第7回渓流保護シンポジウム リバーウォッチング

−八尾町 大長谷川の変遷を見る・知る−

2005年10月29日(土)
石黒完二(在住15年)

 大長谷川は井田川から神通川をへて日本海に注ぐ川です。昔はマスが県営第四発電所の下の滝まで遡ったと聞いています。昭和三十一年に室牧ダムができて以降、発電所、砂防堰堤などができ、魚が遡らなくなったとのことです。
 私が住み始めた頃(平成2年)、家の前で友人がイワナを手づかみで捕ってくれたり、自分でも釣りを覚え、やったりしました。子供と一緒に釣りをしたり潜ったりもしました。ここ5〜6年はこのあたりは魚が減ってあまりやりません。

 越してきてから三回も大水が出て、1〜3ヶ月、家の前の道が車で通れなくなることもありました。本流、支流において、災害復旧や砂防事業、治山事業で、次々と施設ができ、イワナがだんだんと釣れなくなってきました。そんな中で、どうしたら魚が棲める渓になるのか、渓が渓らしくとはどういうことなのかと考えるようになりました。

 そのなかで気がついたことは、川においては、水が途切れずに流れていること※1、川の中に底辺の動植物が生きてゆけること※2だとわかりました。そのためには川の縦のつながりと横のつながりを大事にしてゆくことが必要だと思うようになりました。

 河川の構造物の必要についての是非はあると思いますが、この視点を忘れずに、設計・施工をすれば、今までよりもずっと良くなると考えています。

 皆様のお知恵をかしていただきたく、よろしくお願いします。

【案内・内容】
 1.発電所(5つ)と取水堰提、維持流量、減水区間、魚道
 2.砂防堰提 透過型(2005年10月)、魚道のあるもの、切り欠きをいれたもの(建設中)
 3.河川構造物  施工後の側の状況(転石、巨石使用 ほか)
 4.谷ノ口川 災害復旧事業



@県営大長谷第三発電所 猿越ダム
美しい紅葉

  
@県営大長谷第3発電所 猿越ダム
河川維持流量を表記してもらいました
(※1 川に水が途切れず流れるように)


Aナガシバラ堰堤(クローズ)


B新しく作られている堰堤(スリット式)

 
C新第一発電所 取水口


D現地の方から昔の川のお話を聞きました


E大長谷第一発電所

上流の河床は昔に比べ数メートル上昇しているようです
(現地の方のお話より)


F谷ノ口川 河床および護岸工事(災害復旧事業)


F谷ノ口川 河床の石は戻してもらいました
※2川の中の動植物が生きてゆくのに必要なため


【現地の方のお話】

サクラマス、サケが上ってきた。イワナは谷の方にいた。 中山砂防ができてからは捕れなくなった。

昭和34年 発電所ができる。当時は、工場関係者が来ることで、村の生活が豊かになったため歓迎した。

昭和47年 第三発電所ができる頃は、住民の意識も変化してきた。ダムができる変わりに、道路拡張や整備などを要望した。川を犠牲にしての村の歩みとなった。

昔は大水が出ると、10日から15日かかって増水し減っていったが、今は一気に増水して、すぐに水がひくようになった。山の状態が杉の植林によって変わったためか。

砂防工事は、村の公共事業、働き場所として必要で、環境よりも工事優先の意識が多数であったが、今は村の人が高齢化し、働く人がいなくなり、その必要性が少なくなり環境に対する意識も変わりつつある。