Sonoran Desert (ソノラ砂漠)




Saguaro Forest, Saguaro National Park, AZ



Occotillo, Organpipe Cactus NM, AZ



 ソノラ砂漠は北米四大砂漠のひとつであり、広さは311,000平方キロに達する。合衆国のカリフォルニア州、アリゾナ州と、メキシコのソノラ州、バハカリフォルニア州の一部をカバーする。ソノラ砂漠は北米の他の砂漠地帯と比較して冬が温暖であり、山間部を除いて氷点下になることはまれである。生物学的に見て約半分の種類は熱帯性の性質を有する。モハベ砂漠が”High Desert”, “Cold Desert”と呼ばれるのに対し、ソノラ砂漠は”Low Desert”, “Hot Desert”と呼ばれる。その名の通り、ソノラ砂漠は北部のグレートベースン砂漠やモハベ砂漠に比べると標高が低く、気温が高い。年間降水量は地域差があるがアリゾナ州西部の乾燥地帯では年間数センチ程度である。多くの動物と植物が生息し、その代表格はサボテンの弁慶柱(Saguaro)である。弁慶柱の大きさは降水量により地域差があることが知られている。降水量の多い東側や気温が高い南部では、乾燥した西側や涼しい北部あるいは高地に比較して2倍程度の成長の差をもたらすとの報告がある。
 ソノラ砂漠はカリフォルニア湾の北部を囲むようにカバーし、アリゾナ州北西部からカリフォルニア州北部にかけて、より高度のあるモハベ、グレートベースン砂漠へと続く。東方向にはArizona Mountains forests(針葉樹林帯)及びSierra Madre Occidental forest(マエストラ山脈)へと続く。コロラド砂漠(Colorado Desert)、ユマ砂漠(Yuma Desert)はソノラ砂漠の下位領域(sub-region)として扱われる。

 ソノラ砂漠は動植物の生息場所としても変化に富んでいる。興味深いのはツンドラが存在することである。Flagstaff(アリゾナ州)近くのSan Francisco Peakでは、弁慶柱の分布域の北限近くからわずかしか離れていないが、ここではアラスカと同種類の植物がみられるとのことである。標高の高い場所では針葉樹林帯が形成されるが、モハベ砂漠とは別種の針葉樹である。山麓の丘や、山沿いの斜面などの標高の低い場所ではOak(樫)やPine Tree(松)が多数生える。

 一方、ソノラ砂漠の南部、バハ・カリフォルニアでは様相が異なる。カリフォルニア州、メキシコのカリフォルニア半島では熱帯性の落葉樹林がみられる。雨季に当たる夏の短い期間は緑におおわれ、残りの約9ヵ月間は落葉した状態になる。
 アガベ、パームツリー、サボテン、その他の植物が豊富である。野生の弁慶柱(Saguaro)が生息する唯一の場所としても知られる。その他のサボテンとしては、チョーヤカクタス、エビサボテン、夜咲きの柱サボテン、オルガンパイプカクタス、バシラリス他のうちわサボテンなどがある。

 ソノラ砂漠のsub division(下位区域)のひとつ、Arizona Upland (アリゾナ高地)には5つの季節があるとされるのは興味深い。
・夏季モンスーン、夏の雨季(7月〜9月):7月から9月にかけては夏季のモンスーンが湿った空気を急激に呼び込み、局所的に激しい雨を降らせる。多くの植物が主な成長を遂げる時期でもある。雨季といっても一日の大半は日が差しているのが特徴である。
・秋(10月〜11月):温暖な気温と低い湿度、少ない雨が特徴であり、開花する植物は少ないが、冬型の植物が成長を開始する時期である。
・冬(12月〜2月):ほとんど晴天が続き、比較的温暖であるが、時々北太平洋からの前線によるストームが広域に比較的穏やかな雨をもたらす。
・春(2月〜4月):温暖な気温、雨はほとんど降らず、比較的風が強い季節である。多くの植物が開花する。
・夏季干ばつ(5月〜6月):気温が高く、湿度はごく低く、雨はほとんど降らない。弁慶柱の開花時期であるが、多くの動植物は活動を控える時期である。


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