意外と知られていない「ホースセラピー」。筆者の経験を交えて話題に触れてみたい。
 筆者は3年前に下川町内で馬(ドサンコ)を飼い始めたが、それまで精神的ストレスに悩まされていた。
新聞記者になってから連日、気の休まる時間がなく、仕事もつい、朝から深夜までやり続けてしまう日が続いた。
 地域の課題を掘り起こして提起するのが地方紙の役目。
相手を気遣いつつも、言いたくないことまで指摘せねばならないこともあり、ストレスが絶えない。
 ストレスからくる頭痛、耳痛、目痛に何年も悩み、2年前には原因不明のじんましんも出た。
 じんましんが出て1カ月半後、ついに愛馬「ハナ」が下川へ到着。
世話と調教を始めたその日、じんましんが瞬く間に消え始め、数日後に完治した。
 馬は健康のために飼い始めたわけではなく、暮らしを豊かにするためだったが、結果的に心身が健康になった。
 馬を世話することで早寝早起きになり、馬、つまり自然のリズムに合わせた暮らしに変わり、仕事もメリハリを持って励むようになった。
自分の暮らしが改善されてきた。
 アニマルセラピーの中でも馬を使った「ホース・アシステッドセラピー」は、医療・教育・スポーツ・レクリエーション・コミュニティの多面的な要素を持ち、心身への直接的セラピー効果が認められている。
 馬は人より大きな体でありながら、従順で心優しい動物。馬の気持ちを考えて世話をすることで、通い合う喜びが生まれ、馬に乗ることで、その高さや温かさから感動と心の安らぎが生まれる。
馬の背に揺られ、意思を通じ合わせることによって、自信が回復し、喜びや楽しみがあふれ、日常のストレスや孤独感を癒してくれるようだ。
 乗馬には身体的効果もある。馬の温もり、振動やリズムが脳を刺激し、日常使わない筋肉や神経を使う。筋力強化、腰痛予防、バランス感覚の改善などが見込まれる。
 「馬」と共にある暮らしは「人」を豊かにしてくれる。
 ( 小峰 博之 ・ 名寄新聞掲載「馬と森のある暮らし」より抜粋 )