■どうして こんなことくらいで献血できないの?


1、献血できない理由には、2つの点からがあります

1、1つは、献血していただく方の安全を守るという点です。
2、もう1つは、輸血を受ける患者さんの安全を守るという点です。

2、献血していただく方の安全を守るために

献血することで、体調に悪影響を及ぼすおそれがある時は、献血をお断りします。
例をいくつかあげますね。

  • 16歳未満の成長の途上にある方は、献血をお断りしています。
  • 体重40Kg未満の方は、献血をお断りしています。 (人間の血管の中の血液は、主に体重によって変わります。 頂く血液の量が一定以上に決まっているので、体重も一定以上の方に決まっています。)
    (体重と身長から 身体の中を循環している血液の量を計算しています。 体重が以前より減っている場合は必ず教えて下さいね。貰いすぎちゃうといけませんので)
  • 以前の献血からの間隔が足りない方も、献血をお断りしています。 詳細につきましては、『れっつ!献血』を参考にしてくださいね。

〜お持ちの持病による場合
  • 「喘息」の持病がある場合に、献血が発作を引き起こす きっかけになるおそれがあるので、コントロールがうまくついていない場合、献血をお断りしています。
  • 「てんかん」をお持ちの方も、献血によって、発作がひき起こされることがあるので献血をお断りしています。
  • 「心臓病」のある方は、献血により、血液の流れが変わることで、心臓に悪影響を与えるおそれがあるので献血をお断りしています。
  • その他にも ございますので、問診医に相談されてください。

3、輸血を受ける患者さんの安全の為に

血液によって 他の方にうつす病気をおもちの時は、献血をお断りしています。いくつか例をあげます。

  • たとえば、ばい菌による下痢の時です。 症状が治まっても、ばい菌が腸の中に長く居座る例があります。 暴飲暴食が原因と思われる下痢の場合も、問診医とご相談下さいね。
  • 献血者の方はまったく気付いていない感染(不顕性感染)がある。
  • B型肝炎のキャリアといわれている場合や、C型肝炎にかかったことのある方もウイルスをうつすおそれがあります。
  • 狂牛病の関係で、ヨーロッパに長く滞在されたことのある方はお断りすることがあります。 事前にルームの方にお問い合わせ頂くか、問診医とご相談ください。
  • マラリアの患者さんがでる地域に滞在した。 地域など、こちらもご相談ください。
  • 海外旅行後は、何も発熱などの症状なく3週間すぎていることが必要です。(西ナイル熱、SARSなど)

4、血液に ばい菌が入り込むおそれのある時

輸血を受ける患者さんの安全の為には、 献血する時に血液の中に ばい菌が入り込んではなりません。

  1. 消毒薬にアレルギーがあって、消毒ができない場合、針を刺した皮膚から、ばい菌が入り込むおそれがあるので、献血をお断りしています。イソジンという消毒薬にアレルギーをお持ちの場合は、他の消毒薬に変えさせて頂きます。こちらからも確かめさせて頂いてますが、献血後 身体のあちこちが痒くなって発疹がでた等ありましたら お知らせください。 アルコールにアレルギーをお持ちの場合は献血はできません。 (「かぶれる」 という その消毒液をつけた場所だけが赤くなるのは、「接触性皮膚炎」といいます。 ちなみに今までに、「アルコールに対してアレルギーを持っている」と考えられて 私がお断りさせて頂いたのは1件だけです。)
  2. アトピー性皮膚炎などで、針を刺す場所の凹凸が強く、消毒によっても、 ばい菌が隠れて生き残りそうな場合 献血をお断りしています。
  3. 身体を守る仕組みで、一番単純なのは、外側のです。人間では皮膚粘膜ですね。ここが傷ついている場合、血液の中に ばい菌が入り込む (そして それが輸血する血液に入り込む)おそれがあります。特に口の中からは、血液の中に入り込む可能性が高いです。歯石などで、出血があった場合、一過性(ずっとではなくて、身体の防御機能で治ります)に血液の中に ばい菌が入り込む可能性は ほぼ100パーセントということです。歯医者における治療内容で、3日間献血をお断りしています。
    同様に、口内炎のある場合や、口腔のピアスのある場合はお断りしています。皮膚の場合も、特に針を刺させていただく肘付近の状態には「なんでこのくらい」と思われるでしょうが、お断りするケースが多いです。

健康な献血者の方には、もともと備わっている身体を守る仕組みで、ばい菌が血液の中に入っても、ほとんど問題ありません。しかし、血液のバッグの中に ばい菌が入った場合、そこで増えてしまう可能性があります。また、輸血される患者さんは、身体が弱っていて、問題とならないような 常に皮膚に住みついているような ばい菌 (日和見感染といい、弱ったときだけかかる感染)によっても、病気になってしまいますので。

5、血液って ばい菌の検査してないの?

患者さんへの血液は、ばい菌の検査をしています。 しかし、現在の検査で ばい菌の入っている血液が完全に除かれることはありません。 3つの理由によります。

  1. わかっている、すべての病原菌に対しての検査が、行われているわけではありません。 マラリアは、検査の方法が確立していません。 (その為 マラリア感染地域の旅行に対して、問診しております) 狂牛病のプリオンというものに対しても検査できません。 (ヨーロッパの滞在歴をおたずねしてます) その他、ありとあらゆる病原菌の検査をするのは、種類が多くて、不可能でしょう。
  2. 未だ発見されていない未知のウイルスがいる可能性がある。 ちょっと前まで、C型肝炎は「非A非B肝炎ウイルス」といわれてました。 「A型でも、B型でもない」という肝炎ウイルスの中から、C、D、Eと どんどん発見されております。 AIDSSARS等も最近発見されたウイルスですね。 そのように まだ知らないウイルスがいることでしょう。
  3. 検査しているウイルスでも、「ウインドウピリオド」といわれますが、 病気にかかっていて、他の人にもうつすおそれがあるのに、検査にはでない時期があります。 問診14をよく読んでください。 そこはAIDSや梅毒にかかる危険性の多い方です。 検査にでるようになる時期まで、1年間献血をお断りしています。

検査では ばい菌が入っている血液をとり除くことが現在のところ不可能です。
問診事項をよくお読みになって、正しくお答え頂くようお願いします。
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