アマチュア写真家

 アマチュア写真家の多くは1度はプロになることを夢見たことがあるのではないでしょうか。私もなんとなくそのような妄想を抱いたことがありました。しかし、いつのころからか自分はプロ写真家にはなれないと思うようになりました。その理由を正確に述べるのは難しいのですが、自分の性格と写真に対する考え方に起因しています。

かつて「写真家になる(株式会社メタローグ)」という本の中で執筆者の一人である飯沢耕太郎さんが「僕が写真家になれなかった理由」という記事を書かれていました。シチュエーションは少し違いますが本質的によく似ていると思います。(注・飯沢さんは写真評論家ですから「なれなかった」という表現は謙遜して書かれている面があるとは思います。)

別の要因として、自分の好きなことと仕事は別、という考え方があります。世の中には趣味と仕事が一致している幸運な人もいるかもしれません。しかし、自分の場合はそうはいかないと思っています。好きなことが仕事になって、それに生活がかかった場合、それを楽しむことができないと思うからです。

私の仕事はコンピュータ・半導体関係です。最近では自分でプログラムを書くことは少なくなりましたがもともとはソフトウェアエンジニアです。情報処理技術者の資格を持っていて、コンピュータサイエンスの修士でもあります。しかしコンピュータが好きかというと正直なところそれほどではありません。確かに自分で設計をしていたころはエキサイティングでしたし、アグレッシブでもありました。しかし、あくまで仕事と考えていたような気がします。仕事外の自由時間には他の事に気が向いていたと思います。

話を写真に戻します。こういう言い方は不謹慎かもしれませんが、自分のペースでテーマを追求するにはアマチュアの方が都合がよい面があると思います。プロになれば自分の好きなテーマばかり追いかけているわけには行きませんし、仕事を得るための苦労は相当なものだと想像できます。技術的な問題もあり、そもそも写真が好きだというだけで勤まるほど甘くはないでしょう。今は、アマチュア写真家として自分のテーマを追求できたらそれでよいのではないか、と考えて活動しています。

(2007年9月記)

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