北畠顕家奏状
結びの言葉
| 原文 | 読み下し文 | 訳文 |
| 以前、条々所言不私、凡厥為政之道治之要、我君久精練之賢臣各潤飾之、如臣者後進末学何敢計議、雖然粗録管見之所及、聊 延元三年五月十五日 従二位権中納言兼陸奥大介鎮守府大将軍臣源朝臣顕家上 |
以前条々、言(もう)すところ私にあらず。およそそれ政をなすの道、治を致すの要、我が君久しくこれを精練したまい、賢臣各々これを潤飾(じゅんしょく)す。臣のごときは後進末学、なんぞ敢て計い議せんや。しかりといえども、あらあら管見の及ぶところを録し、いささか丹心の蓄懐(ちくかい)をのぶ。書は言を尽くさず。伏して冀(ねがわ)くば、上聖の玄鑑(げんかん)に照して、下愚の懇情を察したまえ。謹んで奏す。 延元三年五月十五日 従二位権中納言兼陸奥大介鎮守府大将軍臣源朝臣顕家上る |
前述の条文で、申し上げたことは私心からではない。 概して、政治の方法及び政治上重要な事柄であるので、陛下が久しくこれを精錬され、賢臣の方々にこの内容を豊富にしていただきたい。 私ごときは、まだ若輩者で、学問も未熟である。どうしてうまく取り扱うことができるだろうか。 けれども、自分の管見の及ぶところを概ね書き記し、少しもうそ偽りの無い意見を述べた。 書いたものは言いたいことのすべてを表すことはできない。 どうか、上代の聖人の戒めに照らして、私の懇情を察していただきたい。謹んで陛下に申し上げる。 延元三年(西暦1338年)五月十五日 従二位権中納言兼陸奥大介鎮守府大将軍臣源朝臣顕家献上する。 |
| 注)書は言を尽くさず=書は言を尽くさず、言は意を尽くさず(五経 易経) | |
| 書いたものは言いたいことのすべてを表すことはできない。言葉は、思っていることのすべてを伝えることはできない。 | |
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