インド人と清い交際をしている友人「たかし」(第一話ご参照)から、いきなり電話がかかってきた。ちょっと相談ごとがあるので、家に来たいとのこと。はたして相談ごとって何だろうか?
 不安な面持ちで待機するオレの部屋へ、慌てる足跡が鳴り響いた。「たかし」が来たようだ。
 
 
オレ おう、よく来たね。
たかし すまないね、いきなりで。
オレ ああ、それはいいよ。どうせヒマだったしさ。
たかし おいおい、おまえ、その歳でヒマって・・・。喜べないよ。オレみたいに素敵なガールフレンド見つけろよ。はっはっは!
オレ ・・・何か、おまえに言われるとムカっと来るな。
 くだらない余談はそこまでとして、「たかし」は相談ごとを切り出した。
 
 
たかし いや、実はね、オレちょっとしたイベントでさ、ヒーロー劇をやることになったんだ。
オレ ヒーロー劇!?何それ?ヒーローってウルトラマンとか、仮面ライダーとか、あのヒーローのこと?
たかし そうそう。あ、あと、アンパンマンも忘れないでね。
オレ 別に、オレはウルトラマンと仮面ライダーしかヒーロー知らないわけじゃないよ。まだ知ってるさ。ほら、ギャバンとかいただろ?
たかし ギャバン?ラーメン屋においてあるコショウのこと?
オレ それもギャバンだけど!オレが言ってるのは、宇宙刑事ギャバンだよ!
たかし おうおう、いたなー、そんなヤツ。結構いいヤツだったよね。
オレ ・・・おまえ、宇宙刑事と友達か?
たかし でもなー、ヤツはヒーローじゃないな。
オレ ヒーローだろ?ヒーローじゃなきゃ、何だよ?
たかし 刑事だよ。
オレ ・・・もういいよ。それより、話の続きを聞かせろよ。
たかし でね、ヒーロー劇なんてオレ一人じゃ大変だろ?だから、メンバー増やそうと思ったわけだよ。
オレ ほう、それは賢明だね。
たかし で、会社の先輩や後輩、上司や部下、あと親父にお袋、それに近所のドラ猫や隣の家に住んでる番犬に声掛けてさ、ようやく5人メンバーが揃ったんだ。
オレ へー、よかったな。ちなみに、その5人の中に猫と犬はいないよな・・・?
たかし ああ、ギリギリ定員割れだった。惜しかったよなー。
オレ え?定員割れじゃなかったら、マジでメンバーに入れる気だったのかよ!?
たかし あたり前じゃん。おまえ、猫や犬のヒーローっているんだぜ?忍者ハットリくん知ってるか?
オレ あ、ああ。そういえば、忍者の猫と犬が出ていたな。
たかし そうそう、”ニャロメ”と”うなぎ犬”がいただろ。
オレ マンガが違う!!ニャロメが忍術使うかぁ!?うなぎ犬が手裏剣飛ばすっていうのかぁ!?
たかし まー、まー。それはいいとして、先進めるぞ。
オレ 相変わらずおまえ、めっちゃマイペースだなー・・・。
たかし で、5人といえば、戦隊ヒーローだよ。ほら、ゴレンジャーとか、ガオレンジャーとか、チャレンジャーとかあっただろ?
オレ いや、チャレンジャーはいなかったぞ。ヒーローが今さら、何挑戦するのよ?
たかし そこで、相談なんだけどさ。おまえ、オレたちが演じる戦隊ヒーローの名前考えてくれないか?
オレ 名前?オレが?どうして?
たかし おまえ、ネーミングセンスあるじゃん。ほら、人のあだ名付けるのうまかったし。ある意味、おまえの隠れた才能だよな。
オレ いやぁ・・・あまりうれしくない才能だな。
たかし おまえの付けたあだ名、まだ憶えてるぜ。
オレ マジで?
たかし おう。ヤザワのあだ名は、ヤザワの”ヤ”を取って、”ヤッチン”だろ?あとさ、クロカワのあだ名は、クロカワの”クロ”を取って”クロッチ”だもんなー。いやぁ、ナイスネーミングだよ!
オレ ・・・いや、それ、ぜんぜん普通。それ、かなりダサイんだけど。
たかし そうか?いいじゃん!だって、オレだったら、ヤザワなら”永ちゃん”で、クロカワだったら”クロマニョン人”にしたもん。ぜんぜんよくないだろ?
オレ ・・・、オレよりおもろいじゃん。お前の方が、センスあるじゃんか!
たかし そんなことないって!マジにお願いしたいんだよ。何かいい戦隊ヒーローの名前ないかな?あのさ、○○戦隊 ×××ジャーみたいのがいいな、定番だしさ。
オレ うーん・・・。いきなり言われてもなぁ、難しいよ。
たかし しっかりしろよ!おまえ、オレたちの名付け親になりたくないのか!?
オレ なりたくねーよ!オレはお前たちの生みの親かっ!
たかし いや、腹違いだな。
オレ やかましいわ。
たかし つまんないこと言ってないで、さっさと決めてくれよ。
オレ お前が誘ったくせに・・・!とにかくさ、何かテーマがほしいんだ。その戦隊ヒーローの特徴とか経緯とか個性とか、何かないか?
たかし テーマか?そうだねー・・・。この劇をやるイベントさ、実は町内集会なんだよね。要はお酒の席なんだよ。だからさ、酔っ払いが活躍する内容にしようかなー、と思うんだけど。
オレ じゃ、ズバリ。”酔っ払い戦隊 酔いどれンジャー”
たかし ・・・。
オレ ・・・どう?
たかし ・・・まんまじゃん。
オレ だから、オレにはセンスないって!もう、おまえで決めろよ!
たかし すまん、すまん。な!頼むよ。そうしたら、オレたちメンバーさ、すき焼きが好きなんだ。すき焼きをアピールする戦隊で行く計画もあるんだよ。
オレ じゃ、ズバリ。”すき焼き戦隊 割り下入れるんジャー”
たかし ・・・。
オレ ・・・どう、どう?
たかし ・・・”割り下”って何?
オレ おまえ、すき焼き好きなのに”割り下”知らないのかよ!?
たかし あのさ、そういう専門用語はボツ。じゃ次ね。
オレ ・・・専門用語じゃないって。
たかし じゃ、こうしよう!オレたちさ、みんな犬好きなんだよ。だから、犬が大好きなシナリオでやってみようかなとも思ってるんだ。
オレ 今度こそズバリ。”愛犬家戦隊 吠えまくるんジャー”
たかし ・・・。
オレ ・・・はよ、審査して。
たかし ・・・もうやる気ないだろ?
オレ ああ、かなりね。
たかし これ以上考えても、ラチ明かないみたいだから、もういいや。
オレ はぁ・・・。これほどの苦痛はないよ、まったく。
たかし 一応参考にさせてもらうよ。
オレ いや、できれば参考にしてほしくないなー・・・。
たかし あのさ、町内集会の開催さ、今度の土曜日なんだ。よかったら、おまえも来いよ。
オレ おう、よく来たね。
たかし わかった。都合ついたら行かせてもらう。
オレ すまないね、いきなりで。
たかし 都合ついたらって、おまえ、年中ヒマなくせに。ひひひ。
オレ うるさい!用が済んだら、とっとと帰れ!
たかし じゃーな!
 次の土曜日の夜、オレは「たかし」に勧められたまま、町内の集会場へと赴いた。入口のそばには、なぜか町内集会のプログラムが立てかけてあった。オレはその立て看板を食い入るように見つめた。
 
 夜7時 たかし様主催 ヒーロー活劇
     
「 飲みまくれ! 酔っ払い戦隊 酔いどれンジャー
        割りまくれ! すき焼き戦隊 割り下入れるんジャー
         噛みまくれ! 愛犬家戦隊 吠えまくるんジャー  」

 
 
オレ あいつ、どんなヒーロー活劇やる気なんだ・・・!?

 
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