした。
出来れば、もう一度日を改めて、鑑賞に出かけたいと思っています。(1999.04.02)
タイトルにあるように、1950年代から70年代における「アクション」をキーワー
ドに、
多様化した「作品」に何らかの意義を見出そうとする実験的な展覧会です。
今回の展覧会は、個人的見解で分類すると、
@ポロック、フォンターナ、イブ・クラインなどの巨匠達の初期代表作
A日本初紹介の海外作家による作品
B日本の前衛美術作品
・具体美術協会(吉原次良氏、白髪一雄氏、田中敦子氏らの関西系グループ)
・ハイレッド・センター(「老人力」で有名となった赤瀬川氏ら3名のユニット)
をほぼ年代順に並べてあります。また、展示作品以外(?)に、レーザーディスク(ビデ
オ映
像)や写真などによって、ただ一回限りのパフォーマンスとして行われた内容も「作品」
として
展示されていました。試みとしては歓迎ですが、
1)ディスプレイが小さい
2)機器の不具合から上映作品を自由に選べない場合もある
3)椅子もなく映像を立ったまま、5分前後鑑賞する
といった鑑賞を深めるのに、あまり役立つものではありませんでした。
全体として「臨場感に乏しく」て、ちょっとがっかりした展覧会でした。
このあと、常設展示を鑑賞して、具体美術協会やハイレッド・センターの他の作品群に
触れて、企画展と常設展示が連続して鑑賞できれば、今回の企画展もより充実したように
感じました。(1999.03.27)
全国の学芸員、研究者、ジャーナリストによって推薦された40歳以下の作家を無条件
に受け入れ、その新作を一堂に集めるという大胆な企画展(今年で6回目、出展作家数
33)です。
さて、作品はそれぞれに味わいがありますが、??だったのがVOCA賞を受賞した作
品でした。写真をメインに据えた作品で、思いっきり具象的な作品だから、僕には??だ
ったのかも知れません。VOCA奨励賞の受賞作品は、僕にも納得できる内容だったので
すが。
メジャーではないせいか、鑑賞者のマナーもよく、ゆっくりと楽しく鑑賞できました。
(1999.03.03)
この展覧会は、文化庁芸術家在外研修の修了者がその成果を発表する展覧会で、今回は 2年目(日本画家Ver.)ということで、日本の美術界の中核もしくは中核ならんとする方 々の作品展です。いわゆる古典的な日本画ではなく、新しい息吹を感じさせてくれる作品 ばかりでした。確かに、日本画の高度なテクニックを期待していくと残念な気持ちになる かもしれませんが、そのタッチはしっかりとした基礎の上に成り立っていることは十分に 鑑賞できますし、今後の日本画の方向性を暗示しているのかも知れません。当然メジャー ではありませんから、適度な入場者数で、鑑賞者のマナーも良好、更にチケット料金も安 い(一般:500円、小中学生:無料)と、久々に満足のいく展覧会でした。(1999.02. 20)
混雑が予想されたので、夜間延長時間帯(金曜日・土曜日は21:00まで開館、入場 は20:30まで)を狙っていきました。それでも、ものすごい混雑でした。 作品数は多いです。 レイアウト上の工夫はありましたが、それでもぎゅうぎゅう詰め。 メジャーな画家のオンパレード。セザンヌ、ルノワール、ピカソ、モネ、モディリアーニ、 ユトリロなど、代表的な印象派作品が揃っていました。つまり、美術の教科書に出てきそ うな絵画が集まっているといった感じです。印象派に疎い僕としては、まあこんなもので しょうが感想です。みなさんお行儀良く順番に鑑賞されていましたが、時々作品に近づき 過ぎて、係りの方に注意されている方が多かったのは、ちょっと??でした。 あと、カタログ(定価2000円)はしっかりした作りのものでしたが、「音声ガイド 」の内容は、可もなく不可もなくといった感じで、ガイド対象が数少ないような気がしま した。 (1999.02.06)
講談社の創設者(兼 初代社長)であった野間清治氏の約20年間に渡る美術コレクシ ョンのうち、近代美術を中心に、横山大観、川合玉堂、上村松園などの約120点を見せ てくれます。近代日本美術のいわゆる上手な作品群のオンパレードで、古典的な魅力を堪 能させてもらえます。比較的年配の方々が順路に沿って大人しく鑑賞されていました。 会場はデパートのホールではありますが、内容はしっかりしたものでした。(1999.01.23)
ルオー作品の初期から晩年までの約80点を見せてくれます。初期の作品は、人間の醜 さを暴き出したドロドロした感じの作品群です、いわゆるルオーの作品イメージを形成し たものですし、その視点の深さに驚かされます。さて、後半の初期のドロドロが全くない、 穏やかな作品群ですが、これはおいしい作品だけを集めたのではないかと思うくらい傑作 が多かったです。 例えば、ピエロや聖顔などのシリーズは、エマーユ(七宝焼)を連想させる色合いが抜 群の魅力を発揮していました。カタログや絵葉書での色調の再現性もよかったと思います。 ところで、作品説明などのパネルは丁寧に読んでいるのに、肝心の作品はあっさりと鑑 賞していく人が多かったように感じました。心を揺さぶる作品がなかったのかな? (1998.12.6)
展覧会名にある12人の巨匠とは、マックス・ジャコブ、デメトリオス・ガラニス、 フェルナン・レジェ、ジョルジュ・ブラック、ジョルジュ・ルオー、ジャン・フォートリ エ、マルク・シャガール、アンドレ・マッソン、ル・コルビュジェ、パブロ・ピカソ、サ ルバドール・ダリ、バルテュスのことです。アンドレ・マルローという人は作家であり批 評家であり政治家として、画家を支援し、フランス美術界を盛り上げた人(らしい)です。 展示数はものすごく多かったです(300弱かな)。出光美術館はジョルジュ・ルオー を多数所蔵しているらしく、この絵画展でも初期の作品を中心に展示されています。同時 期に安田火災東郷青児美術館で開催中のジョルジュ・ルオー回顧展と比べてみると面白い かも知れません。 個人的には、僕の大好きなレジェやブラック、そしてピカソの作品をゆっくりと鑑賞で きてうれしかったし、来館者の方々もマナーを心得た方ばかりだったので、とても優雅な 時間を愉しむことができました。1998年の絵画展ではNo.1ではないかと思います。 この展覧会は巡回しない模様なので、お見逃しのないように。(1998.12.5)
まず驚くことは、全ての作品に作者名などの説明が全くないことです。純粋に作品だけ
が並んでいました。もっと驚いたのは、異色のギャラリートーク(学芸員による作品説明)。
一般的に、ギャラリートークといえば、学芸員の方の専門的な知識に裏付けられた説明に
より、作品の背景や鑑賞のポイントを話して頂くという一方通行方式です。しかし、今回
は作品前に座り込み(座布団は貸してくれる)、集まった人達が作品をみて「感じたこと」
を語り合う方式でした。リーダー役は当然ながら学芸員の方ですが、コメントするのは大
変そうでした。
さて、肝心の内容ですが、トップクラスの面白さでした。チョコレートの噴水、トゲト
ゲのボックス部屋、可愛いミニカーなどの比較的親しみやすい素材が扱われていることが
多く、現代美術の入門には最適ではないでしょうか?
巡回は豊田市美術館→川村記念美術館(〜'98.12.6)
→水戸芸術館現代美術ギャラリー('98.12.19〜'99.3.21)です。(1998.11.29)