渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 吉沢
砂防ダムをつくることにより、いままで人が住まず、利用しなかった「土石流の通り道」を「住宅地」に変えていますが、これは、大災害の原因をつくっているのではないでしょうか。
砂防ダムは数十年〜100年に一度の土石流を止められるということから、この百年、人が近寄らなかった危険地帯への住宅建設が進みました。(※1)
しかし、数百年、千年という単位で自然を見た場合、大土砂流発生の時に、大災害・大惨事につながる危険があります。実際ダム建設などにより危険地域への住宅建設が進んだヨーロッパで発生した数百年、千年に一度の大雨による大災害もあり、欧州ではダムによる治水は見直されて危険地域に住まない方向に転換しています。(脱ダム国際シンポジウム 参照)
<砂防施設をつくる事で人が住まなかった危険地域に公共施設や住宅建設が拡大しています>
川辺川 五木村のダムに沈む家の移転先
砂防ダムをつくり(赤丸部分)土石流の通り道を住宅地に
これとは逆のパターンですが、土石流の通り道など危険な場所に公共施設をつくり、それを守るために砂防ダムや崩れ防止のための工事が行われています。施設をつくるための費用の他に、何億、何十億もの費用が砂防施設などにかかっています。
※1 国土交通省松本砂防工事事務所のWebより引用(2002/11/26)
>●砂防事業の効果と土地利用の変遷
> 〜長野県白馬村松川流域〜
> 平成7年7月松川流域は、過去最大の出水を記録しました。
>これは連続雨量にして昭和34年災害時の約3倍に及ぶ記録です。
>しかし、砂防ダムや床固工群などの整備がすすめられていたため、
>被害は最小限に食い止められました。
> また砂防施設の整備に伴い、安全となった流域に公共施設や住宅等の土地利用が拡大している
>とともに、渓岸の緑化も進んでいます。
「土石流の通り道」は、昔は土地利用されませんでしたが
(コメント 渓流保護ネットワーク)
砂防事業により、危険地域への住宅建設などの土地利用が進みました
(コメント 渓流保護ネットワーク)
参考) 危険地域への住宅立地に関する対策は以下のURLが参考になります(2009.03.13リンク切れ修正)
「流域での対応を含む効果的な治水の在り方について」 河川審議会
「総合的な土砂災害対策のための法制度の在り方について」河川審議会
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