小田原建築探偵   
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別府湯煙旅情〜幻のビルマ館 万博遺跡 蟻地獄26


ビルマ館を飾った装飾品も取り外され残っていた。

御住職にビルマ館についてお尋ねしてみる。つい
に今まで疑問だった幻のビルマ館の核心に近づ
く事となった。


既に記憶に無い点も多いらしいがお訊きした事を
抜粋し綴ってみる。


ビルマ館は父である先代住職が譲り受け会場
から建物を全部別府に持ってきた。高価な展示物
はビルマに持ち帰られたり、売られたりした。

どれくらいの金額で譲り受けたのかは定かでない。
多分船で別府まで運ばれたのではないかと思う。

この寺院の本部は広島にあり、当時大学生だった
現御住職は信徒さんを連れ何度か万博会場を訪
れた。

万博会場を訪れている時はまさか万博のパビリオ
ンを譲られてくるとは思わなかったし、その時点で
別府の、どの場所に移築するかは決まっていなか
った。

分解され、運ばれてきた建物は取敢えず、この寺院
所有の畑と建設業者の倉庫に一旦置かれる事とな
った。

(この業者がビルマ館を再構築する”予定”であった
と思われる。)


現在ボロボロとなった竜も部材と一緒に置かれた。
持ってきた当時の迫力は確かに凄かった。廻りに
は未だ殆ど住宅は建っていなかった。金属で出来
た建物先端部分も一緒に置いてあった。


現在の寺院がある場所とは別の処で土地を探し
たが、なかなか折り合いが付かず、その内資金難
となり再構築を断念した。


(最初の新聞記事は移転と補強に6千万円かかる
と伝えている。資料によればビルマ館の制作費の
総額は約1億4千万。内建物は8千万円強だった
そうだ。何れも当時の金額で)

ビルマ館の一部を預かってもらっていた建築業者
への保管料も滞る様になってしまい、そのままとな
った。その会社は今もあるが多分処分されてしまっ
ていると思う。


分解され運ばれてきたパビリオンは結局、再構築
される事もなく寺院所有の土地に放置されたまま
となる。前述の塔の先端部などの部材の多くは
劣化と共に処分されて行った。


竜も現在の場所に置かれたまま今に至っている。
譲り受けて来た時の資料や写真も、残っているの
だろうが、見当たらない。

それら資料を探していただき是非見てみたいが、
一般人の私にそこ迄お願いする事は出来ない。


残っている竜は、今後もあのままにしておくつもり
だそうだ。


ビルマ館の建物の部材も別に一部残っている。

「へっ?」

ここでまた驚きの証言。何と建物の部材が未だ
残っていると...


「行ってみますか。」

「行ってみましょう。」


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