■「気持ち悪くなったのですが」


1、これは献血に伴う副作用です

献血は問診・検査を通った健康な方にお願いしているので、重い副作用がでるということは少ないですが、いくつか副作用があります。「気持ち悪くなる」のは、主に2つの原因があって、一番副作用で頻度が多い「血管迷走神経反射=VVR」について、述べます。 もう一つはクエン酸反応といって、次でのべますね。

2、VVRって?の説明にむけて 自律神経の説明をします。

私達の身体は、自分の意志でコントロールしている神経の領域と、コントロールできない領域があります。例えば「ボールをなげる時」ですが、投げようという腕の筋肉は自分の意志でコントロールしている領域ですが、その際身体がバランスを失って倒れないように、あちこち調整しているのが、コントロールできない神経の領域です。また心臓なんか自分の意志でコントロールしていたら、寝ているときは止まってしまいます。心臓は、自分の意志ではコントロールしていない領域です。自分ではコントロールできず、勝手に調節してくれている神経を自律神経といいます。自律神経には、交感神経副交感神経があり、簡単にわけると身体を活動的にさせる方が交感神経で、おとなしくさせて身体のエネルギーを保存する方が副交感神経です。

普通 針などを刺されたり、痛み等を与えられると、交感神経が活発になり、血圧をあげ 脈を早くし、 すぐに逃げられる体制が整います。 「火事場のばか力」というのが、この状態と思われます。 でも何かの際に副交感神経が活発になると、血圧が下がり、脈が遅くなります。たぶん「びっくりして腰をぬかす」といった状態が近いかも。昔から、なにかの際に、交感神経が興奮した時と、副交感神経が興奮した時の両方の状態が知られていたのですね。

自律神経は血圧の調整に血管を太くしたり細くしたりします。血管の壁にそって走っています。血管に針を刺すことで、副交感神経が興奮してしまう場合もあるのです。

3、迷走神経って?

身体の中を複雑怪奇に走る、つまり迷走するという神経で、主に内臓なんかの働きを調節しています。副交感神経は、身体のエネルギーをとっておく神経なので、内臓の働きを活発にして、栄養分をすいあげる調節の神経になります。ごはんを食べた後は、副交感神経の方が、交感神経より優位になるので、おとなしく、眠くなります。また迷走神経は、外耳(耳の穴のすぐそば)の知覚もしているので、ここを刺激すると(耳掻きなんか)、眠くなるのでした。

4、VVRって?

副交感神経の興奮によって、血圧が下がり、が遅くなります。そうすると、脳に充分酸素が送れなくなり、酸素がないと、脳は活動できなくなり、その酸素不足のサインとして、気持ちが悪くなったり、目の前が暗くなったりします。

ベッドを倒して、頭を下げると、血圧が低くても血液が送れるので、症状が軽くなります。

5、どうすれば治るの?

ほとんどの場合、頭を低くして休んでいることでおさまります。症状の強い場合は、輸液させて貰うことがあります。

6、VVRっていつ起こるの?

針を刺して5分以内におこることが多く、ほとんどは採血中に起こります。 しかし まれには、採血後1時間くらいして起こることもあります。ですから、献血の後は、充分水分をとって、休養して、その日は買い物めぐりなんかは一応やめておいてね。遠くからいらして下さった方は、特に水分と休養に気を付けてくださいね。

7、VVRってどんな時に起きやすいの?

おなかの神経が関係していることからわかるように、空腹、また満腹の時おきやすくなります。自律神経の疲れている時、(季節の変わり目睡眠不足)でもおきやすくなります。また、初めての献血の時や不安などの強い時にもおきやすいです。

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