| 松本転倒記 ベベパパiさん |
| 雨上がりの松本平は白い靄が棚引いて美しい。 その向こうに北アルプスがうっすらと雪をかぶった峰々をのぞかせている。 あまりの美しさにしばしばバイクを停めて眺めるうちにカメラに収めようと思い立った。 最初のうちはバイクを降りて写真を撮っていたのだが、何回か走っては停めて撮り走っては停めて撮っていると降りるのが面倒になってしまった。 サイドスタンドを立てて,左に少し傾く所を無理矢理体を右にねじ曲げ,両足をステップに掛けてヘルメットを被ったままカメラを構えた。 ファインダーの中には槍、穂高、焼岳の峰々がパノラマ展開して見える。 かなりのワイドで遠景なので、ズームボタンを押して寄ろうと思ったのがいけなかった。 体ごとズームしてしまったのである。 するとファインダーの中の北アルプスが徐々に上へ上へとのぼってゆき、同時にバイクが右に倒れていくような変な感覚に陥った。 とっさに右足を出して踏ん張ろうかとも思ったのだが、如何せん荷物満載の巨大バイクである。 踏ん張りきれる筈もなく、ポッキリと折れる脚の骨の変な角度で歪んだ姿がデジャブのように脳裏を過ぎった。 「あ〜れ〜」という声と共に道の真ん中へゴロンと「転」んでしまった。 畢竟あかべことベベパパ共倒れの図がここに完成した訳である。 通り過ぎる車の中からは,翁や中島の蕎麦よりも冷ややかな目線が送られてきた。 その目線を背中に受けて必死でバイクを起こそうとするがトップケースに入っているマッキントッシュパワーブックG3と味噌3キロの重さが加わっているため重心が上がっていてなかなか起きない。 満身の力を込めて何とか「起」こしたときには全身の筋肉がフリーズ状態になってしまっていた。 |
