2008/5/26 田口康夫
砂防友の会は松本砂防事務所のアルプス砂防紀行講座の受講者OBが構成する団体です。1年に数回各地の砂防見学会などを実施し、防災の日シンポなどで写真展示などをしています。
今回は高原川(神通川上流で槍ヶ岳を源流とする)水系の砂防を神通川砂防事務所に案内してもらった。(参加者34名)
写真04 平湯大滝砂防公園の小川
平湯大滝公園の砂防ダムの中に川の縁に沿って歩道と小渓流が造られていた。
写真07
素晴らしい平湯大滝の横には滝谷流路工群があり、たいしたバランス感覚である。この公園づくりのスポンサーは宣伝もしっかりしていた。
写真15 岩坪谷・偲ぶ砂防堰堤
写真16 魚道の上り口
写真22 堰堤内通路の窓、ガラスなし
新平湯温泉街の裏手(西側)の砂防公園の機能しないような魚道(小渓流)で入り口、出口の流速がやたらと早かった。堰堤の中はトンネルになっており開口窓も付いていて、こんな砂防ダムはざらには見られない。水量の多い時に人が入っていたら溺れ死ぬかも。これらの建設費は宝くじの売上金から出されていた。
写真28 人口産卵床
写真31 人口産卵床の沈砂槽
写真30 人口産卵床の水取りダム20m級
写真28、31、30
砂防ダムだらけでイワナの自然繁殖の場がないことから砂防ダム上から水を引き小河川を造っていた(地元漁協と共に)。ダムから取水すると土砂も含まれてしまうので沈砂槽を設置している。この場所は沖積錐(小さな扇状地)の末端だが、砂防ダムにより河床が上がり本来染み出てくるはずの水も川になれない。ダムがない場合は湧水による小河川が産卵場所となっていた。
写真33 新穂高右俣渓流保全工
穂高連峰の3千m級の山々の流域を持つ川がこんなに狭くされてしまい2年前の豪雨であふれたそうです。そのため川幅を倍に広げる工事が行われていた。地形から見るとまだまだ狭い、土砂災害防止法の精神はどこにいったやら!
写真36 新穂高左俣右岸からの土砂
左俣は傘ヶ岳針峰群に沿って流れる川であり、節理の発達した岩山は時に大きな崩落を起こします。左俣は大雪崩や山腹崩壊による土石流の常習ちです。今回も右岸から土砂が押し出し防災には苦労したそうです。新穂高温泉は土地利用の原則を忘れている危ないところです。
写真41
写真45 外ヶ谷の大崩
外ヶ谷の床固め砂防群(大きい)と大崩落地、国交省がらみの公園。砂防のおかげで災害が抑えられているかの宣伝場所。崩れが基盤岩にまで達し供給土砂は減りつつある。三脚の固定という意味では土砂流出を抑制しているが、他の場所が大きく崩れれば同様な土砂流出は避けられない。この工事で下流域の土地利用を抑制しないと前回の被害より大きくなる可能性は大きい。
写真47 たから流路工
写真48 たから流路工
栃尾温泉の本流に石積み工法で様々な砂防や護岸などが10年をかけて造られた。地元民を引き込み40億円が費やされた。なぜ川の中にこんなものが必要なのか、もっと必要なところに金を回してもらいたいものである。住民を抱きこんでお金を出してきた国のやり方、もう続くはずはない、いやこれ以上続けばこの国は浮かばれない。
今回の感想は、長野県に比べるとおかしな金のかけ方が多い。無批判のところとそうでないところの違いが出ているのかもしれない?