写真技術の世代交代(2) 〜 シートフィルム
先日、写真用品を整理していて古いフイルムが冷蔵庫に眠っているのを思い出しました。食料品と一緒に保管することは本来なら厳禁なのですが、フイルム専用の冷蔵庫などもつ余裕は経済的にもスペース的にも難しいので密閉性を確保して食品と同居させていました。その中に4x5インチのシートフィルムがありました。消費期限を見ると2003年になっているのでそのころまでは4x5インチの大型カメラを使用していたことになります。私はTOYO
FIELD 45Aを使っていました。このカメラはかなり前に処分してしまったので今は手元にありません。とっておけばよかったという気がしないでもありませんが、防湿キャビネット内に使わないカメラを置いておくスペースの余裕がないので、使わない機材は一部を除いて新規購入の際に下取りに出しています。
写真1はシートフイルムとフイルムホルダーです。写真2はホルダーのふたを引き出したところ。ホルダーの裏と表で計2枚装てんできます。シートフィルムには
Notch(切り込み)が入っていて、これが右下になるように持つと手前が乳剤面です。これでダークバッグの中でもフイルムの向きと裏表が手探りで判別できます。切り込みの形でフイルムの種類も判別できるようになっています。デジタルカメラに慣れてしっまった今では想像するだけでもしんどくなりますが、撮影に必要な枚数分を装てんしたフイルムホルダーを持ち歩くのは相当大変です。そこで私はもっぱらフジのクイックロードまたはコダックのレディロードを使っていました(写真3)。これですと購入時点でフイルムが紙製のパケットに入っています(パケットフィルムともいう)。パケットフィルムホルダーを使って通常のフイルムホルダーと同様にカメラに挿入できます。1枚当たりのコストはかなり割高になりますが機動性を優先する場合はこちらが便利でした。ただしパケットフィルムは、フジ、コダックとも生産を終了しています。
シートフィルムが今後どうなるかは、大型カメラの存続にかかっています。大型カメラは構造がシンプルであり、プリズムなどの光学系はなく、シャッターや露出機構すらありません。組み立て暗箱という別名からわかるように、ただの箱といっても過言ではありません(過言かも)。カメラ本体とは別の露出計で光の強度を測定し、絞りとシャッター速度を決めてマニュアル設定します。本体にはシャッターがないのでレンズシャッターが前提です。こういう言い方をすると現在でも使っている方には失礼かもしれませんが大型カメラは古き良き時代の機材という感が強いです。今やソフトでパース補正ができる時代ですので昔のように建築写真は大型カメラでなくては、という事情もなくなったと思います。そう考えると、今でも使っているのは相当こだわりを持ったハイアマチュアの方か特殊な事情のあるプロのみではないでしょうか。
写真1 シートフイルム(左)とフイルムホルダー(右)
写真2 ホルダーのふたを引き出したところ。裏と表に1枚づつ、計2枚装てんできる。
写真3 フジのクイックロード。生産終了品
(2013年4月21日)
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