十月三十〜三十一日岐阜県郡上市八幡町にて開催された第六回渓流保護シンポジゥムに参加してきました。
三十日は午後から現地見学、さつきますの産卵の観察と長良川の支流吉田川に整備されている砂防ダムの見学(特に魚道)でした。
翌三十一日は朝から夕方まで講演!講演!講演!最後に会場とのディスカッション。ああ疲れた!
現地見学は参加者二十名ほどさつきますの産卵は台風等の影響で河床が荒れていて観察できるか心配でしたが、ひとつがいのさつきますが泳ぐ姿を見ることが出来ま した、さらにその側には山女と思われる小さな魚が受精の瞬間に便乗しようとして付きまとっている姿も見受けられました。
写真1 さつきます 産卵見学
写真2 吉野川の地図と砂防ダム(魚道)の写真
吉田川の砂防ダム群に整備が進んでいる魚道ですが、岐阜県が全面的に既存の魚道を改修しより魚類が遡上しやすいように工事が進んでいましたが、あまり魚のことにや川のことに詳しくないコンサルが設計したためでしょうが、効果が発揮できていないようです、見学した二箇所のうちひとつは湾曲した川の内側に魚道を作ったため、砂防ダムの上流側の湾曲部に土砂が溜まり流れが魚道と反対の方へ行ってしまいその機能は無駄になっていました、ここは湾曲部の外側へ魚道を付け替えないといけないかな、と思いました。
写真3 土砂が溜まってしまた魚道
もうひとつは二重スパイラル魚道と呼ばれているもので、最初地元が冗談で勝手にそう呼んでいるのかとおもっていたら、岐阜県の正式な事業として魚道のスペース(平面上の)縮小、勾配を緩やかに出来る、などのメリットが考えられる画期的な技術だそうです。さらに観察用にアクリル板を使い遡上中の魚類の観察まで出来る優れものだそうですが、実際の遡上率は?
養殖された山女等を魚道に放流していかにも!? という施設だそうです。
写真4 二重スパイラル魚道
長野県の場合はすべての河川で県外の下流に砂防ダムがあり、県内の砂防ダムに魚道を作ることの意味が薄いため? あまり積極的に既存ダムへの魚道設置は行われていませんが、この岐阜県の取り組みが評価されれば県内の砂防ダムに二重又は三重スパイラル魚道がお目見えすることになるでしょう。
そのときに備えてわれわれも理論的な評価をしておいたほうがいいでしょう。
翌日の講演会は六十名程の参加者で会場は丁度満席でした、一般の方の参加が見受けられなかった点は時期的なものか(台風の被害の直後)、土地柄のせいなのか、ちょっと寂しい感じがしました。
村上先生の話や篠田先生の話はいままでの講演会と違って砂防ダムの別の側面を教えてくれたようなきがします。
特に篠田先生の活動は河川の流域の環境調査を統計学の手法で行うという画期的な発表で非常に興味深く聞きました、惜しいこといに時間が足りなくて最後ははしょってしまわれたので、もう一度この話だけでも一日かけて勉強したいと思いました。
最後に会場の参加者との意見交換に時間を多めにとったのは良かったと思います、このような集会では言いっぱなし聞きっぱなしでストレスが増えて帰ってくることが多いものですが、今回はその点ではストレスのたまらない集会だったと思います。
松本から始まった渓流保護の活動が全国に広まっていき、各地で苦労している人たちの励みになっていることを感じた集会でした。田口さんの言っているように今後はこの集会に行政を取り込んでいく必要があると思います。いろいろな点で松本は先進的な活動をしていることを自覚して今後の自分自身の活動に結び付けたいです。
平成十六年十一月二日藤原 浩