2008年8月
渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 田口康夫
真川は、北の俣岳の西側に源流を持つ川であるが、途中薬師岳や五色が原を結ぶ稜線から流れ出る川が合流する(岩井谷、スゴ谷、湯川など)。最後は常願寺川となって富山市に流れ出る川です。ここの砂防事業としては、立山カルデラ内の砂防工事が有名で100年近くを費やし、まだまだ続いている一大産業となっている。今回は岩井谷とスゴ谷の合流点付近の砂防を紹介し、ついでに美景も若干紹介する。
写真02:
岩井谷の入り口には10数基の砂防ダム(床固工群)が造られ川の連続性は遮断されている。
写真54:
岩井谷上流の滝が去年の大雨の土石流で埋まっていた。長い間には埋まったり元の河床に戻ったりの繰り返しであり、段差がなくなったときにイワナは遡上できる。
写真52:
去年の土石流の影響できわめて数が減っており、個数回復までに4、5年かかると思われる。釣り人はしばらくは持ち帰りを控えるべきかと思う。
写真57:
谷は埋まりぎみだが、美しさは残っている。
写真66:
スゴ谷入り口にある砂防(床固工群)。ここも10数基建造されているが、下流側のものはコンクリートに大石がはめられている。この川は800mくらい上で水を全て取られており全く流れはない。真川(本流)の砂利採集により見る影も無いほど河床がかき回されていた。
写真68:
真川の取水口、ここでもほとんど取水されている。近くにコンクリートプラントがあり、にごり水がそのまま流されていた。本来は沈殿槽などを使って濁りをとらなければならないはず。
写真77:
写真84:
真川のきれいな岩肌、しかし直ぐ上流の砂防ダムによって水が汚れ、透明度は落ちている。(岩井谷のそれと比べてください、写真57)
写真83:
真川の30m級砂防ダム、だいぶ汚れた水が流れている。こんな大きなダムがあると魚はもちろん人間様も先に進むことができない。
写真76:
時には土砂崩壊の押し出しもある。山の中ではごく普通の現象でもある。
今 スゴ谷には林野庁による治山工事の計画が進み、なんと治山ダム32基が計画されている。既に工事用の1kmトンネルが完成している。今まで全く何もしてこなかった山奥になぜ今頃工事を入れようとしているのか?国の財政に余裕が無いはずであるのに、国民だけが知らないのか?
今回の場所は一般車の立ち入り禁止で、その気になって歩かないと見ることができない国交省の聖域となっているところ。「どなんかせんとあかんですわい」などとタンカをきる人が選ばれて欲しいものだ。
大自然の中でのテント泊、冷たい水でビールを冷やし、久しぶりに楽しんできた。
乾杯・・・