福岡シンポ「川は誰のものか」 及び 川辺川(熊本)の砂防見学簡単報告

渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 田口康夫

2008/8/9 川のシンポジウム2008「川は誰のものか」(福岡)

今回は福岡でのシンポジウムに参加し、砂防問題の話をすることができた。

  
写真99 会場風景                 写真08 会場風景

参加者80名

福岡賢正さん・・・川辺川の過去から未来
今本博健さん・・・淀川水系流域委員会で培ったもの
田口康夫・・・・・・隠れた砂防ダムの功罪
以上3人の話とパネルデスカッション、及び各団体の現地報告が熱く行われた。


写真20 パネルディスカッション

 九州では福岡県で熊本県の川辺川ダムの問題を題材にするほどこの問題の関心が高いことを示しているが、この中で砂防の話ができたことは砂防問題をしてきた私にとって非常にうれしいことであった。4時間もの長丁場でも時間が足りず、懇親会へ30数名が参加するほどの熱のは入り方だった。


2008/8/10 川辺川(熊本)の砂防見学

川辺川は230基の砂防ダム計画があり、既に90数基のダムが完成している砂防大県でもある。今回案内してもらった場所は、樅木谷の最も美しい場所の一つへのダム建設現場だった。


写真36:美景が続く


写真29:工事のために美景を無残に壊している


写真30:基礎部分だけができていた。何とか中止に追い込む運動を展開したいものだ。

ダムが完成すればこれらの景観が土砂の下になる。

 また最近流行の開放型砂防ダムや大金をはたいて建設された機能不全の魚道、こんなところに貴重な税金が使われている事への怒りが湧いてくる。


写真39


写真40  にがこべ谷川第6砂防堰堤

写真39,40:こんなダムを新設し渓流環境を壊す前に既存ダムをオープン型に改修した方が、はるかに安い費用で土砂制御ができるのだが!


写真49 にがこべ谷川第2砂防ダム


写真46 にがこべ谷第2砂防ダムの魚道

写真49、46: ダムへの魚道、全く機能していない。
ほとんどのダムがこんな状態であるのにもかかわらず誰も責任すら取らない役人天国。
もっと使わなければならないところは沢山あるのに、怒れ国民と言いたい。

 樅木、朴ノ木砂防ダムは30年近く経つのに堆砂率0%、この2基のダムは洪水時に水が溜まり長期間にわたる濁水の原因になっている。当然夏場の鮎魚に悪影響が出ており、今ホットな運動になりつつある。


写真55 樅木砂防ダム

写真55:河床勾配の緩いところに高いダムが造られ、水が溜まることで濁り物質が多量に沈殿し、またバックウヲーターに汚れの原因になる土砂が堆積し、平常流に戻っても汚れの原因となる土砂を流し続けている。


写真89 追加された砂防ダム

写真89: 川辺川ダムの建設に伴い水没する元五木村の移転地としてつくられた頭地地区の代替地。山を削り、砂防ダムを造り安全を確保したと思わせたのだが、住宅が全て完成した後、去年までの大雨で土砂調節不足に陥り、急遽ダムを追加建設した場所である。国が住民をだました詐欺行為をしたも同然なことである。

本来、流出土砂量の確かな算定などできないのが今の科学・技術の現状であるのだが。


写真58 松岡養魚場在来種

写真58:川辺川源流部の在来イワナ。放流が進み減りつつあるが、まだ僅かながら残っている物を養殖して放す試みも始まりつつある。砂防や治山が上流へと進めば在来ヤマメの絶滅にもつながる可能性が直ぐそこまで来ている。

今回の九州行は1週間のテント旅行で針原川、水俣災害跡地やヤマメの南限河川の確認、ダム撤去の跡地、板木ダム崩壊現場など、年がいも無く少々欲張って見て回った。福岡、熊本、鹿児島、宮崎を巡り、おかげさまで人吉と薩摩の素晴らしい焼酎をしこたま味わってきた。