■性感染症について2003/10/1

東京都健康局「性感染症ってどんな病気?」

  人間の三大欲は「食欲」「睡眠欲」「性欲」といわれます。
「性欲」というのは、「食欲」「睡眠欲」と同様に自然な欲求です。 それ自体はあたりまえのことです。しかし気軽に話題にできないものがありますね。その為その危険性については、十分わかっていない方が多いです。食べ物については、その食品に発癌性物質が入っていないか、賞味期限がきれていないか、色が変わっていないか、すっぱい臭いがしないか等、ごく普通にほとんどすべての人が気を付けていると思います。けれども安全なSEXということについては、「知らなかった」ことで命まで危険にさらされることがあります。
  性行為での危険性は「望まない妊娠」と「感染症」が2つの柱でしょう。 「のぞまない妊娠」では、妊娠中絶による不妊など、こころと身体に後遺症が残ります。 「感染症」では、「不妊」「生命の危機」を起こすものがあります。
  「エイズ」はSEXでうつり、うつってもすぐに症状にでないということは、知られています。 けれども他の性感染症は「痛いとか、膿がでるとか、かゆいとか、いぼいぼになるとか・・・・・・何か症状がでて、出たら病院にいけば薬で簡単に治る」と思っていませんか?
そういうタイプの性感染症は治療によって減っています。特に何も症状がないので放置されて「不妊症」になったり、治療法がないので、命にかかわるものが増えているというのが、今の性感染症の問題です。細菌には抗生剤がききます(が、抗生剤のきかないタイプの細菌がふえています。)ウイルスには抗ウイルス剤のあるものは少ないです。一度かかったら治ることができないウイルスも多いです。(さらに抗ウイルス剤のきかないウイルスもでてきています。)

  「コンドーム使っているから大丈夫」・・・・・・適切に使っていますか?
オーラルセックスでも、クラミジア・淋病・梅毒・ヘルペス・エイズなどはうつりますよ〜
風俗のおねえちゃんが、のどにそれらをもっていたら、口でされたって うつるってことです。 オーラルセックスでもコンドームを使いましょう。
「お金貰って、えっちしてるけれど、手でだよ」手でしたって、精液を顔などに受ければ、眼にはいったり口にはいったりでうつります。キスでうつるものもあります。

  コンドームは性感染症を大いに防いでくれますが、破れたり劣化したりということもあることと、 初めからつけてなければだめで、「粘膜と粘膜」の接触などを防がなければ予防になりません。すべりをよくする為にコンドームにベビーオイルなどをつけると、ゴムが劣化して破損することがあります。

  クラミジアは症状がでなくて、放置している間に「不妊症」になったりします。 どのくらいの人がかかっているかですが、放置されているので本当の人数はわかりません。 体力がおちた時などに症状がでてきて、病院にいって発見される人数は、性感染症の中でトップです。若い女性の20人に1人くらいかかっているのではないかと心配されています。クラミジアにかかっていると、エイズをうつされやすいという問題もあります。(1回の性行為でエイズをうつされる率はそれほど高くないのですが、クラミジアにかかっているとエイズが感染しやすくなります)
  次に多いのは淋菌によるものですが、男性は激しい痛みなど症状がでますが、女性では、無症状のものがあり、これも不妊に繋がります。

  非常に感染力の強い重大な病気については、医師は全部の患者さんを国に届けますが、性感染症は定点観測という、決まった医療機関(定点)での患者さんが届けられる仕組みです。 その920の医療機関での性感染症の平成15年8月の報告数です。感染症発生動向調査(国立感染症研究所)
これは一週間毎に重大な病気がどれだけ発見されているのかという報告をまとめた発表です。 急性ウイルス性肝炎とエイズのウイルスでどれだけの人が新たに発見されたかも報告されています。

平成15年9/8〜9/15 9/1〜9/7 8/25〜31
急性ウイルス性肝炎 1 例
B 型
(推定感染経路:性的接触)
3例
  A型1例
(推定感染地域:国内)
 B型2例
(推定感染経路:性的接触1 例、家庭内水平感染1例)
3例
 B型2例
(推定感染経路:ともに性的接触)
 C 型1例
(推定感染経路:不明)
後天性免疫不全症候群 10例
(AIDS 1 例、無症候9 例)
8例
(AIDS 2例、無症候6例)
8例
(AIDS 2 例、無症候3例、その他3例)
男性/女性 10 例/0 例 6例/2例 7例/ 1例
推定感染経路 性的接触9 例
(すべて同性間)、
不明1 例
性的接触7例
(異性間3例、同性間4例)、
不明1例
性的接触8例
(異性間3例、同性間5例)
推定感染地域 国内8 例、不明2 例 国内8例 国内6例、英国1例、不明1例


  一日に1人以上のエイズのウイルスをもつ人が新たに報告されています。多いと思いますか?少ないと思いますか?病院にいってない人の数はわかりませんので、本当はもっと多くの方がかかっています。

  さてこの夏「肝炎ウイルスすりぬけ6419例」等という新聞の見出しをごらんになった方も多いと思います。 その時の日本赤十字社の対応など、まことに申し訳ないことです<(。_。)>
  日本赤十字社では安全対策を強化する手段として、次のようなことを行うと発表しています。

  1. 遡及調査の徹底 ガイドラインを今年中に作る
  2. 新鮮凍結血漿は有効期間が1年間なので、次の献血で陽性になった方の血液をとりのぞけるように、すぐに使わずに6ヶ月間は保管してから使うこと
  3. 輸血用血液製剤における病原体不活化技術の早期導入
  4. NAT検査の精度向上の為に、現在50検体を混合して検査しているが、もっと少ない数にする。
  5. 輸血用血液製剤の白血球除去フィルターの導入

  B型肝炎・C型肝炎・エイズのウイルス・梅毒の検査が今回は陽性で、前回の血液では陰性の血液と、前々回が(前回の5週間以内で)陰性の血液をあわせると、過去一年間に6419例ありました。
この一年間に献血してくれた人の中で、前はそういう病気にかかっていなかったのに、今回献血したら、病気にかかっている(と強く疑われる)人が6419人(3210人よりは多く6419人に近く・・・・調査の対象になった血液が2本の人もいるので)もいるってことです。
  ほとんどの方が性行為でうつされたと推測されます。
  この一年間で献血してくれた人の中でこれだけいます。日本人全体では、性行為で、これらの病気がどのくらいうつされているのでしょう。

  「洋服が欲しいからお金の為に」
  「なんか一生懸命頼むから」
  「みんなしてるから」
  「据え膳」
  「雰囲気で」

  性行為は上のような病気にかかるおそれのあるものです。 自分の命を危険にさらすような行為です。
  あなたは、得たいのしれないものを、よく考えずに食べたりしますか? 道におちているものを食べたりしますか?
  食べ物は何が入っているのか表示されていますが、その人がどんな病気をもっているかは、表示されていません。その人自身知らないこともあるし、故意に隠していることもあります。性器周辺に症状がでていない病気こそ恐いんですよ〜。

  昨年は10代で性行為によってエイズにかかった人がでました。
最近は、はじめからエイズの治療薬の効かない耐性菌をもっている人が増えています。耐性菌は中途半端な治療で(たとえば薬の飲み忘れ)でてきてしまいます。 はじめてエイズにかかった人がそれをもっているということは、治療をしている(つまり自分がエイズであることを知っている)人からうつされたことを意味します。確信犯ってことですね。

  癌になったりするウイルス(エイズ・ウイルス性肝炎ウイルス・ヒトパピローマ(乳頭腫)ウイルス)、一度かかったら治らず症状をくりかえすヘルペスウイルス、不妊症の原因となるクラミジア・淋菌、梅毒、、、、、、、、
自分の人生を左右してしまうような病気です。自分のことを大事にしてくださいね。
  1. よく知らない異性の相手との性的接触
  2. 男性と男性の性的接触
  3. 売(買)春行為
  4. 麻薬・覚醒剤を注射した
  5. エイズ検査で陽性といわれた
  6. 性的接触をもった相手が上記に該当する人だった
この1年間に、こういう行為のあった方は献血できません。

「男性と男性の性的接触」これはエイズの上の報告をみてもわかる通り、エイズの感染経路に同性(男性同士)が多いからです。
「性的接触をもった相手が上記に該当する人だった」自分は相手に一途でも相手が遊んでいる人ならあなたもエイズにうつる可能性があるので献血できません。

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