単焦点レンズとズームレンズ


先日ある方とズームレンズか単焦点レンズいずれを買うべきかという話題になりました。
色々なレンズの像を比較してみると単焦点レンズの特性は素晴らしいが使用できる場面が限定されるので結局は高価なズームレンズが望ましいが高価格が問題、そんな話をされまた。
個人的には単焦点レンズ派ですが以下雑談です。

かつてズームレンズは画質面で使用に耐えなかったからプロもハイアマチュアも高画質が必要な人は単焦点レンズを使用していました。私自身はかつてビューカメラをメインカメラとして使っていた経験が影響しているせいかデジタルカメラでも単焦点レンズを積極的に使っています。現在はデジタルカメラ用としては8,15,20,40,50,100、200mmの単焦点レンズを使っています。いずれ、85、135mmを追加したいと考えています。ズームレンズも一応あります:16−35、24−105、150−600mm。

いまでは処分してしまいましたがビューカメラ(4x5)のときは当然ですがすべて単焦点レンズでした。
カメラ本体と90、120,150,240,400mm、その他アクセサリをザックに入れて持ち歩いていました。とても重かったですが画質は最高でした。風景が主体なのでパンフォーカスにする場合は最小絞りの少し手前まで絞ることが多くf32, f45 なんてこともありました。

星空撮影では絞り開放近くで撮ることが多いので事情が変わってきます。可能なら絞りたいのですが被写体が暗いからやむを得ません。画質を追求すると行きつくところは天体望遠鏡になります。天体望遠鏡は絞りがないし、オートフォーカスや手ぶれ補正の機構を組み込む必要もないので構造がシンプルであり光学的に性能を追求しやすいという事情があります(コスト面でも有利)。

以下は天体写真のページでも掲載していますが参考画像として再掲載します。

一方は写真レンズ、Canonn 200mm F2.8の画像です。星を追尾しているので富士山にはピンが来ていませんが開放でも周辺までシャープです。ズームレンズ開放ではこうはいかないと思います。個人的には牛丼レンズと呼んでいます。はやい(明るい)、やすい、うまい(画質が良い)。

もう一方はタカハシの6cm 屈折(FS60CB, 370mm, F6.2) の画像。
周辺までとてもシャープ、針で突いたようです。光学系がいいのかノーマルの6Dなのにけっこう赤い。



参考画像(クリックして拡大可能)

シリウス
Canonn 200mm F2.8
北アメリカ星雲
FS60CB, 370mm, F6.2


ちなみにこのキヤノンレンズにもMTF 特性からは読み取れない弱点があります。ゴーストが発生しやすいことです。上の写真でもシリウスの点対称の位置に少しゴーストが見えます。暗い視野に明るい月が入っていたりするともっと派手に出ます。コーティングの問題かもしれませんが写真レンズではレンズ構成が複雑なのでやむを得ないかもしれません。他の写真レンズでも月が入るとゴーストが発生することが多いようです。月や太陽をまともに入れてもゴーストが発生しないのは私の使用範囲では天体望遠鏡だけです。


写真レンズのゴーストの例


類似条件でも天体望遠鏡ではゴーストは出ない


画質を追求すると写真レンズでは単焦点レンズということになると思います。写真レンズで星空を撮影する場合でも画質を追求する人は単焦点レンズが多いようです。ズームレンズは便利ですが頼りすぎると構図が安易になり雑になるという副作用も指摘されています。単焦点レンズの良さを見直すのもよいのではないかと思います。


2017年3月12日

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