「高速道路での豪雨」   クマ

 日帰り1000キロツーリングの帰り、名古屋から東海北陸道を走っていた。
6月なので朝夕の気温はバイクには寒い。 夜の8時過ぎに外気が16℃の中を寒さをこらえながら走っていた。
おまけに東海北陸道は山の中の片側1車線で走っていても寂しい。

 荘川の手前で、遙か前方に稲妻が光った。
見事な稲妻だと感心しながら走ってた。

 突然、バケツの底を抜いたようなスコールのような激しい雨が降ってきた。
ただでも寒いのに、高速道路の路面に跳ね返るのがわかるような大粒の雨。
一瞬にして、上から下までずぶぬれになった。
濡れるだけでなく、激しい雨で前が見えない。

 夜の高速道路の雨って、こんなにも不安になるものかと思った。 まだ輪島まで300キロ近くある。
日帰りツーリングなので、着替えは持っていない。 天気予報では雨など予想もしなかったので雨具もない。

 とうとう走れなくなって、トンネルの中で止まった。
片側一車線の狭いトンネルの中は心細いの何の。トンネルの出口では、雨が激しく落ちている。
時々、止まっているバイクの横をギリギリに車が高速で走り去る。好きで止まっているわけでもないのに、迷惑そうに
水を散らしながら、、、。

 ずぶぬれのウェストバックから貴重品やデジカメを取り出し拭いた。
待っていると濡れはしないが、すでにずぶぬれになった体がガタガタと震える。
一体、高速道路でどうすればいいんだろうと思った。
インターで降りても宿どころかガソリンスタンドも開いていない道路しか待っていないのである。
高速道路のトンネルの中で一晩寝るか、、、、、。 無理だろう。

 しばらくすると雨が小降りになったように感じた。
トンネルの中でどれだけ時間をつぶしても輪島には近づかないのである。
時速40キロでも60キロでもいいから、走っただけ家に近くなる。
覚悟を決めて、バイクに乗った。
さっきの豪雨に比べたら、少しくらいの雨くらいなんとでもなると思えた。
人間、最悪の状態を経験すると何とかなるものである。 これ以上の酷いことはないから。

 荘川インターの手前で雨はやんだ。
しかし、ずぶぬれでガタガタは変わらない。
開き直って高速で走っていると寒い乾燥機のように少しずつウェアとズボンが乾いてくるような気がした。

 ようやく荘川の料金所にたどり着いた。
さっき、貴重品をぬらさないようにウェストバックをウェアの下に入れてあったので、財布を出せない。
料金所でもたつくのがイヤだったので、料金所で一度止まってからバイクを前に置くために通り抜けた。
すると、係官が大声で止まれ止まれ!叫ぶ。
今はシステムがかわり、料金所を抜けるとややこしくなると走って出てきた。
ついてない。

 それから200キロ以上をノンストップで走り抜いた。
この際、寒いとか濡れたよりもひたすら走りさえすれば暖かい家の風呂が待っていると心に念じながら。
ひどい目にあった!