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血管はホースみたいなものです。ホースの中をどのくらいの強さで流れているのかというのが血圧です。ホースを踏むとホースの先の水はとまりますね。水道から勢い良く水を流している時(水圧が強いとき)、お子さんがホースを踏んだくらいでは、水はとまらないことがあります。 |
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「どのくらいの強さで踏んだら水が止まったか」その強さが血圧になります。ホースを踏みつける力を数値で表す為に、「体重何kgの人が乗ったら水が流れなくなりました」でもいいのですが、ペットボトルを何本のっけたら止まったかで表すとわかりやすくなります。 |
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そのホースの上に「ペットボトルの柱」=「水の柱」を立てたら、どのくらいで流れを止められたか、それが最初の血圧計です。水の柱だと、かなり高くなります。それは面倒なので、もっと水より重い液体にしようということで「水銀」が選ばれました。血圧の単位はmmHgです。Hgは水銀を表す化学記号です。水銀何ミリメートルの高さの圧力かという、そのまんまです(笑) |
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水銀血圧計では、まず水銀の柱を高くして、血液の流れをとめます。 |
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そこから少しずつ力を下げていくと、やがて血液が流れ出します。その時、狭い場所を通ろうとする為、音がでます。風の強い日に窓を少し開けると音が出るのと同じです。初めて音がしだした強さが「最高血圧」です。 |
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さらに力を下げていって、音がしなくなったところが「最低血圧」です。 |
ルームにある機械の血圧計は、音ではなくて、血液が流れ出すときの「圧力の変化」を読みとってくれるすぐれものです。水銀血圧計は仕組みが単純なので、壊れにくいという利点があります。
「高血圧」というのは、強い力で、血液が流れているということです。私の軽い体重で踏んでは(そこ!反論しない)水が止まらないくらいの勢いにさらされたホースは、年月がたつうちに、早くボロボロになります。強い勢いに耐えようと、高血圧の人の血管は壁が固くなっていきます。(動脈硬化って言葉は聞いたことおありでしょう・・・動脈が硬く化けるってことです)。若い人の血管は、壁がゴムみたいに柔らかいので、もし急にたくさんの血液がきても、ふんわり伸びてくれます。でも固くなった壁では、耐えきれずに「パーーーーーン!」破裂してしまうかもしれません。それが脳なら脳出血です。心臓、腎臓も細かい血管がたくさん走っているところです。そういう臓器への合併症の予防が高血圧の治療の目的です。血圧が高くても、せいぜい頭の後ろがなんとなく重いかな〜くらいしか感じません。血管がぼろぼろになっていくというのが高血圧の怖さです。高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」といわれています。またついでに申し上げると、血管の壁を中から破壊していくのが、高すぎるコレステロールです。
血圧は普通の方で、一日のうちに上が50くらい下が40くらい変わります。血圧というのは、一瞬一瞬でかわっているものです。立つと頭まで酸素を運ぶには、血圧が高くならなければ、届きません。寝ると自然に流れていくので、血圧は低くても充分です。「立ちくらみ」というのは、座った状態では低くても間に合っている血圧が、急に立ち上がることで、調節がおいつかず、血圧が低くて、頭まで酸素を届けられない。その為に起きている症状です。立位、座位、臥位でも血圧はかわりますし、食事、運動でもかわります。運動で筋肉がたくさん酸素をほしがりますので、それに応える為に血圧も高くなります。精神的な緊張のあるとき、「いつでも逃げ出せる」体制を身体は整えます。(基本的には、刺激があれば、細胞は逃げ出します。熱いものに触ると、ぱっと手をひっこめる反射なんかを考えてみてね)
血圧は一瞬一瞬で変わるものですので、続けて機械で計ると「こんなに違う。壊れているんじゃないの?」という方がいらっしゃいますが、それで普通なのです。
仕事中は、常に緊張状態にありますので、仕事の合間に献血にいらっしゃった場合、普段より血圧は高くなっておかしくないです。前回血圧が高くでた、ということで「今日はどうだろ」と心配されるだけで血圧は上がります。急いでルームまで来たら、もちろん血圧はあがります。
重たい荷物をもってきた、あがります。計られると思うとどきどきしてくる「白衣高血圧症」の方もいらっしゃいます。まして献血はこれから針をさされる等痛いことが待っています。あがらないはずはないのです。
外で血圧を測って高いと出た場合の1/3くらいは、本当は血圧が高くない方といわれます。
本当は15分以上安静に座った状態で、30分以上カフェイン入りの飲み物や喫煙、運動をしないで計らなければ正しくはかれません。献血ルームでは無理なので、多少大目に血圧はでても献血が可能です。
ただ「家では高くないのよねー」という方が、いずれ家でも血圧が上がるようになる高血圧予備軍であるというデーターもあるようです。お食事くらいからお気をつけください。
血圧が高い方は、塩分控えめの食事、体重・アルコール・たばこを減らす、軽い運動で改善します。それで改善しない場合は薬を使えば下げることができます。
「降圧薬は一度はじめたら、ずっと飲み続けなくちゃならないから、まだ病院にいきたくない。」とおっしゃる方がいますが、飲むことで血管を守れるなら、悲惨な病気にかからずにすみます。血圧を下げることで怖い合併症を予防するというのが、高血圧の治療です。飲み始めても、生活の改善で薬に頼る必要がなくなることもあります。「血圧が高くてどうにもならなくなったら病院にいこう」と思っている間に、血管はどんどん、ぼろぼろになっていきます。症状がでてからでは、軽い運動もできなくなります。脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、腎不全などを起こさないために、血圧を早めにコントロールしましょう。
ルームなどで一度、血圧が高くでてもそれは、まったく心配はありません。しかし何度も高くでる場合、「高血圧」を引き起こす別の病気が隠れていることもあります。一度医療機関にご相談ください。
献血は一種類の薬で、うまく血圧がコントロールされ、目や腎臓、脳、心臓などに高血圧から引き起こされた症状がない場合、お願いできるようになりました。
現在の基準では、上が140mmHg、下が90mmHgから高血圧の領域にはいります。つまり、合併症を引き起こしやすいレベルの血圧になります。よりよい血圧とは120/80mmHgだそうです。