渓流保護ネットワーク /水と緑の会 巽 朝子
一昨年大町で開かれたこの会議、今回は20回目で、「まるで現代日本の縮図のように、いろいろな問題点の交錯する」(『会議参加の皆様へ』より)浜松で開かれた。
・ テーマ:未来に残そう、美しい水環境 会場:静岡文化芸術大学
・ 基調講演 : 水が育む人と文化……静岡文化芸術大学学長、木村尚三郎(愛知万博総合プロデユ−サー) 東大名誉教授
浜松はヤマハ、カワイという二大楽器産業がある。天竜川の治水用造林がここに良材
を流してくれ、在来の家具職人のきめ細かな技術がそれを生かした。
キーワードは
「美しく、仲良く暮らすこと」
「美意識」
『全身で感じ、考える』。
感想;「グローバルよさようなら、ローカルよこんにちは」は共感できた。会場周辺を歩
いていると新しい家並みも施設もずいぶんお金がかかっていると見受けたけど、
この先生のお話しはそれに妙にマッチしていた。現実的、世俗的で面白かった。
・ 分科会 : 日本一汚れた湖の復活の問題から暮らしの中の化学物質、川と市民活動など全部で7分科会。
私が参加した第3分科会は「天竜川水系の生態系と堆砂」
静岡県にある天竜川漁協の組合長、秋山さんの司会、(前河川局長)日本水フォーラム
事務局長尾田さんの講演。講演の内容はごく一般的。質疑の中ではいくつか注目すべき
ものがあった。例えば「ダムが大きければそれだけ土砂がたまりやすいという事について
は、相関関係があるということで、50年くらい前にアメリカの学者がアメリカのダムについて
書いている。それを県土木部は論議しようとしない。」という指摘があった。
この論議を深めてほしいと思ったけど、1日目のせいもあってか、様々な問題を提起し
てほしいということで打ち切られた。
「日本三大砂丘の一つ、中田島の海岸侵食は上流の谷が砂防ダムで埋められているせ
いだ。やめられないか。」との指摘に、尾田さんは、「佐久間ダムで止まってしまっている。
これを解決しないとどうにもならないこと」と、「砂防で命が守られていると地元の人は思って
いる」と答えていた。
翌日も朝9時から分科会。
山の現状:天龍市森林組合長、青山さん
川の現状:天竜川漁協、秋山さん
海の現状:福出漁協所属の漁師、内野さん
この報告のあと、名古屋女子大学の村上さん、釣り人代表の矢野さん、前日からの
尾田さんが加わる。村上さんは、
1.観測事実
2.因果関係
3.影響の深刻さの程度
この三つを事業者と市民の間で、認め合い、議論し、理解しあえるかを強調した。
矢野さんは母川回帰率がサケについで高いサツキマスが、天竜川を避け、ドブ川といわ
れた馬込川に上っている現状を話したあと、釣り人が全国規模でつながっていければと
言っていた。
会場も含めてのパネルディスカッション:
流域委員会のメンバーに環境省をいれてほしいという意見に対しては関係住民が要望して
入れてもらったらどうか。
人間が川を利用できる限界は?____どういう川にしたいかが基本。流量、水質はそこ
から決まる。(村上)
その他緑のダム関連、都市化問題などなど様々な観点から意見がだされた。漁協の1人か
ら、「ダムをはずすことはできない」との意見もだされたが、村上さんから、「変えられない
ものはない」との一言もあった。司会の秋山さんが「正直いって、アユとれればいい、電源
さんから補助金もらえばいいという気持ちもあったが、それではいけないと身にしみた」と
言われたとき、遠くからわざわざ人が集まってこんなことをする甲斐があったと思いました。
ここから先は蛇足ですが…
出会い、再会:
大熊さん;薄川流域協議会の報告をしたら、(基本高水流量が下げられているんだから)ついでにもっとさげればいいのにと言われた。
姫野さん;ドイツのフライブルグが環境重視の町として成功したのは、
1.運動の原点に伝統文化を据えたこと
2.学者を雇って行政とおなじレベルのデータをもったこと
3.代替案を提示したこと
だと交流会の時、話してくれました。
丸山さん:白馬で白馬村産の山野草を守ろうという人。
うれしかったこと;
大阪茨木「今からでも遅くはありません。長野に続いて大阪でも安威川ダムは一旦、凍結をしてダムに頼らない利水と治水対策の検討を」
というパンフがあって、脱ダム宣言の一節が書いてあった。
大町大会の時の阿波踊りの人たちと会えた!
あの時は本格的に踊れる人がいなくて、道中練習をしたとか。いいなー。
尾田さんの話しに「ごっつう頭にきて」食い下がっていた熱血漢(女性も含めて)達でした。
以上