※ この本は運命のイタズラに振り回された男が、30歳の誕生日を迎えた今
自分の半生を振り返り、ありのままを綴った衝撃作である
○○年△月×日
キノコを採りに近くの森へ出掛けた
「これは食えるな」 「これは・・・合法だけどドラックだな」
慣れたものだ、見た瞬間に判別できてしまう俺ってスゴイ(笑)
・・・と自画自賛した瞬間、『 ガサガサ 』と草の擦れる音が聞こえた
その時は「気のせいか」と思っていたのだが・・・
『 ガサガサ 』 ・・・ そういえば、近所のオヤジが言ってたっけ
「昨日、家の前で熊がコッチ向いて「ニヤリ」と笑っとったって〜」
・・・まさか?! 俺の心臓はドッキドキ〜☆ なんて浮かれてる場合じゃねぇ!
ヘタに動いたら乗られて食われちまうんだろう・・・
熊に「乗られる」なんて・・・末代までの恥だ、それは俺のプライドが許せねぇ
熊がここから立ち去るまで、大人しくしてよう・・・俺は動きを止めて、気配を消した
昔から「だるまさんが転んだ」大会では優秀な成績だったから、これくらいは何のことはない
さぁ、熊よ。早くこの場から立ち去れ!!
・・・しかし、俺の想いに反し 足音がだんだんと近づいてくる
ドキドキ・・・もう、冗談を言う余裕はなくなった(汗)
あぁ、俺は「母さんと熊」しか知らずに この短い人生を終えてしまうのか?
くそ! こんなことなら街へ遊びに出かけた時、 ピン○ロの呼び込みに素直に応じればよかった・・・
そういえば、コス○レ風○店もあったっけ・・・いろんな想い出が走馬灯のように甦る
『 ガサガサ 』 ・・・ あぁ、もうダメか と思った瞬間
「・・・何やってんだよ、アンタ」 ・・・ 振り返るとそこにいたのは俺のカワイイ弟
「悟浄〜〜〜〜!」 緊張の糸が切れた俺は、年甲斐もなく小さな弟に抱きついて泣いた
「ばっ! 何しやがる!! このクソ兄貴!!」 「(号泣)」
しばらくして泣き止んだ俺は、弟を連れて帰ろうとした
・・・が、霧が出て周りがよく見えねぇ。 どうやら、道に迷ったらしい(汗)
不安いっぱいな俺 ・・・ と、突然 「うわっ!」 悲鳴とともに弟が消えた
え? 「そして誰もいなくなった」ってやつ?!
「バカ兄貴! 早く助けろ!!」 ・・・ 何のことはなかった
ただ、足を滑らせて崖から落ちそうになってるだけだった(笑)
「下を見るんじゃねぇ! 上だけを見ろ!!」な〜んて最もらしいことを言って、
ひょいっと弟を引き上げた
う、なんか腕が痛い・・・見ると血が出てる!
しかし、心配そうに見つめている弟
・・・ここはちょっと強がって「あぁ、これくらい何でもねぇって」
俺の言葉に弟は、きゅっと眉をよせる ・・・ フッ、ここで取って置きのアレだな
「泣くなよ?」 最高のアングル、最高の笑顔・・・今の俺って、メチャメチャいい男♪
と、自画自賛してると ・・・ 「アンタに言われても説得力ねぇぜ」
確かに・・・熊にビビッて弟に泣きついた俺に言われてもな(汗)
しかし、兄ちゃんに花を持たせてくれたっていいじゃねぇか?!
・・・「コイツ、絶対シメてやる」と思ったのは、後にも先にもこの時だけだった
そんなことを思っていると・・・「慈燕〜!」
・・・母さんか(はぅ)
それにしてもよ、俺の名前って「爾燕」なのか「慈燕」なのか はっきりしてほしいんだけどよ
・・・って実の親が間違ってるんだから、しょーがねぇよな(涙)
「私を独りにしないで!!」 俺にしなだれかかる母さん
・・・あぁ、俺 今日は最高に疲れてるんだけどよ。それでも「やらなきゃ」ならねぇのか?
翌朝、目の下にクマを作っている自分を想像して鬱になる・・・
・・・そんな俺に弟は「お気の毒に・・・」という視線を送った
はぁ・・・早く家、出てぇ!! 独りで暮らしてぇ!!
(第1巻終了・・・)
