■エルシニア・エンテロコリティカについて  2003/10/04

  エルシニア・エンテロコリティカにより死亡された方がでてしまいました。ご本人様の苦しさと無念さと、ご遺族様の悲しみと、まことに申し訳ないことです。<(。_。)>

  エルシニア・エンテロコリティカは食中毒の細菌ですが、普通の方にはあまり馴染みがない名前だと思います。この菌について説明します。

  それぞれのばい菌には増殖しやすい環境があります。普通のばい菌は低温では増えにくいので赤血球は4〜6度で保存されています。保存している赤血球は生きているので栄養の為にマンニトールを入れています。低温であるのは、赤血球の活動を抑えると長く保存できる為でもあります。このエルシニア・エンテロコリティカは低温で保存している赤血球のバックでも増殖して、毒素をつくるという性質があります。この菌はマンニトールを栄養にできます。この菌がすごく増えると、この産生した毒素(エンドトキシン)により、輸血された人はショック(エンドトキシン・ショック)を起こす可能性があります。エンドトキシンは保存21日以降に急激に増加します。 その為平成7年4月から赤血球MAP(マンニトール・アデニン・リン酸塩入り)の有効期間を採血後42日間から21日間に変更して、エンドトキシン・ショックの発生防止につとめてきたというのがこれまでのところです。。 日本では、期限の切れた赤血球のバッグから変色などにより、2例この菌がみつかったことがあります。 これまではエンドトキシンショックの報告はなかったのですが、アメリカでは900万回(バッグ)に1回の割合でおこっているといわれるそうです。 現在、エルシニア・エンテロコリティカあるいはそのエンドトキシンを適切な時期に検査で発見する方法がありません。現在のところは問診によるしかありません。
 
4、次の病気や症状がありましたか。
  1ヶ月以内−発熱を伴う食中毒様の激しい下痢


  この項目は「エルシニア・エンテロコリティカ」を筆頭に、「サルモネラ」「病原性大腸菌」などが血液に混入するのを防ぐ為の問診です。

日赤問診マニュアル参考
バック