浅川ダム「地震と土砂災害」 現地視察と学習会 参加簡単報告

渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える
田口康夫

 今回のシンポは「浅川ダム・地震と土砂災害」ということで現地視察と学集会の2部に分けて行われた。視察は自由法曹団長野県支部(弁護士集団)の視察も兼ねていた。(参加約80名強)

 浅川治水問題は流水をダムカットをすれば解決するというものではなく、千曲川合流点の内水氾濫(宅地の洪水)、元々低い合流点近辺(遊水地としての)の土地利用の問題、ダム建設地点の安全性の問題(地すべり、山腹崩壊)、流域住民への説明責任の問題(疑問への説明がなされていない)、河川法の示す流域住民の意見を聞くということの不履行の問題(流域協議会つぶし)、河川法の示す河川整備計画策定の法的手順の瑕疵、公共事業評価監視委員会の形骸化問題(浅川治水を審議事項にしなかった)などなど多くの課題を含んでいる。

講演
・中島嘉尚(自由法曹団長野県支部弁護士)
ダムの計画決定は適法だったのか、河川法をめぐっての問題点を指摘された。河川法16条の2(地域住民と連携して進める)や計画決定手続きにおける原案作成において各種の代替案を吟味することが必要だがこれをやらっずに案作成に入っているなど問題を指摘した。
・奥西一夫(地質、元京大教授)
岩手・宮城地震が起きたことで、その被災地と浅川ダム建設予定地週辺地質、断層の有無などの類似性とダム湛水による地すべりの誘発について説明した。

報告として
・浅川・千曲川等治水対策会議会長 中沢勇
千曲川の水位が上がり合流点のゲートを閉めるが、千曲川の堤防高さより浅川のそれは約5m低い。また千曲川が計画水位に達すると排水ポンプを止めるため、条件が揃うと浅川は氾濫する。上流にダムを造ったとしても内水氾濫(浅川以外からも中小河川が入り込む低地となっている)はなくならない。ダムの問題ではないという。

・信州ラプソデイー、公共事業と災害を考える会代表 内川卓郎
多目的治水専用ダムから穴あきダムへの変更根拠のあいまい性、計画決定手続きの瑕疵と違法性、治水効果のない穴あきダムの問題点、基本高水の過大性、地すべりなどの問題点などを提起した。

・「浅川ダム建設予定地の再調査を要望する会」代表 杉山昭生
小学校保護者へのアンケートでは地盤と地質について94.5%の人が不安を感じている。再調査の要望書提出には100%の人が支持した。
浅川周辺地域では、不安が90.4%、再調査の必要が88.8%(必要なし10.4%)というアンケート結果がでている。ダム下流域の人は不安を持っているという結果が出ているということだった。

最後に県議からの決意表明があった。
共産党県議団 1名、トライアル信州 3名、 あおぞら 1名
議会でこの問題を追求していくことを公言してくれた。期待したいものである。