上高地及び山岳地の利用のあり方に関する要望書

2006年10月11日

安曇支所長 高山 潔 様

 2006年7月上高地周辺梅雨前線豪雨による被害とその対策などを検討する「上高地に関する行政機関連絡会議」が7月30日に松本市役所にて開かれました。その中で市、国、県が連携して山間地や山岳での諸課題に取り組む「松本市域行政機関連絡会議」を新たに設置することが決まったということです。
この連絡会議は、上高地や島々谷川、乗鞍、奈川などの一帯の治山や砂防、環境保全などについて、事業をスムーズに効果的に進めるために、情報交換や連絡調整をするためのものということです。参加機関は、市の関係各課、林野庁中信森林管理署、国土交通省松本砂防事務所、環境省松本自然環境事務所、県(松本地方事務所、松本建設事務所、生活環境部自然保護チーム)の予定ということです。
 なお、7月24日には「上高地関係団体連絡協議会」(参加団体は、市、国、県の他、山小屋関係者、地元町会、電力やタクシー関係者など)の調整会議が開かれました。

 上記のような経過から見ても分かりますように、それぞれの会議、協議会などの中に市民団体や環境保護団体が全く含まれていません。市民が事業に区画段階から参加するなど市民参加型行政を目指している松本市において(「市民と行政の協働促進のための基本指針」、9月13日付け市民タイムス)、この様な状態を維持しても良いのでしょうか、はなはだ疑問です。
 上高地、島々谷川やその周辺は、今や日本有数の景勝地となっており、多くの国民から今までの治山や砂防、河川工事が及ぼす自然環境への影響が指摘されております。

 市長もご存知のとおり、現在の上高地の各工事計画は、20数年前の1984年につくられた「上高地地域保全整備計画調査報告書」に基づいたものです。
5年に一回見直しが行われる最近の行政スタイルからしても、これらの工事計画は見直されるべきでしょう。 
 上高地や島々谷川の自然保護に関しては、先の市長とのテイータイムトーク(平成17年10月28日)にて市民団体、環境保護団体、専門家、地元住民団体などを含めた委員会を設置する方向で合意ができたと理解しております。
 また、第八次5ヶ年計画作成委員会(建設、水道部会)の中でも同様な主旨が盛り込まれたと理解しております。

 今必要なことは、今回の梅雨前線豪雨による被害の本格的復旧工事計画に先立ち、長期的な視野に基づいた基本的な考え方を、十分な時間を掛けることで協議していくことが必要です。その実現のためのシステムを、「市民参加型行政の柱」として設定していただきたいと考えます。
 関連地域の厳しい山岳環境であることを考えれば、防災上のハードの限界があることを前提とした視点と、撹乱、再生産される条件によって成り立つ自然環境を理解し保護する視点とのバランスが求められます。

以上のことから次のことを求めます。

1、上記の「上高地関係団体連絡協議会」に市民団体、環境団体、自然保護団体、専門家などを参加させて下さい

水と緑の会 会長 常田
長野県自然保護連盟 会長 町田
長野県勤労者山岳連盟 会長 清水
森倶楽部21 代表 永田
女鳥羽川の自然を考える会 会長 伊藤
筑摩野の風景をはぐくむ会 代表 矢口
渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 代表  田口