小田原建築探偵   
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佐和山遊園〜2


彦根駅東口側は現在、再開発が盛んに行われて
いる。以前は佐和山遊園の隣に巨大工場の廃墟
もあったそうだ。

数年後には、この辺りもガラッと風景も変わってい
るだろう。そんな駅前一等地周辺には新築の家が
続々と建ち始めている。

そんな風景の向こう側にそびえる、
金閣寺に天守閣。五重塔に山門。

窓を開けたら金閣寺。
そして五重の塔、そして天守閣。そして山門...
この街にとってこの風景とは、どんな位置付けな
のだろう。

レンタカーを返す際、店でさりげなく訊いてみた。
「この街には金閣寺があるんですねぇ...」
と...出来るだけ、さりげなく...

(沈黙の時間)

彼の領収書を書く手が一瞬止まった様に見えたの
は...一瞬顔が曇った様に見えたのは...気のせいだっ
たのだろうか?

領収書の宛名を訊きかえしたのは...
おでこの血管が「訊かんでくれぇ」と浮き出た様に
感じたのは.....私が疲れていたからなのか?

「ホームから見える金閣寺の事なんですが...」

(静寂な時間)

(気まずい時間)
が流れ...

「ご利用、ありがとうございました。」

えっ...?

彼は何と聴こえないフリをしたのだ。

(スルーな時間)

あれっ?
いつか、これと同じ様な体験をしたなぁと...

(走馬灯な時間)

あれは...そうだ熱海の風雲文庫について駅前で尋ね
た時....とそっくりなシチュエーション。

彼は「俺にはそんなもの見えん....」と言いたげでもあ
った。「あんたが見ているのは幻だ。」とでも言いた
げな実話である。何故に...?

熱海風雲文庫