渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 田口康夫
日時 2008年9月28日
参加者24名(学生6名含)
9月28日はかなり気温が下がり上高地はかなり寒かった。
外来種という視点で上高地の自然を見ることは、講師、参加者共になかったことで、今回が最初の試みとなったようだ。
下界の外来種の入りかたから想像してかなりの数があると思ったのだが、まだ意外と少ない事実も分かってきた。見学に入る前に外来種の定義、上高地の自然、移入する条件、などを講師の方から説明を受けある程度知識を得て出発した。
結論的にいえば進入場所は、人工的な場所でもある歩道、広場、キャンプ地などの裸地化したところに集中していた。14種くらいが確認でき、特にオオバコ、シロツメクサなどが圧倒的に多く、これらは人が靴底につけて種を運んだと考えられる。また宿泊施設(ホテル、旅館など)の前などには経営者の持ち込んだものや、窓際の花壇などから種が飛び繁殖したものもかなりの数確認できた。これらは国立公園特別保護地区での施設経営のあり方にも言及することが必要になるかと思われる。生き物では、ホタル、魚類などの植物以外の外来種も上高地在来種に影響を及ぼしているデータも報告された。
また外来種は、在来の植生が整っているところ、自然のなすがままの状態などの場所にはほとんど入り込めていない現実も確認でき、本来の環境や植生を保全していくことも対策になりうることが理解できた。
なお梓川の護岸による固定化が植生の固定化につながっている現場と、川の流れが進入することで植生が大きく変わる現場を見ることができ、各参加者は納得していた。
終了後に各参加者から感想・意見などを出してもらった内容を記すと、
・このような外来種の現実をほとんどの人が知らないのでもっと知らせて欲しい。
・旅館業者、行政も知らないんではないか。
・この問題を進めるに当たり、地元業者と行政の間に入る環境団体などが必要ではないか、これを担って欲しい。
・川と自然環境の関係を見ることができて非常に勉強になった。川の働きをもっと知らせて欲しい。
・園芸種、ホタルの持ち込みなどを考える時、上高地の自然をどのようにするのかの線引きが難しい。これをどうするのか。
・外来種の入っている場所や種は限定的であり、今なら手を打てるし効果も上がるのではないか。
・社会や自然の変化(自明な)を考えた時、なぜ外来種が入ってきてはいけないのかもっと基本的なこと説明してもらいたい。
・昔から上高地は人が手を入れてきたところ、今さらどうこうすることは難しいが、若い経営者に問題提起してはどうか。
・国立公園特別保護区の意味を確認することが必要ではないか。
このような意見から今後の上高地についての方向性が見出せるのではないかと考えられる。