1999年11月15日

小野沢砂防ダム検討委員会

委員各位

烏川渓谷の自然を考える会 代表 藤沢雄一郎
安曇野環境ふぉーらむ「八面大王」 代表 小柴善一郎
国営アルプスあづみの公園・友の会 世話人代表 町田登
あづみの道草あかとんぼの会  代表 及川稜乙
公共事業と災害わ考える会  代表 内山卓郎
砂防ダムいらない渓流保護ネットワーク  代表 田口康夫

小野沢砂防ダム計画について検討事項要望書

 今年の8月、神奈川県の玄倉川でキャンプ客18人が濁流に流された事故を受けて、長野県では急激な増水で危険が及ぶ河川敷など、県内キャンプ危険場所を発表しました。その中には堀金村須砂渡の烏川も記されています。
私たちは、以前より烏川渓谷が砂防指定地域であり、県営渓谷緑地公園として整備することには疑問視しておりましたところ、今年6月の大雨によってビオトープの一部が小野沢から流出した土砂に埋没してしまいました。
そこで、周辺の状況も含めて小野沢砂防事業計画について、下記の内容をご検討くださいますようお願い致します。

1.計画の必要性について

(1)砂防事業計画の概要(長野県豊科建設事務所)によれば「小野沢川は土石流危険渓流であり、下流の人々の生命と財産を守るための砂防事業」とありますが災害履歴をみると洪水がほとんどで6月にビオトープが埋没したのも土石流ではなく掃流土砂による害でした。
土石流が過去どの位の頻度で起きたのか示されていないのでこの事業が必要だとする根拠が曖昧です。今後何年くらいの間に特定部分からどのくらいの土砂が生産されるのか全くはっきりしない状況では、この流域の土砂生産要因(道路建設、樹木伐採など)を極力減らし、治山のために植林や森林の育成に力を入れるべきです。

(2)「下流域にレジャー、保養施設があり〜〜〜国営公園、県営緑地などが整備中であり土石流発生時に多大な被害を受ける危険性があります。」と書かれていますが、建設省自体が、災害時の危険性を前提に土地利用を制限するという考え方に方向転換しました。危険性の高い場所での利用度を高めるような公園整備を行い、そして危険だから砂防ダムが必要という考え方は全く本末転倒です。危険な場所は利用しない、させないのが基本であり、砂防ダムを造らなければ危険な場所では公園は造るべきではありません。更に、過去の災害を見ると、砂防ダムがあるところでも災害が起きており砂防ダムを造っても安全とは言えません。小野沢ダムだけではなく周辺全体の開発計画も併せて議論していかなければ災害防止はできないと考えます。

2.スリットダム計画について
 計画の基本方針によれば「スリットダムは魚の遡上降下活動を妨げず〜」とあるが、流木などで塞がれてしまえば生物は分断されてしまいます。過去の災害を見ると急激な増水による災害であり、スリットダムでは洪水は防げずダムとしての災害防止の効果がないのではないかと考えます。また、スリットダムの実際の効果はデータとして出ているのでしょうか?

3.自然環境への配慮について
 ダム本体の覆土、幼木の植樹等見た目の自然環境保全対策が考えられていますが、それにより当初案の6億円と費用の違いはどのくらいなのでしょうか?
納税者としてはかかる費用の問題も大きいと考えます。

4.須砂渡〜三俣線は危険地域を通る山岳道路であり、この位置づけで大雨等に対する通行規制をするべきです。

以上

 

 


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最終更新日 : 2000/02/24.