小田原建築探偵   
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幻のスカンジナビア館〜18 04.07



昭和47年1月6付 朝日新聞北海道版より

石狩の野で北欧再現。
「万博から札幌オリンピックへ」と札幌市の不動産会社が北欧
五カ国からパビリオンをそっくり無料で譲り受けて復元を急い
でいたスカンジナビア館が石狩支庁石狩町花畔の一角にオ
ープンする。世紀の海賊パイキングが乗りまわした船の模型
や公害映写室など全復元工事に七億一千万円をかけた豪華
なシロモノ。このスカンジナビア館は万博が終わると、ただち
に解体、昨年九月から本格的復元工事を開始した。

移転復元工事費は莫大。万博に参加したパビリオンは短期間
用に作られていたが今度は永久建築物にし、しかも新しい展示
物も加えた為経費は当初予定していた二億五千万円の三倍近
い七億一千万円。それだけに中身はデラックス。正面を入ると
エントランスホール。ここには北欧五カ国の産業経済、文化な
どを紹介する写真が展示され白夜の大パノラマもある。また
歴史上の人物バイキングが荒しまわった「発展と侵略図」や彼
らの使った船オーセぺリー号の模型も展示されている。
                                               ...
次に万博で好評を博した公害展示室。ここは五十台の映写機を
をフルに使って公害の実態をフィルムで見せる映写大ホール。
ABCの3ゾーンに分かれており全部見るのにざっと三時間。
座席は120人分。床には三色の絨毯が敷き詰められている。

2階にはスカンジナビア大ホールという大映写室があり、ここで
は五カ国の風俗、芸術、文化をフィルムで紹介する。オープン
には五カ国の大使、領事が出席しオリンピック選手らも招待
して盛大に開館式をあげる予定。入場料は一般が三百円から
五百円になりそう。小中学生は公共施設並かそれ以下にし大い
に学習に活用してもらうそうだ。


12月に入り北海道のKさんがスカンジナビア館に関する
新聞資料を送ってくれた。それらは北欧五カ国の一つの
フィンランドのサンタクロースが送ってくれたのかと思う

程のクリスマスプレゼントだった。

それにより念願の幻 のスカンジナビア館の更に幻だった
館内の様子を知るに至った。その館内は想像していたも
のを遥かに超えたものだった。


当初の予算を大幅に上回る七億一千万と言う復元費用
にも驚かされる。傾斜の殆ど無い平面の屋根で雪を受止
めるのは相当な補強が必要だった為なのだろうか?
多少の数字を水増もあったのだろうか?

建築資料によれば大阪万博時におけるスカンジナビア館
の建築総費用は約一億九千万とあるので、輸送費用や
内部展示の復元費用等を含めても7.1億もの費用は相
当な金額だ。

同じく万博の建築資料によれば開催時の建物面積は
1296平方メートルであるが、移築後の総面積は2392
平方メートルとある。この違いが床面積の違いに因るも
のなのかは定でないが坪単価約98万円にのぼる。

ちなみに建物面積が3541平方メートルで恒久保存を

目指し現在も記念公園に現存する鉄鋼館の建築費用
は約6億円だったそうである