2008-05 水と緑の会 田口康夫
水と緑の会では牛伏の栗木林道(鉢伏山の山腹)の視察に行った。
この林道は、市が森林整備の目的で鉢伏山山腹を5m幅の林道として横断する予定で造られるものであったが、在来イワナや貴重植物保護のため計画を止めさせストップまでこぎつけた。
写真のような作業道(森林施業道路)を造られてしまったが、渓流に影響が出る川横断の手前(写真終点部)で止まっている。森林整備のための作業道は必要だが、そのための5m道路は必要ない。過去の事例から見ると幅の広い林道はその後舗装され観光道路と化している例が多いため反対した。しかし、この道路建設だけでも貴重植物とイワナには影響が出ていた。
終点部 土捨て場盛土
2006年度分崩れ
写真のイワナは中沢源流部のものであるが、ヒレに傷が見られるものが多かった。沢の中は土石がかなり多量に流れた後が見られ土砂の移動が普段よりは増えたと思われる。06年の大雨では当然土石流が出たと思われるが、07年度の新しい土砂と想像できる土砂の移動を推測できるような渓床をしていた。イワナは健在?であったが、安定した渓床とはいえない現象が起きていた。林道を作るということは山腹を崩すということであり、それだけで不安定さを助長させ水が集まる谷底に影響が出ることを理解して欲しい。また絶滅危惧種の植物などにも影響は出ていた。
今後市に対して道路建設後の影響を提起していきたい。
大沢川中沢右沢
大沢川中沢の左沢
前回の簡単報告で矛盾点があったので林道の南側、沢の源流などを調べてみた。
写真24〜35は林道南側からのもの。道路による大きな崩れ跡はなかった。
写真35 栗の木林道南終点先沢
終点から林内に入った沢の安定風景。
写真31 栗の木林道南終点先沢
終点から入った先の中沢の右沢の荒れた風景。
写真29 栗の木林道南終点先沢
同沢の出会い。この付近を横切る計画だった。
写真26 栗の木林道南終点
同道路予定場所だったところ。
写真24 栗の木林道南終点
林道南側の終点(ここで止めた運動成果)
写真9、12、16は中沢の左沢で林道北側の流域
写真9 大沢川中沢左沢
工事現場から流れてきたブルーシート
写真12 大沢川中沢左沢
下流の荒れ具合(右沢の下流も似た感じだった)
写真16 大沢川中沢左沢源流.
源流部の安定さ(源流に近くなると集水面積が小さくなるので集まる水量も少なく破壊力が小さいためコケなどが継続的に付いている)
両流域林道工事の現場からは、流出土砂の増えるような影響はあまり感じなかった。ただ中沢左沢のブルーシートなどの流下物があったことも事実で、工事に関係したものが流されるような雨水の集中が起きた原因があったことも確かだと思う。梅雨前線の豪雨があればこの程度の土砂の崩れや移動はありえるのではという結論になると思われた。