図1 島々谷
渓流保護ネットワーク「砂防ダムを考える」 代表 田口康夫
現在、松本砂防事務所は当初予定の高さ42mのクローズダム案に換え、高さ21mのオープン式ダムの検討に入っている。既にこのための模型実験を終え、次の段階の環境委員会開催(3回の中1回は終了)に至っている。私たちは今までに何回かの意見書、要望書の提出と話し合いの場をも持ってきたが、中止のための進展は未だ無い。以下にダム反対のための代替え案を示す。
これは地形的なこともあり、ダムによる河床上昇により99年の大雨時に付け替え道路を伝わって土石流が下流人家にあふれ出る寸前までいった。従って、まずわ現河床を下げることで安全を確保し、砂防ダムの土砂調節量を高める必要がある。
ダムの浚渫等をして常に空状態にしておき小嵩沢と本流からの土砂流入に備える。松本砂防事務所は浚渫の必要性を考えていない。昭和20年の災害時は、小嵩沢からの流出土砂が本流をせき止め決壊する鉄砲水で被害が大きくなった。なお当時の山が裸状態にあったことも考慮すべきである。
6号建設以前にこれらのダムのスリット化による土砂調節量の増大が見込めるので、まずは既存のダムの改修(嵩上げも含め)を優先すべきだ。新たに環境を壊すダム新設は選択肢の中でも最下位にすべきである。なお、これらのダム建設の目的に山脚固定が挙げられているが、固定しなくてはならない場所はない。河床が上がった分だけ山腹崩壊のリスクを高めていることの方が問題だ。
5号砂防ダム上、二俣下、3号砂防ダム上流等、河川内への工事による残土放置(捨てる)は土砂生産を加速し、川の持つ土砂調節機能を阻害することになり、砂防論理から見てもおかしい。
99年大雨での土砂流出の特性は、3号ダムより下流に被害を集中させている。この事を考慮すればソフト対策と土地利用対策を考える事が望ましい。この事は土砂災害防止法にもかなうことにつながる。
以上のように既存のダムの浚渫、オープン化を進めれば、6号ダムの土砂調節量を大きく上回る事が明らかである。従ってこの谷きっての景勝景観や環境に大きなダメージを与えるダム新設は根拠に乏しい。また環境委員会は6号ダム建設が与える問題だけで判断をするのではなく、今までにつくられてきたダムによる環境破壊の現状とその継続としての位置づけが必要だと思う。