タイムカプセル

それは小学校の時のことだたろうか・・・
「21世紀になったら皆で集まって開けよう」と
校庭の片隅にある木の下にタイムカプセルを埋めたのは。

それから20世紀も終わり21世紀の元旦に俺等は集まった。

「確かこの木の下だったよな、もうよく覚えてないけど」
昔は悪ガキだったのに今は銀行員をやっている剛が言った。
「大丈夫!私がちゃんと覚えてるから、埋めた物まで覚えてるよ。瑠音は手紙で、剛はカビパン、勇人はカマキリだったよね♪私は記憶力がいいから入れなかったんだよね。」
さらりと言ってのけ今日のイベントを潰したのは桂だった。彼女は今は大学院に行っているようだ。
とりあえず俺たちはカプセルの掘り出しに励んだ。

しばらく掘るとガムテープできつく封印された青いポリバケツが出てきた。
勇人はそれを手にとり皆を見渡した後一言言った。
「さあ、約束の21世紀の正月だ。さっきの桂の話じゃちょっと開けるのに抵抗があるが開けるぜ」
バリバリと勇人がガムテープを剥がしていく。
皆緊張しているのは懐かしさからだろうかそれとも恐怖心からだろうか・・・。

ポリバケツの蓋がゆっくりと開けられる・・・。
最初に目に付いたのは緑色した液体の入った袋だった。
「カビパンってほっとくと液体になるのね〜」
桂がしみじみとつぶやく。

続いて虫篭が出てきた。
もう死んでいるだろうと思っていたが、虫篭の中で繁殖したらしく何かの動く影が見えた。
桂が「どれどれ」と言って虫篭を手にとり、覗き込む。

「きゃ!」小さい悲鳴の後、桂は虫篭を放り出す。
蓋の外れた虫篭からなにやら白い生き物が飛び出した。
目と羽根が無く、鎌だけが異様に発達したカマキリの姿だった。
その後、そのカマキリは校庭の陰に消えていった。

「瑠音これお前のじゃないか?」勇人が手紙を俺に差し出す。
内容なんて覚えていなかった。昔の自分は今の自分になにを言いたかったのであろうか?
封筒の封を切り中の手紙を取り出す。
皆が横から覗き込む、手紙には汚い字でこう書いてあった。
『未来のるいんへ
君がこの手紙を読んでいるということは1999年7の月には何も起こらなかったんだね
つまらん・・・。』

しばらくの沈黙。
誰も声をかけようとしなかった。
目すらあわせようとしなかった・・・。