「正義論」ロールズ,J.著 紀伊国屋書店 1979/08   評者 Shin(岡田)

 はっきり言って、置いてあるだけ!といっても、ほとんどの本は、すべてそうですが・・・ただ、学生時分にこんな本が理解できたらな〜って、なぜかそんな風に思って買いました。読んだのは、最初の数ページだけ。途中でリタイヤしてしまいましたが、学生の私には、かなりインパクトがあったように覚えています。理論については、私などがとやかく言うよりも、専門家の方にご登場いただいてご紹介をお願いしたいと思います。(http://www.ne.jp/asahi/village/good/rawls.htm 上村氏) 「政策評価研修」の折に、佐藤さんとお話をする中で、基本法の話からなんとなく思い出して、久しぶりにほこりのかぶった本を引っ張り出した次第です。
 そういえば、今年になって、日本経済新聞で「善の研究」(西田幾多郎)が再び読まれ始めているといった内容の特集を行っていましたが、内藤博資氏のおっしゃるとおり、評価基準の設定については形而上学の分野に踏み込んでいかなければいけないのでしょうね。そういう意味では、ロールズなんかと底辺で結びついているのかもしれません。 

T.興味を惹いた記事

(1)内藤博資のレポート「政策科学総論」2
 「政策の策定自体は社会科学の範疇であるにもかかわらず、評価基準の設定については形而上学の範疇に入る様相を呈する。」(本文から)
(2)分配的正義の理論 後藤玲子
 「ロールズの正義論とセンの潜在能力理論に基づく非厚生主義的なアプローチを用いて、公正な分配システムを構築することにある。」(本文から)
(3)「潜在能力アプローチ」と環境問題
 「本節は、A.センの「潜在能力アプローチ」論の到達点を確認し、それを「開発と環境」問題に適用せんとする試みの1つである。」(本文から)
*アマルティア・センについて On Works of Nobel Laureate Amartya Sen (in Japanese)
(4)環境倫理の基礎づけ問題 品川哲彦氏(www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~tsina/kankyou.html)
(5)「地球温暖化対策における環境的公正」野上裕生氏
「この報告では地球温暖化対策を世代内の一致した協力による世代間の協力の視点からその根拠を与え、その時に許容される温暖化削減ルールとしてロールズとアトキンソンの均等所得分配の概念の応用可能性を考える。」(本文から)

(6)橋本努「自由主義の構想力」
 「問題は、バーリンにせよロールズにせよ、未来社会の構想力に欠けているという点だ。バーリンはあまりにも歴史的熟慮のみを強調しすぎるし、ロールズはあまりにも理論的理性を信頼しすぎている。彼らは歴史ないし理論に依拠するあまり、二〇世紀の市場経済がたどった意味転換(自生的秩序としての市場)を見届けていない。その結果、中長期的なレベルでは、新たな社会秩序を展望できていないのである。これに対してM・フリードマンやF・A・ハイエクの自由主義は、七〇年代以降の世界史において重要な理念を提供したと言えるだろう。」(本文から)
(7)第1章 地方財政の役割(Chapter 1, The Role of Local Public Finance))財政学への応用


U.ロールズのプロフィール

ロールズ John Rawls 1921〜 アメリカの哲学者。メリーランド州ボルティモアに生まれる。10代で哲学の勉強をはじめ、とくに道徳の問題に興味をいだくが、ケント・スクール卒業後3年間の兵役中に政治の問題にも関心をよせるようになる。プリンストン大学大学院に復学し博士号取得後、1950年から母校の哲学教師をつとめる。そのかたわら経済学にも関心を広げ、当時最新の経済理論を研究する。その成果と博士論文で展開した倫理学の問題をあわせて、独特の「原初状態」の理論を提唱した。

公正としての正義
その後コーネル大学、マサチューセッツ工科大学をへて、1962年からハーバード大学の哲学教授に就任。その主著「正義論」(1971)で「公正としての正義」の理論を体系的に展開し、社会倫理学への関心を高めた。これは、最大多数の最大幸福を正義とした功利主義にかわる、新しい社会正義の原理を論じたものである。自由で平等な道徳的人格者たちがつくる「原初状態」という状況をかりに設定し、その中で全員が一致して合意できるものが正義だとする彼の正義論には、カントの道徳論の影響がみられる。出典(エルカンタ百科事典99)

 
V.ロールズ関連書籍
「ロールズ正義論の行方」     渡辺幹雄著      春秋社    2000/04
『ロールズ/正義の原理』     川本隆史著      講談社    1997/01
「ロールズ」           クカサス、C.(チャンドラ)他著  勁草書房    1996/01
「ロールズ哲学の全体像」     藤川吉美著       成文堂    1995/01
「公正としての正義の研究」    藤川吉美著       成文堂    1990/01
「公正としての正義」       ロールズ,J.著      木鐸社    1984/01
「正義論」            ロールズ,J.著      紀伊国屋書店 1979/08
「公正としての正義」       ロールズ,J.著      木鐸社    1979/03
(目についたものだけで、全てではありませんので、あしからず)

 最後に、いろいろな方にリンクを張らせていただきましたが、全くご了解も何も得ておりません。どうか、問題意識を広めていきたいという思いをお汲み取りいただきまして、ご容赦ください(岡田真一)。